こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

悪くない日への感謝@きみはいい人チャーリー・ブラウン

5月6日(土)17:00~ サンケイホール・ブリーゼブリーゼ

チャーリー・ブラウン 村井良太
ルーシー 高垣彩陽
サリー 田野優花AKB48
ライナス 古田一紀
シュローダー 東山光明
スヌーピー 中川晃教
声の出演 大和悠河

訳詞・演出 小林香

今プログラムを確認すると、チャーリー・ブラウンとライナスは「テニミュ」(「テニスの王子様」をミュージカル化した作品)出身なのですね。
すごいな「テニミュ」。
何がって、二人ともめっちゃ可愛い容姿をしていました。私は特にライナスが好みでした

ところで、観劇好きのみなさまはプログラムって買われますか?
私は恐らく15年くらい前に「よっぽど欲しい」ものじゃない限り買わなくなりました。
だって、高いんだもの。
ネットが発達してからはキャストくらい調べればすぐに分かるようになりましたしね。
それでも今回プログラムを買ったのは、こんなに可愛かったからです!

本当、どうしてこれをそのままポスターにして、あらゆるところに貼っておかなかった!
どうしてこれをそのままちらしにして、あらゆるところに置かなかった!
だって、確実にこれをそのまま置いてあったら、スヌーピー好きは手に取ります。
そして100人に1人くらいは、ゴールデンウイークで、どこでも行ってないし、ご褒美に見てもいっか、ってなったと思うんです。
そうです、私は子どもの頃からスヌーピーに心惹かれていました。
小学校の中盤以降はあらゆるものがスヌーピーグッズ。
その流れで「Peanuts」の漫画もどういうものだったかは忘れたのですが、読んだ記憶があります。
読みだすと、気持ちはいっきにスヌーピーからPeanutsの登場人物たちに広がりました。

この「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」はそんなPeanutsの主要キャラクターたちが織り成す「なんでもない毎日」を描いたミュージカルです。
不器用で自信がないチャーリー・ブラウン
怒りんぼで強気でおしゃべりなルーシー
チャーリー・ブラウンの妹でちゃっかりしているサリー
頭が良いけれど赤ちゃんの時から使っている毛布が手放せないライナス
ピアニストでルーシーが思いを寄せるシュローダー
そして、今さら説明もいらない世界一有名なビーグル犬スヌーピー
彼らの愛おしい毎日が活き活きと優しく目の前に現れるのです。

この作品があることはもう10年以上も前に友人から教えてもらっていて、主題歌Happinessなんか、ライブだったり、替え歌して友人の結婚式で歌わせたりと使いまくり。
その間、別キャストでの公演もあったのですが、なぜか腰が上がらなかったのは、スヌーピーを人間が演じることに抵抗があったからです。
けれど、このキャストでの公演が発表になり、お稽古がはじまって、中川晃教くん(アッキー)の画像を見るたび、
アッキー、かわいい!
といいね!を押し続ける日々。
ああ、もうこれは今見るしかないなー、と覚悟を決めつつ、ビンボーでチケット買うのをしぶっていたら、おけぴさんから会員優待のご案内が届き、これ幸いとみてきました。

ということで、最初の感想は「ずるい」でした。
何がって、セットです。
Peanutsの漫画のシーンがコマ割りで組み合わされているんです。
こんな感じ。(画像は公式ツイッター@YGCB_2017より)


これが分かれていって、ワンシーンワンシーンの背景になっちゃったりするんです。
それでもって、スクールバスとか木とか雲とかもPeanutsの漫画からそのまま抜き出して、色をつけてあるんです。
通常の舞台でいったら、ペラペラの学芸会のような粗末なセットですよ。
でも、Peanutsの絵だから、可愛い!
ずるいです!
さらに、例えばこんな漫画のワンシーンがそのまま立体化しちゃうんですよ。

それだけでなんか妙な感動に包まれるんです。ずるすぎます!
もう本当、セットはあのままお持ち帰りしたいくらいの可愛さでした。
キャラクターの衣装との色の溶け込み方も美しく素晴らしかったです。

この作品も、漫画の色んなエピソードの抜き出しなので、ストーリーらしいものはありません。
だからこそ、ワンシーンワンシーン丁寧に描いているのが、さすが小林香さんだなと。
メインキャストはそれほどミュージカルのスキルに長けている人たちではありません。経験も少ないです。
そうなると、どうしても、動き方とか「うーん」てところが出てくるのですが、今回にいたってはシュローダー以外、それが一切なかったのです。
これは恐らく演出家がこだわりをもってキャラクターとシーンをキャストとともに作り上げた証拠だと思うんですね。
まあ、キャストが6人だから、そこまで目が届いたのだとは思いますが、それだけでも演出家の熱意を感じます。

とりわけ、ルーシーが素晴らしかったです。
歌もうまかったですが、何よりセリフの声!
さすが、声優さんだけあります。発音も発声もきれいで、淀みなく、聞き取りやすい。
その上で、間違いなく「ルーシー」の声なんですよ。
個人的にはもっともっと声優さんにミュージカル界に進出してもらいたいなと思いました。
ちゃんと「聞けるセリフを言える」ということは、今の日本のミュージカル界に欠けがちなスキルなので、それをクリアしてこれるというのは強みだと思うんです。

そして、サリーもよかった。
良く声も通るし、動き方も可愛い。
アイドル界からのミュージカルへの転身は前例がたくさんありますので、お待ちしております

そして、アッキーのスヌーピー、完璧です
フワフワの髪型
あの遠吠え(笑)
そして、自由さ(笑)

でも、さすが、全てのキャストの中では大舞台の主役を務めた経験が光って、「サパータイム」は圧巻でした。
とは言え、もうちょっとその歌声を満喫したかったので、来年、「ジャージー・ボーイズ」再演を楽しみにしております

キャラクターはもちろん、子どもなんですけれど、それを「子ども」として演じていなかったことが本当に良かったです。
わざとらしい「子どもっぽい」言い回しとか演技とかは一切なし。
普通に一人の人間を演じているだけ。それでいて、ちゃんとそのキャラクターなんです。このバランス!
だから、それぞれのキャラクターに少しずつ自分を見るような感覚に捉われていきます。
特に、チャーリー・ブラウンに。
ルーシーやサリーは、それでいて子どもらしい「勝気」さがあるんですよ。
すんごいポジティブ。
その真反対にチャーリー・ブラウンがいるんですね。
マイナス思考で自分なんてこんなにダメな人間なんだ、と彼が繰り返すたび、共感します。
序盤でのランチタイムが切ないです。
彼は一緒にランチを食べてくれる人が見つからず、一人っきりでベンチでランチを食べるんです。
だから、ランチタイムが大嫌い。
そして、そのランチタイムが終わったら、これでランチタイムがあと○回になった、と小さく喜ぶんです。
切ない。
そして、よく分かる。
あと、何時間で週末だと思う金曜日の晩。
あと、何日で連休だと数えるとき。
あと何年がんばって働けばいいかを計算するとき。
そんな自分の姿が彼に重なっていきます。

そして、色んなエピソードを経て、彼が
うん、今日は悪くない一日だった
と言う。

特別に良い日なんて、人生に数えるほどしかありません。
そんなことは分かっているのに、悪くなかった日、を大切にする気持ちを忘れていたな、と心洗われました。
なんでもない毎日こそ、幸せ。
このミュージカルは時間をかけて、それを教えてくれるのです。
そんな時間が過ごせるあたたかい作品です。

ところで、最後のカーテンコールで登場したバンドメンバーの一人が着ていたTシャツがめっちゃかわいかったです。
表はチャーリー・ブラウンスヌーピーがハグしている絵柄。
裏にはYOU'RE A GOODMAN CHARLIE BROWNの文字。
あれ、売ってくれないですかねえ。
これ、グッズももうちょっと考えてくれたらもっと色々うまくできた気がしてなりません。
再演の際にはぜひともプロデューサーさま、ポスターも合わせて再考ください。