こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

The Best Musical FOREVER!@来日コーラスライン2018

9/1(土)17:00~ オリックス劇場

原案・オリジナル振付・演出:マイケル・ベネット
台本:ジェームズ・カークウッド&ニコラス・ダンテ
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
作詞:エドワード・クリーバン
オリジナル共同振付:ボブ・エイヴィアン
ツアー公演エグゼクティブプロデューサー:ビッグ・リーグ・プロダクション ダニエル・シャー
アソシエイトディレクター:ピーター・ピレスキ
演出・振付・再構成:バーヨーク・リー

グレッグ役:ニコラス・バーク NICHOLAS BERKE [Greg]
ディアナ役:ナタリー・ブルジョワ NATALIE BOURGEOIS [Diana]
ヴァル役:メリッサ・ケイビー MELISSA CABEY [Val]
ドン役:ウェズリー・イアン・カピエッロ WESLEY IAN CAPPIELLO [Don]
ザック役:アーロン・パトリック・クレイヴン AARON PATRICK CRAVEN [Zach]
シーラ役:カーリア・デイヴィス KAHLIA DAVIS [Sheila]
リッチー役:ダリウス・R・デルク DARIUS R. DELK [Richie]
マギー役:ヴェロニカ・フィアオーニ VERONICA FIAONI [Maggie]
ジュディ役:ローレン・ギャリオット LAUREN GARRIOTT [Judy]
コニー役:サマンサ・チョー・グロスマン SAMANTHA CHO GROSSMAN [Connie]
クリスティン役:エリカ・ジェーン・ヒューズ ERICA JANE HUGHES [Kristine]
マーク役:ピーター・ヒューズ PETER HUGHES [Mark]
ボビー役:ライアン・コーバー RYAN KOERBER [Bobby]
アル役:チャーリー・ナッシュ CHARLIE NASH [Al]
ビビ役:ローラ・ピアポント LAURA PIERPONT [Bebe]
ポール役:ジョゼフ・ロザリオ JOSEPH ROSARIO [Paul]
マイク役:アンドリュー・ナタール・ルジエッリ ANDREW NATALE RUGGIERI [Mike]
キャシー役:マディソン・ティンダー MADISON TINDER [Cassie]
ラリー役:ジョシュ・ザッカー JOSH ZACHER [Larry]
ロイ役:ギデオン・チコス GIDEON CHICKOS [Roy]
ブッチ役:ジョヴァンニ・ダ・シルヴァ GIOVANNI DA SILVA [Butch]
トム役:スティーヴン・デル・コル STEVEN DEL COL [Tom]
女性スウィング:フランシーン・エスピリトゥ FRANCINE ESPIRITU [Female Swing]
ヴィッキー役:ハンナ・フェアマン HANNAH FAIRMAN [Vicki]
ロイス役:エミリー・フランクリン EMILY FRANKLIN [Lois]
フランク役: デヴィッド・グラインドロッド DAVID GRINDROD [Frank]
トリシア役:ゾーイ・シュナイダー=スミス ZOË SCHNEIDER-SMITH [Tricia]
男性スウィング:アンドリュー・ワイナンス ANDREW WINANS [Male Swing]

こちらのドキュメンタリー映画

ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢 (プレミアムエディション 2枚組) [DVD]
マイケル・ベネット,ドナ・マケクニー,ボブ・エイヴィアン,バイヨーク・リー,「コーラスライン」オリジナルキャスト
松竹


が公開された翌年の来日公演を見に行きました。 

stok0101.hatenablog.com

感覚的には2、3年前くらいのつもりだったんですけど、日付を見てビックリ!
もう9年も前のことなんですねえ。
考えたら、いまやすっかり来日公演の受け皿となっているシアターオーブが出来る前のことなのでそれくらい経ちますか。
それだけ前回の来日公演は私にとって大いなるインパクトを残し、そのインパクトが強烈すぎて記憶が破裂している感じなのです。

つまりキャストについての記憶がほぼ皆無…。
ザックもどこにいてたんでしょうねえ。

ただ前回は1階席の後方で見たことだけはすごく覚えていて、だから今回よりもザックとかセットについて見えていたはずなのに記憶がないのです。
この「コーラスライン」という作品は間違いなく中劇場クラスがぴったりで、上から見ることはよろしくないんじゃないかとは思っていたのですが、私のサイフの都合と、あえて上から見てみたらどうだろう、という興味で3階席を買ったのですが、大失敗でした。
見切れ席であることは購入時点で分かっていたし、納得して購入したので文句は言えないのですが、まさかここまでの見切れ席だったとは・・・!

まあミュージカルや芝居の専門ホールではないので仕方ないのですが、3階最前列で「見切れ」を緩和するための用意されたかさ上げクッションを敷いて座っても、手すりと壁の間から舞台を覗くような視界なんです。
音楽を聴くなら気にならないんでしょうか。どちらにしろヴィジュアルを見せるものにはひじょうに辛い席だなと思いましたので、今後オリックス劇場で観劇するときは気をつけたいと思います。

そんなわけで字幕ももちろん「3文字」程度が見れるくらいだったので、そうそうに字幕を諦めたのが今回逆に良かったのかもしれません。
ああ、こうやってライトが移動していくんだ、とか、鏡しかないセットなんですけれど、ここで鏡になってここで普通の壁になるのか、というのが感じられて、楽しかったです。

そして今回はなぜかとてもキャシーが印象に残りました。
群像劇ではあるのですが、あえて主役は誰かと言われたら「キャシー」なんだと思います。
でも「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」でオリジナルキャストであり、モデルでもあったドナ・マケクニーのダンスを見た後だと、正直前回のキャシーのダンスシーンは全く印象に残らなかったのです。
けれど今回は少し時間が経ったこともあり、キャシーのダンスシーン「The Music and Mirror」がすごく響いてきました。
音痴のクリスティンと同じように、キャシーもショーで成功したものの「演技ができない」ことで挫折し、そこから「自分にはダンスしかないのだ」と訴えるこのシーンが、彼女も一人の不器用な人間で、でも踊ることだけはどうしても捨てられない「業」のようなものを強く感じました。

そう思うとダンサーという職業もそうだけど「ミュージカル」って根が深いです。
踊ること、歌うこと、演技すること。
別々とも思える3つの技術を求められる。

しかもこの「コーラスライン」はどのミュージカルよりもこの3つの要素がそろっていないとできない演目なのです。
そして今回のキャストは見事にそれをクリアしていたと思います。
特に「At the Ballet」の最後の高音も苦しくない聞き心地で大健闘。

前回と違うのは私自身が前回を見たおかげで「コーラスライン」のストーリーをほぼほぼちゃんと覚えていたこと(笑)
そんなわけで、もう分かっているのに、What I did for loveがはじまる前のあたりからドキドキしてきて、彼らが「こういうことを含めてこの仕事だろう」と話しはじめるあたりで、どんどん感情が連れていかれるんですよ、どうしても。

うん、安定も保証もない仕事だって分かっている。
でも止められない。やらなければ気がすまない。
だから「期限」を決めてみる。
どこで「もういい」とするか悩む。
特に彼らは「ダンサー」で肉体的な限界がある。

私は「私の夢」を「普通の生活」と天秤にかけて「普通の生活」に傾いたときに、ここが私の限界だと悟ったので、追いかけるのをやめました。
でもそこまでの「熱」は忘れないし(won't forget)、後悔もしていません(can't regret)、私が大好きなものにまっしぐらだったこと(What I did for love)を。

そして、その時間と思い出は今も私の胸のなかにあって、チクチクしながらも幸せな気持ちにさせてくれるのです。
だからきっと、今回オーディションに受からなかった登場人物で、それこそ夢を追いかけるのをやめたとしても、今の自分を思い出したとき幸せな気分になれると思うのです。
私にはそれだけ夢中になれるものがあった。
それは決して「当たり前」のことではない。誰でも持てるものでもない。
そういう「小さな幸せ」に気づかせてくれる唯一で最高のミュージカルでした。

ところで、来日公演PIPPINでバーサ役を演じられたプリシラ・ロペスさんが「コーラスライン」のディアナ役、オリジナルキャストで「Nothing」もプリシラ・ロペスさんの体験が歌になったものなんですが、本物の彼女を見たあとに改めてディアナを見ると、若かりし彼女の面影を追っているようで、それもまた幸せな体験なのでした。