アンドリュー・ロイド・ウェバー作品はミュージカルファンなら一度は通る道でしょう。
またミュージカルファン以外でも「オペラ座の怪人」「CATS」とか、一曲くらいは聴いたことがあるんじゃないでしょうか。
この「ジーザス・クライスト・スーパースター」はそのロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞という恐ろしく贅沢な製作陣で作られたミュージカルです。
ティム・ライスも「ライオンキング」はじめ、さまざまなディズニー作品で作詞作曲しているので、それこそ一度も聴いたことがないって方はいないでしょう。
それなのに私、この作品を見たことがなかったのです!
もちろん音楽は知っていました。
この映像も見ました。
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グレン・カーター,ジェローム・プラドン,トニー・ヴィンセント | |
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン |
ロイド・ウェバー作品では1番好きな音楽だと公言しておりました。
だからこのポスターを見たとき、
やっと舞台を見れる!とそそくさとチケットを購入し、20年間温めてきた思いを胸にワクワクと赴きました。
キャストはこんな感じです。
感想は
せめて30年、いや20年前に見たかった、でした。
セットは面白いんですよ。
恐らく15度くらいはあるかなという、八百屋舞台と言うのも失礼なくらいの傾斜のついた砂漠だけで、そこにライトとかカーペットとか差し込むことで、場面を見立てていくんですね。
しかも4本の棒を組み合わせた上にジーザスを座られせて、かついで舞台中を走り回るアンサンブルの方々の体力に平伏です。すごい!
ストーリーはポスターにあるように「キリスト最後の7日間」の話です。
てか、それすら分からりませんでした。
残念ながら私はキリスト教信者でありませんし、当時の歴史にも疎いので、ユダという信者が密告してキリストは捕らえられ、十字架に磔にされて死んだ、くらいの知識しかありません。
この作品は恐らく、キリスト教信者以外の人やキリストについて詳しい人以外が見る場合、ストーリーは殆ど分からないのじゃないかと思います。
でもそれでもいいと思わせるものが、若かりし日に見た映像にはあったのです。
けれども残念ながら、今回の舞台にはそれがありませんでした。
キャストの皆さんは、恐らくクラシック調の曲ならすごくうまいんだろうな、と思わせる歌唱力をお持ちでした。
でもロックを歌うリズム感はなかった。
また歌詞がロックのリズムを表現できていなかった。
訳詞は尊敬する岩谷時子先生で、ちゃんと聞き取れればステキな歌詞だったんじゃないかとも思うんですけど、いかんせん聞き取れない
一曲目のユダの曲から、リズム、リズムがずれてるよーーと「ネクスト・トゥ・ノーマル」以来の歌ストレスを感じてしまいました。
でもまだ「ネクスト・トゥ・ノーマル」は新しかった。魅せ方も音楽も。そしてストーリーも。だから興味深く面白く見れました。
この作品が持つ真の意味は、キリスト教を知っている人にしか分からないでしょう。
子どもの頃から教会に行かされ、なんとなく聖書に触れあって、でも今は特に信仰心が強いわけじゃない、そんな英国の若者が、結局「ジーザスって何者なわけ?」という思いから発端している気がします。
それを思いっきりショーナイズして、当時の流行りの音楽で表現したものだったのではないかと。
だから私みたいな人にはもはや音楽を楽しむくらいしか残されていないのに、歌が伝わらないのは残念でした。
ところで宗教的要素を取っ払っちゃうと、この作品ってどうとでもアレンジできるんですよね。
今だと、キリストをSNSインフルエンサーにしてしまうとかも面白いんじゃないかな。
熱心なフォロワーで拡散し続けていたユダが、だんだん大きくなるキリストのマーケットに恐れを抱き、初期のお前と違うと思い始めて炎上させる、とか、キリストはキリストでフォロワーからの期待に応え続けるのに疲れてしまって、マグダラのマリアが彼を癒す、とかね
ということを同行者と話していたら、2012年のトニー賞の映像を見つけてくれました。
JESUS CHRIST SUPERSTAR - "Superstar" [LIVE @ The 2012 Tony Awards]
なんだ、やっぱりめちゃくちゃカッコいいじゃないか!
ということで、新演出で、ロックを歌えるメンバーでもう一度この作品を見てみたいです。