こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

This is The SHOW!@グレイテスト・ショーマン

ミュージカル映画と銘打たれると「見に行かなきゃ」と強迫観念にかられるのですが、これを楽しみに見に行った理由は2つあります。

①音楽がベンジ・パセック&ジャスティン・ポール
②歌って踊れるエンターテイナー、ヒュー・ジャックマンが主演


①に関してはやはり2017年トニー賞の「ディア・エヴァン・ハンセン」があったからです。

Dear Evan Hansen - Live Tony Awards 2017 - Waving Through a Window


この曲を聴いたときもそうですが、それ以上に楽譜を見たときすっごい新しい!と感じたのです。
こんな趣味をしているせいで、積み重なってまあまあの数のミュージカル曲の楽譜と向き合ったわけなんですけど、この曲の楽譜が今までの私が見たミュージカル曲ではなかった音と言葉の振り分け方になっていましてね。
もちろんすごく格好いいわけで、そんな彼らの音楽をもっと聴きたかったのです。
そしてその期待は裏切られませんでした。
全11曲、どれもこれも素晴らしく心につき刺さる歌詞とメロディーとリズム!
映画の中詰め、一番盛り上がるところで流れる「This is Me」がアカデミー賞にノミネートされているのことですが、納得の一曲です。
はじめてCMでこれを聴いたとき、「サイド・ショウ」というミュージカルの"I Will Never Leave You"を思い出したのですが、全く同じ内容を力強く伝えます。
ただ"I Will Never Leave You"の歌詞が「シャム双生児」である事実と切り離せないのに対して「This is Me」は、身体的特徴を持った人でなくても、社会からはぐれていると感じている人々がみんなそのまま共感できる歌詞になっているのです。
それが本当に素晴らしい!
ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールはやっぱり天才です!

そんな彼らの音楽をちゃんと歌える人が歌う感動。一部吹き替えキャストもいましたが、それは映画ならではのお得なところです!

さて、この映画はP・T・バーナムという実在の興行師の物語です。
けれど伝記ではなくて「P・T・バーナム」という人をモチーフにしたショーでした。


プログラムに「バーナムの闇も描けばもっと深くなったろう」的なことが書かれていたのですが、深くなる必要なんてショーにはないです。
確かにバーナムの生涯が根底のストーリーとして描かれてはいます。
幼き時の恋から結婚、やりたいことを始めるまでは一曲の中で見せちゃうスピーディーさ。
監督はこれが初映画で、それまではミュージック・ビデオとかを作ってらしたそうですが、その辺の手腕が活きてます。一曲の中に人生を見せる。その後、バーナムの成功と挫折が描かれるわけですが、これもあくまで曲を魅せること、つまり歌とダンスを魅せることをメインにしています。
これこそがショーです!

床を打ち鳴らす音からはじまるドキドキワクワク。
静かに歌いだすヒュー・ジャックマン
輝くスポットライトのときめき。
緊張感弾ける格好いいオープニング。

オープニングでテンションを上がらせてこそショーです。
さらに
ロマンティックなラブデュエット、
無条件に盛り上がらせる中詰めのリズムと迫力、男たちのキメキメシーン、
圧巻のディーバの歌声、
夢のように美しいダンス(しかもエアリアル!)
、ショーに必要なものが完璧な形でここにありました。
ケンカのシーンまで細かく振付られているくらい、全てのムーブメントが徹底しています。
まるで私自身が空中ブランコをしているかのような浮遊感と目まぐるしさ。これこそがバーナムが作ったサーカスで、そして私がショーに求めるものなのです。

本当に素晴らしいショーを見ました!
最高に興奮したいショーを見たい人はぜひ映画館へ!
そんな作品でした。

ということで、映画の感想は以上です。
以下は私の止まらないマニアックな思いをダダ漏れします。

話を冒頭の②に戻します。
私は特にヒュー・ジャックマンのファンというわけではないのですが、なぜか2004年にニューヨークで「The Boy from OZ」という彼主演のミュージカルを見ています。帰国して日本でも有名な映画俳優と知ったくらい、ヒューについて無知でした。
でも「The Boy from OZ」、作品としてはイマイチでしたが、ヒューが素晴らしいエンターテイナーであることを痛感させる作品でした。
2004 Tony Awards - The Boy From Oz.m4v
2004 Tony Awards - The Boy From Oz.m4v


 ヒューの徹底したサービス精神、観客を楽しませたいという気持ち、それがビンビンに伝わってくるものでした。それが今回のバーナムと重なるとのです。さらにショーマンとしてのハットの扱い方までこの映画のヒューは完璧でした。ヒュー以外の誰がこの役をできるでしょうか。
そしてそう思わせたことが素晴らしいのです。
ということで、2018年のトニー賞MC復活、お待ちしています笑
ザックと一緒ならなお嬉しい

いやあもうザック・エフロン、最高でしたね!
もちろん私は

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のファンですし、

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のザックも大好きです
ヒューがベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの新しい音楽にちょっと苦戦しているふうでもあったのに対して、ザックは彼らの音楽を歌うために産まれたんじゃないかというような素晴らしい歌声を披露。
そしてラブデュエットの手慣れ感がサイコーでした笑
上記2つで散々やってきましたもんね
それがハマる男性に育ったザックに完敗です。

そんな男性2人に対する女性がまたいいんですよ!
バーナムの妻・チャリティを演じたミシェル・ウィリアムス。こんなにダンスが上手いとは知りませんでした。バーナムとの屋上のスリリングでロマンティックなデュエットダンスが素晴らしくて感動!


そして、空中ブランコパフォーマーのアンを演じたゼンデイヤ。この人についてはもうこの映画見てくださいとしか言えない。何もかもがチャーミングでかつ歌もダンスもステキなんです!
ザックとのエアリアルデュエットダンスシーンは、何度でも何度でも見たい。

こういうシーンがあることが、ミュージカル映画にとって大事なんです。少なくとも私にとっては。

あとはもちろん「This is Me」を歌うキアラ・セトルですね。ブロードウェイの実力者がこういう機会に起用されて注目されるのは嬉しい。アカデミー賞で彼女の歌声とともに、フリークスたちの素晴らしいダンスが披露されることを願っています。(振付もいろんなテイストをキレイに整理して詰め込んでいて素晴らしかったです!)

そんな素晴らしいショーシーンが満載の「グレイテスト・ショーマン」なんですが、一応ストーリーについて感じたことも覚え書きします。
完璧なショーなので、ストーリーのどこを切り取るかは人により異なるでしょうが、私は「上流階級」というところに1番心惹かれました。

今回はバーナムの妻・チャリティとザックが演じるフィリップが上流階級の出です。
チャリティが「フィニッシングスクールに行かされる」とバーナムに告げるシーンが、ああ本当に上流階級なんだと痛感させました。フィニッシングスクールは花嫁学校と訳されてましたが、これに該当する日本語ってないような気がします。
社交界デビューのためのあらゆるマナーを学ぶ学校。特権階級が特権階級が集う場で必要なことを身につけるところ。チャリティは本物の上流階級の娘なわけです。
一方のバーナムは、そんなチャリティの家に出入りしてた仕立て屋の息子で、早くに父親を亡くし、あらゆることをして生き抜きます。
その2人の間にある「差」。
チャリティは本物であるがゆえに、全く気にしない。彼女はとても聡明で強い人です。
だけどバーナムの中にある上流階級へのコンプレックスを心から理解することはできない。それすらも彼女は分かっていたと思います。だからバーナムと歌姫ジェニー・リンドのスキャンダルがダメだった。恋愛感情とは別の、上流階級へのコンプレックスがつないだ心通うものに、彼女は負けたと感じたのかもしれません。

フィリップもチャリティと同じように、上流階級育ちで聡明であるがゆえに偏見を持ちません。だから自分の両親に堂々とアンを紹介する。けれどアンは彼の両親からの蔑視と中傷に傷つき、フィリップとの恋に躊躇します。
豊かな環境で育ったものが持つ強さと信念。
恵まれなかった環境で育ったものが持ってしまう劣等感。
そういうものを考えてしまいました。

グレイテスト・ショーマン」は、すんばらしいショーシーンを見せてくれるうえに、何かまで考えされてくれるすんごいショームービーです!
お好きな方は本当にぜひとも見てください!

【追記】
ジェームス・コーデンの人気番組「Crosswalk the Musical」が映画鑑賞後に見たら、さらにおもしろかったので、ぜひご覧ください。


crosswalk the musical on broadway


ちなみに1曲目が「踊る大紐育

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ジーン・ケリー,フランク・シナトラ,ベティ・ギャレット
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

から「ニューヨーク・ニューヨーク
2曲目が「ガイズ&ドールズ」

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マーロン・ブランド,フランク・シナトラ,ジーン・シモンズ,ヴィヴィアン・ブレイン,スタビー・ケイ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
星組宝塚大劇場公演 ブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』 [DVD]
宝塚歌劇団,北翔海莉,妃海風,紅ゆずる,万里柚美
宝塚クリエイティブアーツ

から「Sit Down,You're Rockin' the Boat
3曲目はこの「グレイテスト・ショーマン」の曲なので大丈夫ですね。
4曲目は「FAME」

フェーム [Blu-ray]
アイリーン・キャラ,リー・カレリ,ポール・マクレーン,ローラ・ディーン,アントニア・フランチェスキ
ワーナー・ホーム・ビデオ

の主題歌です。

【追記】
このBlu-ray&DVDは買わずにはいられませんでした。
落ち込んだときに見るのにピッタリです。

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ヒュー・ジャックマン,ザック・エフロン,ミシェル・ウィリアムズ,レベッカ・ファーガソン,ゼンデイヤ
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