5/19(日)18:00〜 オリックス劇場
チャーリー 小池徹平
ローラ 三浦春馬
ローレン ソニン
ニコラ 玉置成実
ドン 勝矢
ジョージ ひのあらた
3年前の初演が好評だったとのことで、再演が決まり、今度こそと気合いを入れてかなり早い段階でチケットを手に入れました。
チケ取りには紆余曲折あったのですが、とりあえず「記載されていることはキチンと読んで入力しよう」と反省しました。そしてわたしが誤って取ってしまったチケットを快く引き取ってくださった皆さまに改めてお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
で、そんなに早く取ったチケットなのに、2階4列とは何事かと怒っていたのですが、行ってみたら、オリックス劇場の2階1桁列はちょっとせり出したバルコニー席的な感じの場所でして、前後の座席とも高さがきっちり取ってあり、非常に舞台全体が見やすい席でした。ほっ。
ところで、わたしが日本版初演を観ていないのは、チケット難だったことよりも、日本版初演の後にすぐブロードウェイから来日公演が来ることが決まっていたことが大きかったのです。
日本版よりホンモノ、英語で先に見たかったのです。
その来日公演の感想が下記です。
ストーリーなどはよろしければこちらからご覧ください。
このように自分で驚くくらい感動しまして、だから、満を持して日本版再演を見ました。
セットや照明などはブロードウェイ版と同じでした。
開幕前にドンが演じながら観劇注意事項を言ってくれるのも同じく楽しかったですね。
そしてここはやっぱり日本語がありがたかったです(^◇^;)
この演目はどうしてもローラに注目されがちだと思うのですが、主人公チャーリー役の小池徹平くんがちゃんと物語の中心にいていたのが素晴らしかったです。
この辺は「1789」などで主演を務めた経験が勝ったかなと思います。
「1789」の時にも思いましたが、小池徹平くんのハモりのうまさはミュージカルには宝ですね!
そしてチャーリーがきちんと主役としての仕事を果たしているからこそ、ローラが輝けるのです。
以前に一度、地球ゴージャスの舞台に立つ三浦春馬くんを見たことがあったのですが、その時に彼は舞台の方が光るなと感じていました。
何より身体能力が高い。
テレビ出身の役者さんが舞台に立つとどうしても姿勢とか身のこなしとかが出来てない場合が多いのですが、三浦春馬くんはこれが自然に出来ているんです。
そして歌も充分なレベル。
これからもミュージカルでも活躍してもらいたいと思います。
ただやはりソニンと他とのレベルの違いは気になりました。
というかせっかくの日本語なのに、ソニン以外の役の歌詞が聞き辛かったのが残念です。
なのに妙な言葉は耳につくのですよね。
1番残念だったのが、来日版で心からスカッとしたWhat a woman wants。
主旋律が聞き取りにくいうえに「what a man」の部分だけが「男」と訳されて繰り返されるので、まるで「女がほしいのは男」みたいに聞き取れてしまったんです(涙)
本来は「女が男に本当に望んでいることは、男が思ってることと違う」ということを訴える素晴らしい一曲なのに、そう聞こえなかった悲しさ。
確かに曲調が早いので、訳詞が難しいことはよくわかるのです。
でもNot my father's son のサビをそのまま英語で使ったのだから、ここも変に「男」に訳すより「what a man」でよかったのでは。
訳でもう一つ気になったのが、ladies &gentlemenに続くthose who have yet to make up your mind。
これが「まだどちらか決めかねている人たち」となったのですが、ローラは男でも女でもなく、ただ「ありのまま」のローラですよね。
ローラが「どちらか決めかねてる」とは思えない。そしてどちらかに決める必要なんてないことを示す存在がローラじゃないのかな、と思うととても違和感。
その前にチャーリーがローラに留守電を残すセリフで「きみこそ本当の男だよ」的セリフもひっかかりました。
来日版のときに気になった記憶がなかったので、英語の脚本が見られるサイトで確認してみたのですが、それらしきセリフがないんです。
https://ja.scribd.com/document/359611276/Kinky-Boots-Libretto
3年前よりもっと現在はジェンダーは大切にされている問題です。
気になったので、英語をいろいろ調べてみたところ、yetが肯定文の中で使われるときは
①昔から今にいたるまでずっと(相変わらず)
②期待感がないときに特に使われる
という回答がありました。
これが正しいのかはわからないのですが、少なくとも今の時代、男と女の2つのどちらかに当てはめるというのはナンセンスだと思うんです。どちらでもない人は現実にいるのです。
そして日本語版を作るということは、英語そのままでなくても良いということがメリットなのだから、「レディース&ジェントルマン、そしてどちらでもない方々」でよかったんじゃないかと思うのですよ。
それこそ、ローラ役のオリキャス、ビリー・ポーターさんのアカデミー賞のタキシードドレスが話題となり、評価される時代です。
インパクト絶大! 2019年アカデミー賞のレッドカーペットで話題をさらったタキシード・ドレス
せっかくの再演なので、その辺はアップデートしてもいいのになと思いました。
とは言え、この作品の持っているメッセージも、音楽も素晴らしくて、心揺さぶられるながらも元気になれるステキなミュージカルであることはたしか。
ぜひこれからも再演を期待したいです!
【追記】
2020年7月18日、宝塚花組の「はいからさんが通る」の配信を涙涙で見ていたときに、三浦春馬さんが亡くなったニュースが飛び込んできました。
この感想を読んでいただくと感じられたかと思いますが、わたし個人は三浦春馬さんのローラが特別に好きだったわけではありませんでした。
というよりも、わたしは実は普通にミーハー的に三浦春馬さんが好きでした。
あのそこはかとなくただよう品と美しさ、なによりチャーミングな笑顔に癒されていたので、「おんな城主 直虎」の井伊直親のような役を演じている三浦春馬さんの方が好きではありました。
ただ昨日10月27日、キンキーブーツを制作したブロードウェイのプロダクションからこのような素晴らしい映像が公開されたので、それをぜひ残しておきたいと思います。
スター性もローラ役としての魅力も充分、でも歌だけがまだ歌詞がクリアに聞き取れるレベルではない。だからこそ、再演を重ねるごとに進化していく彼のローラに会いたかったな、と改めて思いました。
そして何より、見ている側の心を和らげてくれるあの笑顔をずっと見ていたかったです。
どこかで彼が今、心の底から笑顔を浮かべていられることを、ただ祈っています。