こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

真実は小説より王道@ホリプロ「ファインディング・ネバーランド」

6/10(土)17:30~ @梅田芸術劇場

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スタッフ

原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 

アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan
台本:ジェームズ・グラハム
作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ

翻訳・演出:小山ゆう
訳詞:高橋亜子

照明:勝柴次朗
振付:松田尚子 

キャスト

ジェームズ・バリ:山崎育三郎
シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治
メアリー・バリ:夢咲ねね
デュ・モーリエ夫人:杜けあき

キャナン卿:遠山裕介
クローマー:廣川三憲
ヘンショー:星 智也

ジョージ:越永健太郎、ポピエルマレック健太朗(Wキャスト)
ジャック:生出真太郎、豊田侑泉(Wキャスト)
ピーター:小野桜介、長谷川悠大(Wキャスト)
マイケル:奥田奏太、谷慶人(Wキャスト)

 

わたしが観劇した回の4人の少年は上記写真のとおりです。

特にジョージ役の越永健太郎くんがウクレレの弾き歌いもなんなくこなして上手くて驚きました!

ちなみにポルトス役はセントバーナードのオリトくんでした🐶

 

さて本編ですが、「ピーター・パン」のお話しはよく知っていましたが、ミュージカルの着想元となった映画は未見。

ブロードウェイ来日公演を見ておらず、ブロードウェイ版でジェームズ役を演じたマシュー・モリソンビルボードライブで、メドレー形式で楽曲だけ先に聞いたことがある程度のほぼノー知識で見たので、改めてこんな話だったのか、と思いました。

特に二部は割とベタな展開になって、マジで?となっていたのですが、観劇後にWikipedia先生を読むと、これが事実だと知って驚きました。

 

物語は劇作家のジェームズがスランプに陥っているところから始まります。

そしてデイヴィス家の4人の兄弟たちと出会い過ごす間に、物語を作ること、空想の世界を広げることを思い出し、ピーター・パンの着想を得る、という内容なのですが、ジェームズと4人兄弟との出会いがロンドンのケンジントン・ガーデンズで、そこにピーター・パンの銅像があったことを思い出し、しみじみするような、ハートウォーミングな作品でした。

 

ただ全体的に曲が弱い。悪くないんですが、耳に残りにくい。

この点がブロードウェイでヒットしなかった理由なのかなとか、ちょっと思いました。

だってブロードウェイ版の演出「PIPIN」リバイバル賞受賞のダイアン・パウラスですよ!そして振付はミア・マイケルズですよ!めちゃめちゃ見たい!見たかった!

(ミア・マイケルズは「So You Think You Can Dance?」のこの作品がめちゃくちゃ好きだった振付家です。アステア賞ではこのミュージカルの振付でノミネートはされていました。)


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これSYTSCDのシーズン2の作品なのですが、シーズン9でも別のダンサーが踊ったり、シーズン2のトラヴィスが別のパートナーと踊ったりしているみたいなので、この作品がすごく支持されているのが、改めて分かりました。


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踊りは言葉を超える、ということがよく分かる作品なので、よろしければ見ていただきたいし、個人的にも見返したいので、ここに保管しておきます。

 

で、日本版なのですが、こちらも振付は悪くなかったですし、照明が工夫されていて、物語の前半から後半へ、このためのこういう照明だったのか、と感動しました。

だからこそピーター・パンもウェンディも照明のみで表現しても面白かったかなと思います。

そして物語も最後にはうっかり涙しちゃうくらいにはいいのです。

ただなんかちょっと引っかかってしまったのが、ジェームズとその妻・メアリーの関係だったのかなと思います。

メアリーの登場の仕方が中途半端というかなんというか、ジェームズと4人の子供たち、そしてシルヴィアとの心の結びつきを丁寧に描くなら、メアリーとのすれ違いももっと丁寧に描いた方がよかったと思うのです。

シルヴィアとの関係がリアルな話に基づいているのに対して、メアリーとの関係は若干フィクションぽいので、その差がちょっと出てしまったのかなと思います。

でもメアリー役の夢咲ねねさんはそのスタイルの良さが際立つ衣装で美しくそこにいてくれて大満足。ただファン的にはいろいろな姿が見られて嬉しいけれど、メアリー以外のアンサンブルの役も結構多くて、その辺りもメアリーという役の書き込み方が少ないように思いました。

そして一方のシルヴィア役の濱田めぐみさんに、なんというか、個人的には上流階級のお嬢様らしい気品と純粋な気さくさや温かみが感じづらかったのも違和感の一つかなとは思います。登場シーンは4人の子どもの乳母なのかなと思ってしまいました、すみません。でも歌は本当に絶品。山崎育三郎くんとのデュエット「Neverland」は耳福以外の何物でもなかったです。このクオリティで歌える人、となると、本来この役にちょうど良い年齢で主役級の存在感を放てる人が思いつかなかったので、濱田めぐみさんしかなかったなと思います。

(個人的には前に見た「バンズ・ヴィジット」の濱めぐさんがすごくよくてハマっていたので、本来彼女は「バンズ・ヴィジット」の時の役のような、サバサバした感じなのかなあと思いました。「バンズ・ヴィジット」のアフタートークもあっけらかんと楽しい方だったので)

 

一方で山崎育三郎くんのジェームズ役は、本当にとてもよかったです。個人的には「ラ・カージュ・オ・フォール」のジャン=ミッシェル以来の当たり役だと思いました。

子どもたちと接する姿がとても自然で暖かく、とりわけ二幕のピーターと歌う「When Your Feet Don't Touch the Ground」は感動的でした。

子どもは大人が思っているよりもずっとちゃんと分かっている。

当事者である彼らには真実を知る権利がある。

そういうことをジェームズだからこそ理解しピーターにまっすぐ向き合う。そしてピーターもしっかりそれを受け止める。それが歌となるのはミュージカルの醍醐味を感じます。

そして厳しくも暖かいデュ・モーリエ夫人、杜けあきさんのコミカルとシリアスの塩梅の上手さよ!大詰めシーンでデュ・モーリエ夫人が拍手を導くところは、思わず涙しながら、それでもこちらも「ピーター・パン」の物語を見ている気持ちで拍手しました。

そしてだから子どもたちは大丈夫とも思えたシーンでもありました。

 

後半は特に「ピーター・パン」の物語が入り交じり、そこが面白く武田真治さんの二役も見事でしたが、これ、もし「ピーター・パン」を知らなければ、なんのこっちゃってならないだろうか、とはちょっと思いました。

児童文学として、そしてディズニーアニメとしても有名な話しですが、これからはもっと「ピーター・パン」を知らない層も出てくるだろうし、ちゃんとは知らないという人だっているだろうことを考えると、その辺のツメもちょっと甘かったかなと思います。

この辺りを映画はどう描いているのか気になるので、映画の方もぜひチェックしてみたいと思いました。

 

ところでですね、グッズのアクスタね、ランダム式はやめましょうよ。だって今回のメインキャストでアクスタ欲しい層の9割は育三郎くんファンですよね。残りを多分、武田真治さんとねねちゃんファンが担ってますよね。濱めぐさんファンもきっとアクスタほしい感じのファンでないと想像しますし、杜さんファンもほとんどそうだと思うんです。

いやわたしは杜ファンとして出るなら、きっとこれが最初で最後だから買わねばと思いましたが、それを当てるためにいくら投資したらいいのか怖かったし、育三郎くん目当ての方が杜ちゃん当たっていらなーい、ってなっているのを見るのも哀しい。

なので値段を上げてもいいから、数を調整してアクスタ指定買いをさせてくれたらよかったのになと思います。

そしてねねちゃんはアンサンブルの役まで全部アクスタも舞台写真も出してくれていいですよ。指定買いができるなら買いますから。

ということを最後にホリプロさんの劇場グッズ企画部に訴えておきたいと思います。笑