5/5(金)11:00~ @宝塚大劇場
ミュージカル・ロマン
ライラックの夢路-ドロイゼン家の誇り-
作・演出・振付 謝 珠栄
ハインドリヒ[ドロイゼン家の長男] 彩風 咲奈
エリーゼ[職業音楽家を目指す女性] 夢白 あや
フランツ[ドロイゼン家の次男] 朝美 絢
ゲオルグ[ドロイゼン家の三男] 和希 そら
ランドルフ[ドロイゼン家の四男]一禾 あお
ヨーゼフ[ドロイゼン家の五男] 華世 京
夢人[魔女]/アーシャ[魔女と蔑まれた女] 美穂 圭子
フンボルト[ブランデンブルク銀行頭取/ディートリンデの父]奏乃 はると
ディートリンデ[銀行家の娘] 野々花 ひまり
アントン[エリーゼの友人/鉄職人] 縣 千
農業収入には限界がある、英国の産業革命に追いつけ、追い越せ、そうだ、これからは鉄だ、鉄でみんな豊かになるんだ、と突っ走るドロイゼン家の長男とその兄弟のお話しなのですが、そこに移民差別やら魔女裁判やら政治やら女性の自立をかるーく絡めてしまったのが、まず問題だったかなあと思います。
行きの阪急電車の中で、宝塚歌劇創業者・小林一三生誕150周年のポスターを見かけたのですが、
この作品がそこを意識したものなら、鉄でレールを作るところから始めずに、もう鉄道を通して走らす作品にしてしまった方が楽しかったような気がするのです。
例えばドロイゼン家の兄弟の目的は鉄道開通の一つで、それぞれが領地采配・株式会社成立(長男)、金融機関との交渉と資金繰り(次男)、現地土地利用交渉(三男)、鉄道制作(四男、五男)でがんばって、鉄道完成して出発進行、大団円でよかったと思うのですよ。ファンタジーなんですから。
領地売却されるかもと誤解して反対運動を起こすヒロインと出会って、領民と交流しながら彼女に惹かれていく長男、銀行頭取のお嬢様との恋と資金繰りの狭間で悩む次男を支える三男に、お坊ちゃまな四男、五男を先導し鉄道作りに邁進する鉄工所の男で、今あるダンスを盛り込めば、十分に楽しい作品になったと思いますし、小林一三生誕150周年の祝祭劇なんだなと思えた気がするのに、なぜこうなったのでしょうね・・・。
でもまあとりあえず、酒場と鉄工所のダンスは楽しかったし、初っ端の「鉄はすごいぞソング」が妙にツボにハマって、変な方向で笑いとして楽しんだので、まあこれはこれ、でしょうか。
こういう話ですから、長男から三男までは、逆に深刻に役作りをしすぎたかなと感じさせてしまうあたりもやっぱり演出の方向性が違った気がします。
変に深刻にならず、ショーだと思って「魅せる」、「楽しい」の方向に振り切った演技で統一したほうが、多分もうちょっとまとまりも出たような気もするのです。
(でもそうしようにも、葬式シーンがあったりしてバランスが難しいと思うので、彩風さん、朝美さん、和希さんは大健闘だと思いますよ、本当に)
そういう意味で鉄職人の縣くんが、ひたすら元気で可愛くて、この作品の本来持つテイストにあっていました。
逆にこういう作品って新人公演が難しいのか簡単なのか、妙なところが気になるという、いろんな意味で変に興味深い作品ではありましたが、なかなかに厳しい時間でした。
しかし宝塚にはショーがある!いや今回はレビューがある!
ファッシネイト・レビュー
ジュエル・ド・パリ!!-パリの宝石たち-
作・演出 藤井大介
オープニングから大階段登場するよ、とは聞いていたのですが、まさかの大仕掛け!
もう本当「正統派レヴュー」なはじまりに大興奮!
からの初舞台生のラインダンスで「ああ、キミたちこそがこれから磨かれて宝石になるのね」と感動。
その後もシャンソンベースで正統派でありながらも、ちょっと新しいショーシーンが続きます。
和希そらさんクレオパトラのダンスが、もう圧巻。
人間の身体ってあんなに動くのだと感動。
中詰めはカンカンでこれまた楽しい!
「diamonds are a girl's best friend」で娘役さんたちが魅せてくれるのもよかったし、最後は「愛の宝石」のバリエーションで、ザ・宝塚レビューを堪能いたしました。
そしてこれが終わって、あー楽しかった、と芝居を全て忘れ切らせたのがすごいです!
レビューだけもう何回か見たいんですけど、そしてレビューだけだったら円盤買いたい勢いなんですけど、この辺が本当に宝塚の難しいところだな、と改めて思いました。