7/25(土)13:00~ 宝塚大劇場
脚本・演出 小柳奈穂子
キャスト
伊集院 忍 柚香 光
花村 紅緒 華 優希
青江 冬星 瀬戸 かずや
鬼島 森吾 水美 舞斗
伊集院伯爵 英真 なおき
伊集院伯爵夫人 美穂 圭子
花村 政次郎 冴月 瑠那
如月 鞠花 ゆめ
狸小路伯爵 舞月 なぎさ
ラリサ 華雅 りりか
ばあや 真鳳 つぐみ
印念中佐 優波 慧
花乃屋 吉次 朝月 希和
高屋敷 要 永久輝 せあ
青江 須磨子 春妃 うらら
牛五郎 飛龍 つかさ
北小路 環 音 くり寿
藤枝 蘭丸 聖乃 あすか
1.はじめに
わたしの「はいからさんが通る」の第一印象はマンガでもアニメでもなく、こちらでした。
われながらアラフォーらしい・・・。
原作マンガも読んだ記憶はきちんとあり、青江冬星さんが雑誌社の編集長で大好きだったことは覚えていたのですが、逆にいうとそれ以外の記憶が抜け落ちておりました。
そして観劇にあたり、原作を読みなおすか読み直さないか迷っていました。
そうこうしているうちに感染症が大流行し、4月に観劇予定だったこの作品は開幕することもなく、休演してしまったのです。
あらゆる舞台が休演や公演中止に追いやられ、さまざまにいろいろな活路を見出そうとがんばっている様子を感じながら、いつか再開することを信じて待つしかできない自分がはがゆい時期でもありました。
休演したまま3週間ほどだった3月30日の宝塚歌劇の公式インスタグラム。
本来であれば華々しくトップスターとしてお披露目公演をむかえていたはずの柚香光 さんのこの堪えたトーンのメッセージに泣きました。
そこから待つこと約2ヶ月。
待ちに待った「はいからさんが通る」の公演再開が決まり、7月中旬になんとかチケットを手にしたわたしは、もういろいろ待ちきれず原作マンガの電子版を大人買い!
読んでみていろいろ衝撃を受けました。
2.原作マンガと物語
「はいからさんが通る」とはこんな話しだったのです。
大正七年
時・・・浪漫のかおりみちみち
人々の心 いまだ情けを知る
元武家・花村家の一人娘、紅緒は好奇心旺盛で新しいものを好んで取り入れつつ、武芸にも秀でる女子学生。時折周囲を騒動に巻き込みながらも自分らしく元気に生きていました。
親友の環は華族令嬢でありながら、「平塚らいてう」の「原始女性は太陽であった」という思想と「女性解放運動」の影響を多いに受け、自立して生きていきたいと願っています。
しかしながら紅緒にひょんなことから縁談が舞い込みます。
お相手は父親の部下で華族の令息・伊集院忍少尉です。
実は二人は産まれたときから決められた婚約者同士だったのです。
それに反発する紅緒でしたが、少しずつ少尉の人柄に惹かれていくのです。
少尉も紅緒の枠にはまらない個性に惹かれていきます。
ただ時は戦時中。少尉は軍命で小倉からシベリアへ。
そしてそこで暴動に巻き込まれ消息不明に。
華族といいつつも体面を保つのが精いっぱいだった伊集院家。
紅緒は自ら出版社で働き、職業婦人となり、少尉の家族を支えていくことを決意します。なんと環も新聞記者に。
ロシアから亡命してきた貴族のニュースを追いかけて、その滞在先である狸小路伯爵家へやってきた2人は、少尉そっくりのサーシャ・ミハイロフ侯爵に出会います。彼にはラリサという妻が。
実はサーシャは、ドイツ貴族と日本人の混血児であった伊集院忍の父親違いの弟だというのです。
サーシャは少尉なのか、紅緒の恋と人生の行方は・・・。
まずは原作マンガが「女性が自立して生きる」ということを描いていたことに驚きました。
紅緒さんはもちろん、それを体現している環がとにかくまぶしい。
最後に環は身分は捨てるものの、仕事と恋は捨てずに旅立つのです。
この両立のあざやかさ!いまだに仕事を選ぶか結婚を選ぶか、はたまた両立ができるかで悩むというのがテレビドラマなんかの定番だったりするのを見かけたりする(テレビドラマはよりリアリティーやら共感やらが大事なので当たり前の選択です)ので、この環の選択の格好よさに今さらながらしびれます。
ここまで女性二人がまぶしいと、逆に男性キャラクターが単なる魅力違いの架空の王子様ぽく感じてしまったのは、単にわたしが歳を取ってしまったせいでしょう。
原作マンガは大正時代の時事風俗なども巧妙に織り交ぜてあり、今読んでも色あせることのないすばらしい作品でした。
ただ原作マンガの個人的に苦手だった部分が、ギャグを多用しているところでした。もちろん面白いところも多くあって、時にシリアスになる物語にいい感じの軽さを与えてもいるのです。
でも青江冬星編集長にストーカー並みにせまるつめ子さんと、紅緒さんが投獄されたときに出会う牢名主さんの描き方が個人的にちょっと受け付けなかったのです。
しかし全体に改めて原作マンガにはまったわたし。
残念ながら初演を見ていないので、ワクワクと宝塚歌劇版「はいからさんが通る」を見ました。
3.4ヵ月ぶりの劇場とその対策状況
舞台の感想の前に、まず宝塚大劇場の中に入れることに涙してしまいました。
もちろん、恒例のここで写真撮影できることも嬉しい!
チケットは1公演1人1枚しか取れなくて、当日発券もしくはメールに送られたQRコードを入り口にかざして入場する新しい方式だったのですが、これがまたはじめて宝塚を観劇するときのようなドキドキ感。
改札と呼ばれる入り口や並ぶ必要のあるいたるところにこのような距離感を保つ印がありました。
QRコードを機械にかざして発券されたシートを取るのは、まるで空港のゲート入場のようでもありました。
ちなみに大劇場の2階軽食・お菓子売り場の品ぞろえもほんの少しだけで、ペットボトル飲料以外の自販機は使用禁止になっていました。
また飲食はできるかぎり控えてもらいたい等のアナウンスもありました。
なので、途中でお腹が空かないよう先にどこかでしっかり食べておく方がよさそうです。
それからキャトルレーヴ に行かれたい方は整理券が絶対に必要なので、劇場着いたら速攻キャトルレーヴ 入場整理券配布受付に立ち寄ってください。キャトルレーヴ 入り口近くにあります。
さて開演を待つ間も信じられないほど静かです。
録音上演のためオーケストラの調律の音も聞こえません。
かつてあったざわめきを懐かしく思いながらも、観客全体がものすごく覚悟を持ってその席に座っているような雰囲気に震撼。
劇場マナーも客席係が大声を張り上げるのではなくアナウンスで流されます。
(これについては今後もこの方式でいいと思いますが)
そして緞帳があがるとタイトルバック。
ダサい!笑
でも1970年代の少女漫画っぽくて愛おしい。
というか、これを写真に撮れるのが嬉しい。
続く開演アナウンスでは大拍手。
観客が半分以下とは思えないほどです。
思いはみんな一緒なんだ、と感涙。
そしてお芝居がはじまり、プロローグに移り、セリあがってきたときの柚香光さんのキラッキラの笑顔に涙腺崩壊。
舞台がいつも以上にまぶしくてまぶしくて、プロローグは涙が止まりませんでした。
4ヵ月も劇場で芝居を見なかったことなんて、観劇をはじめてからの約30年間で1995年の大学受験の年以来でした。(しかも1995年も阪神大震災で3ヵ月ほど大劇場公演がなかったのですよね。)
4.そして作品の感想
しかしすばらしかったのはそんなわたしの感傷を弾き飛ばす紅緒さん(華優希さん)の好演。
「ポーの一族」
メリーベル役の時もかなり夢中だったのですが、そのあとの「A Fairy Tale」
で令嬢から老婦人まで自然に演じたのに感心していましたが、今回はどこから見ても紅緒さん。
あのメリーベルの美少女特有の魔性性もきっと演技力のなせる技だったんだなと今さらながら感心。
というか、華優希・・・恐ろしい子!
そして紅緒さんというキャラクターの最も個人的に素敵だと思っているところを全く殺すことなく演出して魅せてきた小柳先生に完敗。
宝塚歌劇というのは不思議なところで、出演者全員が女性だというのにいわゆる「男尊女卑」的な制度が垣間見られるのです。
男役を娘役がたてる、のが大前提としてなりたっています。
バラをひきたてる「かすみ草」のような娘役がよし、とされがちなのです。
もちろん宝塚歌劇は人気商売ですし、その特性からも「男役」に人気が集まるから、そこを大切にしていくというのは、劇団運営としては正しい方向性だと思っています。
それでも時折、何かと戦うかっこういい男性、それを支えて待つ女性またはそんな男性に守られる女性という形状に「またか・・・」と思ってしまうのです。
しかし舞台でも紅緒さんは紅緒さんでした。
竹刀や傘を振り回し、けんかをしては相手を負かせる。
「ME&MY GIRL」のサリーもそうですが、サリー以上にナチュラルに膝をひらいて堂々と椅子に座る。
どんなに偉い人にだって正しいと思うことはそう言い、言葉の分の覚悟を持つ。
さらに「おいしいお酒がありますよ」という言葉に感傷にひたっていても、うっかり興味津々に笑ってしまう。
一番最初に少尉と出会い、笑いが止められない少尉を「えちけっとに反することをご存知ないのですか」と平手打ちする紅緒さんの流儀は、まああの状況でそれが正しいかどうかは別としても、今の我々が持っていてもいいのではないだろうか、と改めて思いました。というかずっとこの流儀を貫いていたら今ごろ女性が性差別を受けることももう少しは少なかったのではないだろうかと思ってしまいました。
もちろん紅緒さんは流儀に厳しいだけではない。
投獄された紅緒さんの元に少尉が駆けつけるシーンでは、自分の方が大変な状況なのに、少尉に「おかえりなさい」という紅緒さんの強さに心打たれます。
この紅緒さんの強さこそ、少尉が守りたかったものなのだと自然に思えたのでこの後の少尉の行動も納得できるのです。
実は楽天TVで有料ライブ配信された「はいからさんが通る」を見て、どうしても初演版も見たくなり、タカラヅカ・オンデマンドを思わずポチ。
テレビの大画面で見せてくれたこれ↑↑↑ 本当にありがとう!
それからこの観劇に挑みました。
舞台は大劇場ならではの盆やセリを使いながら、初演時よりもパワーアップしているシーンはいくつもあります。
(違いを楽しみたい方はぜひタカラヅカ・オンデマンドをどうぞ。660円で見れますぜ笑)
環と出会うシーンで、女学校の先生から「古典的女性の価値観」を告げられ叱責される紅緒さんを環が華麗にかばうくだり。
原作がもっていた「時代背景」を元々あった駆け落ちシーンに街の情景としてオペラ歌手を登場させてきたところ。
花乃屋のシーンに移り変わるところで、セリにずらりと並んだ芸妓さんの盆が回って登場してくるシーンはその華やかさにため息。
個人的には紅緒さんモンペ姿のお輿入れが、ちゃんと牛五郎がひく人力車に乗っての登場だったところにだだ萌えしました!
(しかも紅緒さんの衣装がマンガをみごと再現しててかわいいんですよね)
けれども最大のこの作品の魅力は初演時からあった二部幕開けの「大正デモクラシー・ガールズ」ではないでしょうか。
環とモダンガールズたちが新時代の女性の価値観を歌い踊るのですが、この歌詞がすばらしい。以下抜粋です。
自由とプライドを
小脇にかかえ
支える手はいらないの
ひとりで立てる
こんな歌詞をババーンと宝塚歌劇で聞く日が来るとは。
宝塚歌劇の女性役たちが歌い踊るシーンでこんなにスカッとした気分になったのははじめてです。
このシーンを見るだけでも、この作品には価値がある、と個人的に思います。
環を演じた音くり寿ちゃんは初演時の城妃美伶ちゃんに比べると「マンガの容姿の再現度」ではやや劣るものの、何より歌がうまい!
なので二部幕開けのこの(個人的)大切なシーンは彼女で聞くとよりパワーアップしている気がしました。
さらに花乃屋吉次を演じた朝月希和ちゃんがしっとり艶やかでいい芝居をするので、どうしてもマンガ同様女性キャラクターに目がいってしまうのですが、そこをくつがえすのが、宝塚歌劇の男役なのです。そして小柳先生の演出なのです。(つめ子さんも牢名主さんも出ない方向で調整してくださったことにも感謝!)
少尉がドイツ人との混血であることを紅緒さんに説明しようと「僕をよく見てください」と近づき壁ドンにニヤリ。
そして「ラブぬきの結婚」論争から続くソファプレイ(と勝手に命名)はあまりに可愛くてキュンキュン!
もちろん数々の麗しい衣装を着こなす柚香光さんの美しさ(特にロシアの毛皮の帽子をかぶった姿はあまりにきれいでまぶしかったです。何あの美のかたまり!)、大劇場バージョンからストーリーテラーもこなすことになった高屋敷要を演じる永久輝せあさんの爽やかさ、コミカル要素をもちながらもきっちりと二枚目に仕上げてきた青江冬星役瀬戸かずやさんは初演では残念ながらカットされていたという「きたな・・・恋人」というセリフもさらりとかっこうよく言ってくださいました。
鬼島軍曹の水美舞斗さんは安定の仕上がり、そして戦闘シーンのキレキレのダンスが最高でした。
そんな男性陣を見ながら思ったのですけれど、みんなわかりやすく「紅緒さん自身をを守る」わけではないのですよね。紅緒さんがケンカをはじめても彼女が強いのは十分に分かっているから、下手に手出しはしない。
そして彼女が好きだから、彼女といるために自分の最善を尽くす。
つまり「ありのままの彼女」を彼らは受け入れ認め、それを魅力的だと思っているのです。
そして今、それこそが支持される男性像の1つではないだろうか、と宝塚歌劇を見てやっと思いました。
その点では「紅緒さんを守ってあげて」という蘭丸がちょっとポイント落ちるくらい、紅緒さんの強さとたくましさを認識している男性陣を評価したいと思ってしまいました。
ただ男性キャラクターとしての個人的ポイントはともかくとして、蘭丸は役としては女装もあり男役としてはかなり演じるのが難しい部類に入ると思うのですが、聖乃あすかさんがキラキラとがんばっていました。
セットもバージョンアップしていたので「藤娘」のシーン、舞いだけはもうちょっとがんばって稽古してほしかったなあとは思うのですが、今回は公演期間も長いので、さらなる成長に期待。
あとは伊集院伯爵の英真なおきさんがよかったですねえ。こういうコミカルでかわいいおじいさん役、本当にうまいです。さらに如月役鞠花ゆめさんがしっかりした芝居で脇を締めていてくれていました。
そうそう魅力的な女性キャラクターの中でラリサは逆になかなか難しい役どころではあるんですが、この役や気持ちに説得性を持たせた華雅りりかさんもさすがでした。
と全体には大満足なのですが、クライマックスまでのシーンだけ、少し駆け足すぎるかなと感じました。
もちろんクライマックスですから、そこへもっていくスピード感は大事です。なのでこの選択も納得なのですが、個人的にはもう少し説明がほしかったです。
というのも火の中に戻る紅緒さんをもちろん冬星さんは追いかけようとするのですが、母親に止められて行けないだけになっているのがちょっと不満。
ここはやはり原作どおり最初は紅緒さんと一緒に火の中に入っていく。そして燃えさかる建物内のシーンで蘭丸を抱えて脱出するために一旦冬星さんだけが火の外に出る。(もちろん逃げ口は原作どおり紅緒さんが作るのですよ)蘭丸の介護&火の勢いが強すぎてなかなか紅緒さんを助けに戻れないんだろうと観客に想像させる方が自然な気がしました。
あとは少尉がラリサに紅緒さんのことを告げるシーンで「小石川」という地名がほしい。そうすればウワサに翻弄される民衆シーンにちらっと登場して「小石川はどうですか?」と聞くことで少尉が紅緒さんを探しているシーンを追加できると思うのです。つまり突如現れるのではなく、その前から「必死で紅緒さんを探していた少尉」を見たい。
そうすれば紅緒さんの前に現れる少尉に「ああ、やっと来れたね」と感動もひとしおだと思うのです。あと誰でもいいので少尉に「水、もってけ」といってこのシーンの前までに渡してほしい。
そして紅緒さんにも「のどが焼けるようだ。水がほしい」と言わせてほしい。
これがあれば「紅緒さんが今一番必要としているもの」を少尉が与える、という構図がもっと浮かび上がる気がするんですよね。
宝塚歌劇の番手構造上、冬星さんのソロ曲は必要なのは重々わかるのですが、ここはもうぐっと短くして、原作マンガのモノローグ
いつかこの廃墟にも新しい家がたちならび
人々の新しいくらしが始まるときがくる
人々が生きていくかぎりそれは
くりかえしくりかえし
愛も人生もそれにて
こわれてはつくりあげ
来たっては去りゆくもの
だけちょろっと歌うでもよくないですか?ダメですか?「My Dear」とか冬星さんの気持ちソングよりマンガ原作のここから立ち上がる人々の方が今の時代にもあうと思いますが、やっぱりダメですか?
しかしまあラストシーンの環の華麗なキメ台詞と2人の幸せそうな笑顔に心いっぱい。なんてステキな作品!と感動していたら、大劇場公演なのでフィナーレがあります。
瀬戸かずやさんの歌からフィナーレがはじまると、音くり寿ちゃんを中心に大正モダンドレスに身を包んだモダンガールズたちが、再びあの個人的名曲「大正デモクラシー・ガールズ」を歌い踊ってくれたのです!
娘役中心のダンスシーンというもの自体もそう多くはない宝塚歌劇で、なんと途中で登場してきた男役が娘役に取り変わることなく、ただただ娘役のダンスをサポートだけして消えていったことにまた感動!
明らかにこれは「女性賛歌」の演目であると確信しました。
これだけでも大満足で「あ、いいよ、いいよ、お決まりの大階段群舞は」なんてとんでもないことを思っていたら、黒燕尾服を着こなし金色の髪の毛をオールバックになでつけた柚香光が登場!
今回フィナーレは「大正バージョン」と「浪漫バージョン」があったのですが、楽天TVライブ配信で見たのが「大正バージョン」で大階段群舞の衣装が軍服だったのです。
「浪漫バージョン」が黒燕尾。
正統派黒燕尾&オールバック姿の男役たちが踊る。しかも中心で踊る柚香光さんも水美舞斗さんもダンスが得意。わたしは「ダンスの花組」で育ちましたから、見ながら思ったことは一つですよ。
この感動が伝わる方には伝わると嬉しい。
さらにここから続くデュエットダンスが物語の見たかったラストシーンを見るようで、本当に幸福感に包まれました。
このフィナーレは本当にいい。もはやラインダンスの衣装すら過剰さがダサかわいく思える。笑
そしてよかったのはフィナーレだけではないのです。
舞台上の密を避けるために、大階段に並ぶ人数は制限されていましたが、大階段降りが、というか、シャンシャンじゃなくて竹刀を肩にかついで登場した紅緒さんがもう・・・!
しかも大階段の上で竹刀をぶんぶん振り回し、本舞台での挨拶が終わってもシャンシャンに持ち替えることなく竹刀のままパレードに加わるんですよ!
挨拶終わって本舞台に戻るとき「はいからさんがと・お・る♪」という主題歌の歌詞の部分で、紅緒さんが竹刀を肩にかついで本舞台に走っていく。
ああ、まさにはいからさんが通ってる、今、目の前ではいからさんが通ってるんだ・・・!
本当に最初から最後まで紅緒さんに夢中でした。
もう頼むから、銀橋の挨拶は少尉から紅緒さんの手にキス方式の挨拶に変えてほしい。
ダメですか、歌劇団さま。
5.歌劇団への要望
ここまでわたしを夢中にした「はいからさんが通る」ですが、8月2日より感染症の影響で急遽休演になり、残念ながら2020年8月14日現在、8月末まで休演の延長が発表されました。
観劇予定だった方々や公演に関わる方々の無念、さらに新人公演の中止を思うと本当に辛いです。
実はわたしも休演となった期間にもう一度見る予定でした。
9月の再開を今は心から祈るばかりです。
【追記】
そして8月27日に9月3日からの再開が決まりました!
いろいろと改変はあるようですが、千秋楽までの日々を完走してくださることを今度は祈っております。
【追加2】
9/5に無事大劇場の千秋楽を迎えられました。
ライブ配信を見ながら銀橋や花道を使えない演出を残念に思いながらも、最後の挨拶で声を震わせる柚香光さんに涙。
せめて東京公演は全公演完走できますように。
そして下記に書きました無料YouTube配信についてはより希望したいところです。
こんな記事もあることですし。
継続利用したいメディア1位は「テレビ」、2位は「YouTube」 withコロナにおけるメディア行動調査 #宣伝会議 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
公式チャンネル・スカイステージでのライブ配信、楽天TVでの有料ライブ配信、映画館でのライブビューイングと宝塚歌劇団はこの状況で観客のために最善を尽くしてくださっています。
だからこそこの機会に新しいファンを増やしたい、とも思ってしまうのです。
そして新しいファンを増やすためにはこの「はいからさんが通る」という演目は最適だと思いますし、そのための大劇場での再演でもあったと思うのです。
今有料ライブ配信が大切なことは重々承知で、そしてアーカイブ配信がめちゃくちゃ費用がかかることを知ったのですが、それでもあえて、楽天TVで有料配信した映像の第一幕だけでもYouTubeで期間限定無料配信してみませんか?
どこにも行けないお休みは、動画漬けになることは自粛期間で実感しました。
しかし有料コンテンツはよっぽど自分が好きなものでないと手を出さない。
つまり全然興味のない人がたまたま宝塚を見てくれる可能性は低いのです。
わたしはかつてテレビで放映された宝塚歌劇の映像を本当にたまたま見てファンになりました。みんなが家にいる今、そういう機会を創出してみるのは今後の可能性に広がらないでしょうか。
関西圏に住む舞台芸術を愛する1人として、宝塚歌劇団があったからこそ、こんなに早く舞台を生で見れることができたのだと感謝しています。さすがに今日本の舞台芸術の中心地・東京まで見に行くのはなかなかの勇気がいるからです。だからこそその存在がずっと続いてくださることを願って、検討してもらえれば嬉しいなと思う次第です。