こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフォー負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

それ以上でも以下でもなく@映画版「CATS」

ミュージカル「CATS」というのは、不思議な演目でして、ミュージカルはそれほどでもないけれど「CATS」だけは好き、とか、「とにかくCATSファン」という方が多く存在する作品なのです。

一方でミュージカルオタク層の中には「CATSとライオンキング、どちらがマシ?」という議論が成り立つ、「嫌いじゃないけど、特に好きでもない。ちょっとつまらない」と感じている人も多い作品だったりもします。

ちなみに、わたしは後者。

昔、仲間内で「CATS派かライオンキング派か」を問うたときには、10人くらい中、わたしともう1人だけが「ライオンキング派」で、残り8人ほどは「CATSのがまだマシ」という回答を得たことがあります。

「CATS」派の意見としては、とにかく「曲が好き」。

これは反論するところもありません。

アンドリュー・ロイドウェバー最盛期の曲たちは、とにかく名曲ぞろい。

代表曲「メモリー」はミュージカルを知らなくても、この曲だけは知っているという人が多いことでしょう。


Cats Musical - Memory

 

さてそんな「CATS」が流行りにのっかり「ミュージカル映画」になりました。

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昨年も軒並みディズニーミュージカルが映画化されていたのですが、タイミングを逃してまだ見ないままなのに、この映画版「CATS」を見に行ったのにはわけがあります。

それは・・・あまりにも酷評されていたから!

もともと先行ヴィジュアルの「白猫」がかわいくてダンスもうまいなあ、と心惹かれていたのに、まさかの酷評で逆に「いったいどんな映画になっているのか」と興味シンシン!


Cats – Official Trailer (Universal Pictures) HD

 

そして見た感想は一言でした。

「期待以上でもなく期待以下でもない」

つまり舞台の「CATS」を見たときとほぼ同じ感想を抱きました。

 

宗教的だという意見も見かけたのですが、とりわけそれが舞台版より強調されているとも思いませんでした。

原作はT・Sエリオットの詩集『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(The Old Possum's Book of Practical Cats)。

 

キャッツ (ちくま文庫)

キャッツ (ちくま文庫)

 

 

読んだことがないので、どうなっているのか分かりませんが、詩集というところからも、おそらくストーリーらしいストーリーはないと推測しています。

 

ミュージカルは一匹ずつ猫が紹介されていって、最後に「ジェリクルキャッツ」が選ばれる、だけの物語です。

そして、それを歌とダンスで見せるショーです。

この「ジェリクルキャッツ」が一匹だけ選ばれ、転生できる、というところが宗教的に感じられる点なのだと思うのですが、それは映画版に限ったことではありません。

ただ映画では、白猫「ヴィクトリア」が主人公&ナビゲーター的に登場します。

野良猫になりたてのヴィクトリアに、周りの野良猫たちが「ジェリクルキャッツとは何ぞや」というところをセリフで説明していくのです。

この演出が「ジェリクルキャッツに選ばれるためにがんばる」という構図が強調されて、より宗教的に感じられたのかなと思います。

そして酷評の要因のもう1つ。

人間が演じるネコがグロすぎる、という意見。

これはわたしは「映画の方がアリ」と思いました。この辺は好みの問題ですね。

わたしが「CATS」より「ライオンキング」派の要因がここなんです。

わたしは「舞台版CATSの衣装とメイク、つまりヴィジュアルがダサい」と感じてしまうのです。

映画版CATSのヴィジュアルがとくべつ優れているとは思いませんが、わたしにとって少なくとも舞台版よりマシ。

特に上記の「メモリー」を歌うグリザベラのヴィジュアルが映画の方が断然よかったです。

ソバージュのカツラはないし、毛皮のコートはあったけれど、それよりも毛並みのボソボソさが現在のグリザベラを物語っていて好きでした。

さらに演じているジェニファー・ハドソンがいい!

さすがミュージカル映画「ドリーム・ガールズ」で鮮烈なデビューをしただけあります。


Jennifer Hudson - And I Am Telling You I'm Not Going

 

舞台版は20年以上も昔に、大阪とロンドンで計3度くらい見たことがあるのですが、グリザベラ役は全員「かなりおばさん感」があった記憶なんです。

でもジェニファー・ハドソンは「いい女感」がまだ残っていて若く見えた。

グリザベラの「一瞬の栄光」と現状をイメージできたからこそ、「メモリー」の歌詞が沁みました。

あのボサボサで抜けおちている部分も見えるカラダに「touch me」と訴えられる切なさは迫るものがありました。

 

あと映画版の方がよかったのは、長老猫オールドデュトロノミーがジュディ・デンチが演じていた点です。

舞台では男性が演じているのしか見たことがなかったので、「そうだよね、オールドデュトロノミー、別にメスだっていいんだ」と新たな発見。

ジュディ・デンチの圧倒的な重厚感、運命の支配者感がすごくマッチしていました。

 

ところでわたしが予告から気になっていた白猫・ヴィクトリア。

演じているのはフランチェスカ・ヘイワードさんという英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルダンサーだそうです。

そりゃあもう動きがいちいちキレイ✨

ゆったりとしたデュエット・ダンスシーンなんて夢見てるのかってほど美しかったので、映画版に言いたいことは一つだけです。

 

もっとダンスをそのまま見せてほしかった・・・!

 

せっかく「ダンスでも魅せる数少ないウエストエンドミュージカル」なので、ダンスシーンをいっぱい、これでもかってくらい見たかったんです。

むしろ、そこだけが期待だったのに、見事に裏切られました。

 

それでも劇場猫ガスをイアン・マッケランが演じる贅沢感は期待以上。

 I have played in my time every possible part

 ってイアン・マッケランが歌うんですよ!なんちゅうホンモノ感!

(↑CATSの歌の中で「劇場猫ガス」が一番好きなので、大興奮!)

 

そんなわけで舞台版も映画版もたいくつなところはたいくつだし、好きな曲、好きな猫(推しネコ笑)のシーンは楽しい作品でした。

そして個人的に冒頭のピカデリーサーカス「エロスの像」に群がる野良猫たちのシーンに爆笑。

まさかの大ロングラン作品「The Mousetrap(ねずみとり)」の看板が野良猫たちとともに大きく映し出されるとは!

 

ということで、推しネコ、推し曲がある方は一回見といても損はないと思います。