こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

グランドホテル

エリザベッタ・グルーシンスカヤ:前田美波里
フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵:岡幸二郎
ラファエラ:諏訪マリー
オットー・クリンゲライン:小堺一機
フレムシェン:紫吹 淳
ヘルマン・ブライジング:田中 健
エリック:パク・トンハ
オッテルンシュラーグ:藤木 孝
演出:グレン・ウォルフォード

宝塚版(しかも新人公演)を見たのが随分昔なので、あまり記憶が定かではなく、正直、初めて見るような印象。しかしながら、フレムシェンとジャズバンドのダンスシーンなど、子供心におしゃれだな、と感じさせたトミー・チューンの演出と比べると今回の演出は無難で、とりわけセンスを感じさせる部分がなかった。キャストも悪くはないが、全体に歌が弱い。そのため子供心に印象的だった、ラファエラのグルーシンスカヤへの愛情を切々と歌うシーンが活きてこなかったのが残念だった。その分余計に、男爵の岡さんとエリックのパク・トンハの歌が光った。
セット・衣装ともに健闘。おそらく予算は多くはなかったと思うがシンプルなりにセンスのある仕上がり。また西島鉱治・向高明日美ペアの流れるようなダンスは、デュエット・ダンス好きとしてはかなり見所で、すっかりその世界に酔わせてくれた。
何より、脚本がいい。古い作品なのに、ちっとも古さを感じさせないのは、まさしく本の良さである証明だと思う。セリフも美しく、とりわけ、最後のシメのセリフは、脚本の素晴らしさを痛感させてくれるものだった。
年齢とともに視点も変わり、その時々に何かをくれる良質のミュージカル。これからも再演して欲しいと単純に思う。