こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

いい女が妄想を暴走させる2@グランドホテル(月組役替わり)

前回、どうしても椅子を上から見たい、との思いに駆られ、千秋楽間際の1月28日(土)15時公演のチケットを貧乏なのに思わずポチってしまいました。
でも、その選択は間違っていなかったです。
二階から見下ろすトミー・チューン版「グランドホテル」素晴らしすぎて、鳥肌ものでした。

もうね、本当に、椅子がすごいんです!
出演者たちが椅子を場面ごとに移動させるのですけれど、これが移動というより、もはや、椅子を扱ったパフォーマンス
音楽に乗って、波のように引いては寄せて並ぶ椅子は「美」の域でした。
そして、同時に動く人々のフォーメンションの変化も素晴らしく美しくて、その中をするりと踊り抜けるダンスカップルの動きとか、トミー・チューン氏の頭の中はいったいどうなんてるんじゃい!と思わず心の中で叫ぶ始末。
こんな見せ方に緻密な計算がはりめぐらされた演出、見たことありません!
このトミー・チューン氏の「グランドホテル」を、宝塚以外でも見たいなあと思ったりしていたのですが、考えを改めました。
今、日本でこれだけ美しく統一された団体行動をできるのは、宝塚歌劇団ならでは、だと思います。
そして、二階から見下ろすと一階では見えなかったものも見えました。
ラストシーン近くで人生の帰路を向かえて、床に敷かれた2枚の赤いカーペットです。
それが縦と横に中央で交差して敷かれているんです。
セットというか、柱と椅子と床の色は抑えてあるので、カーペット自体も鮮烈な色ではなくて普通の赤なのですが、少し浮かび上がってみえるんですね。
すると、赤十字にもそして、少し斜めからみると鈎十字にも見えて、今、人の命が失われるということや、この後にやってくる時代をふっと思い出させ、ぞわぞわしました。
本当にすごいです。

なので、東京でご覧になられる方は、二階のチケットしか手に入らなかった、と嘆かれなくても大丈夫です!
寧ろ二階の方が面白いです、これ!
まあ一階の方が舞台に人がいっぱいいて、舞台の上の人もそれを見ている、という劇場型と、閉塞感は伝わるんですが、二階には二階しかない面白味がある、これもすんばらしい!

前回も書きましたが、私はグランドホテルを3人の演出家で見ています。
1回目が初演のトミー・チューン版。
2回目がグレン・ウォルフォード版
そして、3回目がトム・サザーランド版

最初のトミー・チューン版を見たとき、
人生が回っている、時代が回っている
と感じて、それにひどく感動したのですが、
その後見た2つでは“回る”印象が薄くて、それはなぜなのだろうと、それが不思議です。

そんな回るトミー・チューン版の再演、三週間前の観劇では主要キャストに関しては、グルーシンスカヤの愛希れいかさん(ちゃぴ)1人舞台か、くらいのバランスだったのですが、今回はオットー役の美弥るりか(みやちゃん)が大躍進、大成長!

宝塚歌劇団HPより

何より歌が、歌い方を変えられたのかぐっと上手くなっていて、さらに作品に慣れ、役に慣れ、余裕が出てこられたのか、可愛らしさとともに年齢を重ねて、余命いくばくもないという過酷な運命を背負った人の包容力みたいなものが芝居に加味されたのです。
このみやちゃんオットーを最初から見られる東京のみなさんが羨ましくてしょうがない!
オットーがかわいい!
そして、優しい、愛おしい!
だから、泣けるのです

オットーの優しさが男爵を救い、フラムシェンを救うのです。
例え、それが一瞬だったとしても。
そしてエリックに、フラムシェンと顔を見合わせて、私たちの友だちから、と金のシガレットケースを渡すシーンの暖かさと切なさにに、涙してしまうのです
グランドホテルにやって来て去る2人、オットーとグルーシンスカヤががっしり芝居を支えるカタチになる、よりグッと魅せられる公演になっています。
もう、ほんと、ドンミスイッ!です!

と、ながーい前置きをすみません
本題、行きましょう

今回は
ラファエラ 朝美絢さん(あーさ)
エリック 暁千星さん(ありちゃん)
にキャストが入れ替わっていました。

そして、これが、良かった!
あーさのラファエラがすごーく良かったのです!

まず歌がいい。ちゃんと聞けるレベル。
これ、歌が難しく、最初はちゃぴ以外歌えてなかったので、大事なポイントです。
そして、あーさのラファエラは最初からからちゃんと女性の声で、女性に見える。
しかも、冷たい感じの美女
あーさのラファエラは、もう既に手の中でグルーシンスカヤを転がしてる風がたまりません
バレリーナのグルーシンスカヤを愛していて、そのためにはなんでもする感じなのです。

宝塚歌劇団HPより

だから、きっとあーさのラファエラは、グランドホテルを去っても、なんだかんだとごまかせるところまではごまかしながら、グルーシンスカヤを躍らせて、巡業の旅をしてそうです。
そして、本当に彼女が踊れなくなったら、彼女も自分も満足したら、彼女をその手にしそうです。

そんな感じであーさのラファエラは、最後グルーシンスカヤを急き立てる感じがめっちゃいいです。ホンモノのマネージャーみたいです笑

そして、このあーさのラファエラ最大の魅力は、グルーシンスカヤがより可愛く見えることです。
もう最後、グランドホテルのロビーで座って待っているグルーシンスカヤが、なんか、ちょこんって感じに見えるのです。
期待と不安に胸躍らせながらドキドキ待っている感じが伝わって可愛くてたまらない
二階の後ろの席からは表情は見えませんが、きっとあのシーンのグルーシンスカヤは少女の顔をしていると思います

ありちゃんのエリックも似合っていたし、私はこの組み合わせの方が好きでした

ところで、最初の感想で書いたように、トミー・チューン版は振付もすごく素敵です。
そして、この↓↓↓映像を見て、本来これはこのくらいダンスで魅せられるシーンなのか!とおののきました!


これ、どうも、ミュージカルの名シーンだけを上演した公演のDVDのようなので、思わずポチッと

Broadway's Lost Treasures 2 [DVD] [Import]
Hildy Parks,Steven Hecht
Acorn Media



これを見ると、やっぱり一度全員踊れるキャスト(今現在、ダンスが完璧な主要キャストはちゃぴだけなので。もう1人のフラムシェン海乃美月はどうなんでしょう)で見たいなあという気持ちが大きくなり、ふと思いついたのが、一昨年TOP HATで来日してくださったアラン・バーキットさまで見たいなと。
シャーロット・グーチさまのフラムシェンもいいと思うんです
どうぞ、アラン・バーキットさまのタップをご覧になってください!



ね、これなら、素晴らしいWe Will Take a Glass Togetherになりそうじゃないですか?

ということで、今週末は再び1928年のベルリンに戻ります。とは言っても、今度はグランドホテルではなくキャバレーに行ってまいります
グランドホテルを経てのキャバレーはどんな感じなのか、楽しみです。