こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ラブ・レターズ

2月24日(金) 19:00 2006 FEBRUARY SPECIAL
新納慎也/新妻聖子
作:A.R.ガーニー/演出:青井陽治
http://www.parco-play.com/loveletters/

二人の幼馴染の男女が生涯を通して交換した手紙を読んでいく、朗読劇。なので、照明も少なく、音楽もない。演者二人も本を手にそれほど大きな動きをすることもない。
この作品を見ようと思ったのは、もちろん新納さんが出演されていることが一番の理由だけど、実は私9年前に古田新太杜けあきコンビでこれを見ていて、今見るとこの作品はどういう風に私に響いてくるのか興味があったからでもある。
実際に今回のコンビは若い。9年前のコンビが演じたとき、ティーンエイジャーである前半に最初ちょっととまどったのだが、その点で今回の新納・新妻コンビではすんなりと見ることができた。ただ、脚本はかなり昔のアメリカが舞台である。9年前のコンビの時は確かちょっと時代っぽい服装だったのに比べ、今回は前半は二人とも白いシャツにジーンズで、見るからに今の若者、しかもとても容姿に恵まれた若者で、脚本の時代感を伝えて来れなかったことに、翻訳の言葉の響きとのギャップを感じたのが残念だった。
この作品はやはり前半よりも後半がドラマとして盛り上がり見せ所でもある。新納さんは、終始たんたんと「良い子の男性」を演じ、真っ当に生きてきた坊ちゃんぽい可愛らしさを発揮し、これはこれで、このアンディはありだなと思った。しかし新妻さんの方は、前半は奔放で気まぐれなお嬢様の可愛らしさと魅力を見せたけれど、アル中で苦しんでいく後半のメリッサには荷が重かったようだ。
実は9年間、杜さんのメリッサを思い出したこともなく、ストーリーも全くと言っていいほど覚えていなかったのだけど、今回の作品を見ながら、徐々に杜さんのメリッサが蘇ってきたのだ(申し訳ないけれど、古田さんのアンディは全く思い出せなかった。きっと当時それくらい杜さんしか見てなかったのだw)杜さんの繊細さ・不安定さの上に成り立つ哀しくて奔放なメリッサ。だからこそ、後半はあんなに苦しくて、最後のアンディの手紙で心を揺さぶられたのだ。そして、だから、今回は淡々と見終えてしまったのだと思う。9年間の私の人生経験を経て今回感じるものに期待したのだが、それはなく、残念ではあった。
9年前と違ったことはもう一つ。アンディの言う「手紙」という言葉が大きく響いたこと。自分の手で書く「手紙」。9年前は身近だったのに、今はもう何年も書いていない気がして、時代の変化を身をもって感じた。