こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

キャラメルボックス2007音楽劇「サボテンの花」

3/21(水)19:00~ シアターアプル
原作:宮部みゆきサボテンの花」(文藝春秋「我らが隣人の犯罪」所収)
脚本:成井豊
演出:成井豊+白井直
権藤教頭:西川浩幸
宮崎先生:菅野良一
稲川信一:多田直人
月真和尚:コング桑田(リパット・アーミーII所属)

予想どおりというか、宮部みゆきの「人情」部分をわかりやすくベタに、キャラメルボックスのメッセージ性を打ち出した作品になっていた。宮部みゆきの地味で特別でない人々を描いてあるのが好きで、更に宮部みゆきの描く「少年」が好きだから、余計稲川信一の家族を華やかかつベタな悩みを持つように仕立てたことと、卒業研究発表会を失敗に終わらせたことが個人的に残念だった。ただ、2時間の舞台作品にする以上、何らか華やかなものや見せ場をプラスしないと成り立たないだろうくらい地味な原作だから、それはそれとしてしょうがないのだと思う。結局のところ、「模倣犯」の映画化でも思ったけれど、一つの原作からどの部分が一番強く印象に残り、好きだと思うのかは人それぞれなのだから、これは、脚本の成井さんから見た「サボテンの花」の「ある側面」の芝居だった。

音楽劇ということで歌が入るのだけど、曲自体は悪くないが、やはり歌唱力が伴わない。けれどもそれもそもそも歌える俳優や劇団ではないのだから、ある程度しょうがない。ただ、フェスタの場面が出来ないなら出来ないなりに、もう少し実力を省みてショーではなく芝居中心にするなど「魅せる」レベルへの転換が必要だと思う。全体にダンスの振りもそうだけど、芝居の振りも含めて動きが悪い。演出の方向が私の好みと合わないのだと思う。

更に肝心の演技も、どことなく素人の域を出ないというか、コスチュームプレイや時代ものではないので、芝居芝居しすぎた演技が返って素人くさく見えた。発声もまだまだ。そう思うとやはり、先月見た「メアリ・スチュワート」の面々はプロだった。そのチケット代と比べると、今回のチケット代はやはり少々高く思えた。