こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

経験からしみいることもある@ペテロの葬列

ひょんなことがきっかけで、近頃気になっていることがあったときに、ふと「ペテロの葬列」もそういう部分ももっていたなあと思い出し、再読してみました。

こちらは杉村三郎シリーズの3作目。
ペテロの葬列
宮部 みゆき
集英社

ペテロの葬列 上 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋
ペテロの葬列 下 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋

今多コンツェルンという大財閥の会長が愛人に産ませた娘と結婚した杉村三郎。
結婚の条件で、今まで勤務していた出版社をやめて、今多グループの社内報を作成する部署に転職した彼が、ある日バスジャックに巻き込まれるところから話は始まります。
バスジャックの犯人は三名の人物を探し出すことを警察に要求。
そして、人質となった杉村三郎らに「人質」の迷惑料として、賠償金を支払う旨を約束する。
犯人の自死によって事件は解決するのだが、2ヵ月後に人質全員に犯人から賠償金が届く。
この賠償金を受け取るべきか警察に届けるべきか、人質仲間それぞれの事情が絡み合い、意見が割れる。そして、杉村三郎は「犯人」の素性を調べ始める。


という物語なのですが、それよりも最後に事件とは関係ない驚くべき展開があったため、そちらの印象が強く残ってしまっていたのです。
因みにこの「驚くべき展開」はドラマの方では最初から割とあからさまにわかりまして、文字で読むのと映像で見る差というのを感じました。
確かに、読み直してみると、見た目も良い的な描写もあったのですが、本の一行がいかに読んでいるうちに、自分で本筋と関係ないと決めると忘れていくものかわかりますね
ドラマでは高橋一生さんが演じていたため、彼が出てくるたびになんとなく目が行ってしまって、

絵面として印象に残るとはこういうことか、と思いました。
そんな違いも面白いので、もし、どちらもまだ、という方がいらっしゃったら、本→ドラマの順番で見ていただくと、私のこの気持ちを分かっていただけるのでは、と思います。
ペテロの葬列 DVD-BOX
小泉孝太郎,長谷川京子,国仲涼子,本田博太郎,峰竜太
TCエンタテインメント


そんなわけで、どうしても2回目の読書は、1回目に私が切り捨てた部分を追ってしまいました。
うーん、確かに、伏線いっぱいで、やられた感まんさい
これ、どのくらいの読者がこちらの伏線に気付くんでしょうかね。
私はその方々を尊敬します!私は全くもって無視ってました
だって、だって、まさか、そんな人じゃないし…!
と1回目読み終わったときに誰に向かっているのか分からない言い訳を思わずつぶやいてしまったのは、今思うと1作目と2作目でキャラクター設定を刷り込まれていたのでは…!
これ、シリーズ作ならではできることかもしれません。
いやー、宮部みゆきはいろいろすごい!

と1回目で気づかなかったことに感心しつつも、今読むと、妙に介護と認知症のくだりに胸がつまりました。
1回目読んだときは、私には身近ではなかった問題が、今は自分の中にきっちりと輪郭が描けるくらいになったのです。
今現在は、介護と認知症の問題は過去のことで、一旦通り過ぎましたが、再びいつやってくるかわからないことでもあります。
母と娘と、老いること。
奇しくも、シングルマザーで小さな娘さんがいるバスの運転手が、いつか私と娘もそうなるかもしれない、と同情するシーンにうっかり涙してしまいました。
そして、こういうしみいる場面が変わっていくのは、再読の楽しみで、もしかしたら年を取って、経験が増える良いところなのかもしれませんね。

しかし、デメリットもいっぱいある
本も読んで、ドラマも見たはずなのに、細々したところを多く忘れていたことに気付きました
そんなわけで、今度はこれ↓(1回目の感想
希望荘
宮部 みゆき
小学館

を読み直さずにはいられなくなってしまいました!
これはシリーズものの罠に違いありません。
しかもハードカバー、重いよー。
がんばれ、私←なんのためにがんばるのかは意味不明

あ、ちなみにちょっと気になること、というのは、人心掌握術とネズミ講でした。
本当、人生いろいろありますねえ。