こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

トニー賞2008 放映分の感想。

放映されたトニー賞を見ての感想。
今年のトニー賞は本当に面白かった。
賞レースではなくて、授賞式自体が。

「ライオンキング」のオープニングから入ったその瞬間にやられてしまった。「ライオンキング」自体は私個人はつまらないショーだと思っているのだけど、オープニングだけは大好きで、改めてNYのキャストが演じているのを見ても、秀逸な幕開きだし、ジュリー・テイモアの素晴らしいアートだと思う(ここが1番の見せ所で、後が続かないのがこの作品の弱いところだけど)。

新作の賞レースは、正直現地で作品を見てないから分からないから、あれなんだけど、ハイライトシーンの上演を見る限りでは、「これ」という感じはなさそうな雰囲気である。
どれもやっぱり見てみたいけれども、特にどれか、と言われると私は「ザナドゥー」かな。紹介コメントの「the silliest,prettiest show」という言葉と、ショーシーンのアニメチックな感じがB級の香りムンムンだったので(笑)

寧ろ、リバイバル賞の作品の上演シーンの方が印象が強かった。
まずは「ジプシー」のPatti LuPoneの「Everything's Coming Up Roses」。

もう、ルポンが歌い終わったあと、思わず「すげえ」と呟いてしまったほど。もちろん、劇場中スタンディング・オベイション。本物のミュージカルスターとはこうなんだ、と痛感。彼女のフォンテーヌとか、スウィーニ・トッドのミセス・ラベットとか、今更ながら一度でいいから見てみたかったと思わせた。主演女優賞も納得。

それから、リバイバル賞というのに、作品自体全く知らなかった「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」の「move」という曲がかなり心に迫ってきて、これまた見たかったなあという思いが押し寄せる。
もちろん、大好きな「Grease!」は何度見ても楽しいし(やっぱりこの作品が好きだから、「ハイスクール・ミュージカル」にはまちゃったんだろうなあ)、全体にショーシーンがめちゃくちゃ多くて、楽しかったのが何より。

司会のウーピー・ゴールドパークの活躍ぶりも素晴らしかった。
あらゆる有名ミュージカルシーンのパロディーに爆笑。特にオペラ座コーラスライン。いやー、あれはないだろう(笑)
個人的には、ウーピーのメリー・ポピンズが1番のお気に入り

そして、ソンドハイムの功労賞受賞のコメントでじんわりと感動した後やってきた、今回の個人的ハイライト。
RENTの新旧キャストのパフォーマンス。

アンソニー・ラップが「Jonathan Larson's」RENTと紹介する部分も含めて、正直現在キャストのパフォーマンスは弱いな、とかは思ったりしたものの、オリキャスが並んだ瞬間、胸いっぱいで涙が流れる。

今まで散々RENTへの愛を語ってきたので、省略するけれど、オリキャスが順に語っていくにつれ、ああ、彼らはオフにさえ昇る前からジョナサンとこの作品を、本当に1から作り始めたんだなと思うと、もう堪らなくて、ブロードウェイのエポック・メイキングになって、衰退の激しいショービジネスの中で10年も行き続け伝説になる作品になるなんて思っただろうか、とか考えると、どうにも涙が止められなかった。

多分、こういう思いをこの作品に触れるにつれ抱くから、私たちはいつも心の中で呟くのだと思う。Thank you Jonathan Larson と。
こんな何度も感動をくれる素晴らしい舞台を生み出してくれてありがとうと。

こんな感動のステージの後に誰が登場したらおさまるのだろうと思っていたら、ここでプレゼンテーターとしてライザ・ミネリが登場。これまたやられた。RENTの感動にも打ち勝つ、ブロードウェイの女王の存在感。やっぱり、ブロードウェイはいいなあ、とほとほと思わせた今回のトニー賞。ぜひとも来年もこのスタイルで、より良いショーを得て続けてもらいたい。戦争の反対は平和じゃない、創造だ、だから。