こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

赤坂大歌舞伎

9月7日(日)12:00~ 赤坂ACTシアター
江戸みやげ
一、狐狸狐狸ばなし 十一場
伊之助:中村勘三郎
又市 :坂東彌十郎
重善 :市川段治郎
甚平 :井之上隆志
おそめ:片岡亀蔵
おきわ:中村扇雀

二、棒しばり 長唄囃子連中
次郎冠者 :中村勘太郎
太郎冠者 :中村七之助
曽根松兵衛:片岡亀蔵

お誘い頂いて、赤坂大歌舞伎に赴く。

因みに行きたかった理由は
1.中村七之助の本業の姿を見たい。
2.赤坂ACTシアターに入ってみたい。
というとてつもなくミーハーなものw

この赤坂大歌舞伎、海外でも公演をしたという、いわゆる初心者向けの分かりやすい演目で、だから、普段歌舞伎とか見ない層が来るのかなあと思っていたら、普通に歌舞伎の客層で、返って勿体ないなあと思ったりも。

だってとにかく面白かったのだ!

一幕目の「狐狸狐狸ばなし」は、そのタイトルどおし、キツネのタヌキの化かしあいで、こりごり、みたいな、わっかりやすい喜劇。
思ったのは、江戸時代って結構恋愛沙汰に大らか。
手ぬぐい屋の女房がお坊さんと浮気をしてて、そのお坊さんのもう一人の彼女に焼きもち焼いちゃって、あなたを独り占めしたいから結婚してとせまったところ、お坊さんにじゃあ亭主を殺せば考えてやると言われて、亭主を殺そうと試みる、という、思いっきり大人な設定のブラック・コメディー。
ま、そのネタだけで一時間半ひきずるのは少々長いかな、という気はしたけれど、歌舞伎だからその長さも味。
更にやっぱり勘三郎さんが良い。もう笑いを全部持っていく。
勘三郎さんの役は、その女房の亭主で、元上方役者の手ぬぐい屋で、だから、上方言葉を話すんだけど、これがまたきれいな上方言葉で、やっぱり一流の役者というのは、アクセントとかもものともしないらしい。
シニカルでブラックな笑いに笑いに笑って、一息ついたら、二幕がお目当ての中村七之助の登場。

私が中村七之助のファンになったのは、「真夜中の弥次さん喜多さん」を見たからだった。この映画の喜多さん、という役は、ジャンキーで現実と錯覚を行ったりきたりするというかなりの難役だった。それをきちんと演じ、更に可愛らしさを存分に魅せてきたところにノックアウトされてしまったのだ。

そんな彼が今回演じたのが、狂言舞踊「棒しばり」の次郎冠者。
ストーリーらしいストーリーはほぼなくて、途中からはほぼ舞。ダンス。でもそれも実によく訓練されていて、一幕の最後で中村扇雀が普通に三味線を弾いちゃうところとか、芝居をちゃんとやるために必要な技術が全てあるところ、そこがやっぱり伝統芸能の強みで良さ、なんだと思った。