こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

責任ある自由奔放@宝塚月組「NOBUNAGA<信長> -下天の夢-」「Forever LOVE!」

友人から貸切公演のチケットを早くにゲットしてもらって、千秋楽の前日に行ってきました。
トップスター龍真咲さんのサヨナラ公演だけに、終わって出たら、立ち見の人の長蛇の列。
私が見た公演の後からサヨナラショーがつくので、久々に宝塚ファンの熱気を感じました。


で、NOBUNAGAなんですが、私は日本史にとんと疎くて、有名な本能寺の変すらもぼんやりした印象でした。
けれど、有難くも今の仕事で、石田三成のことを勉強せざるを得なくて、そうなると、秀吉に遡り、秀吉に遡ると信長にたどり着き、なんとか最低限の知識を仕入れて見ました。

その最低限の知識で見ても、すっごい駆け足なお話しでした。
なるほど、その節はそうとったかーという歴史好き的な楽しみ方はそれはそれでできると思います。
でも、もう、そんなことは忘れてください。

龍さんの独特の台詞回しを全編でやるので、セリフはあまり聞き取れません。
でも、もういいんです!
いいと思わせるオーラが迫力が龍さんから発せられています。
そして、それこそが、このNOBUNAGAなんじゃないかと思うのです。
よく分からないうつけ者と呼ばれた王者。
自分がこうと信じたら、反対するものには耳をかさず、実行し、その反感も、責任も自分1人で受け止める。
誰よりも努力し、誰よりも高いところを見る。
そして、最後は1人で去るのです。

ここまで徹底されると、泣きます

何より龍さん自身が、こういう風にNOBUNAGAを演じることを決めただろうから、終始舞台にそうやっているのが楽しそうで、自由で、
舞台は自分が楽しまないと客席を楽しませられない、
は本当だな、と思いました。

そんなわけで信長は何を言っているのか、聞き取りにくいのですが、周りはしっかりと、その信長の「うつけ者」的雰囲気を際立たせるよう演技します。

妻、帰蝶の愛希れいか。
出番は少なくとも、強く美しく、その存在感を示しました。彼女だったからこそ、信長もその愛情を欲し、恐れたのが伝わります。
これまで、実質二番手のいない中、唯一龍さんを支え、盛り立てたのも彼女でした。
だから、あの帰蝶の最期が、どちらにも、らしいな、と思います。

秀吉、美弥 るりかの確かな演技。
とても美しい人なのに、なぜ秀吉?と不思議でしたが、あの軽妙さ、ここぞという時の見えの切り方、美弥 るりかならでは、の愛おしい秀吉でした。

足利義昭(沙央くらま)、今川義元(光月るう)、浅井長政(宇月 颯)、毛利良勝(紫門 ゆりや)らがきちんきちんとわきまえて、確かな演技を見せていきます。また、それぞれの奥さんが強くていいですねー
月組らしいです(笑)
肝心の明智光秀(凪七 瑠海)がもうちょっと光秀の煩悶を演じてもらえれば、とは思いましたが また明智光秀は元々の彼女の難点としてセリフがこもりがちなので、彼女がもう少しきちんとセリフを伝えられたら分かりやすいと思うのです。東京で精進して頂きたいです。

そして、満を持して、月組二番手となった、珠城 りょうのロルテス。二番手らしい役どころを大きく演じていて、龍さんと並んでも遜色なく、そこにいて、良かったです。
何より体格の良さが外国人らしく見えて似合っていました。

とそんな個々の感想も大事ですが、個人的には、もう、大野先生LOVEの一言です!

あまりにもワンシーン、ワンシーンが美して感動の嵐。
絶妙に飾られた赤い花。
信長が座る椅子とその両端にたつ、龍の柱が照明にあたると微妙な陰影を出す美しさ。
蛍光色に光る柱の綺麗なこと。
そして、信長が乗る象のアートのさじ加減。
何よりお気に入りは墨絵のセットに色とりどりの衣装を着た娘役たちが踊っていたら、男役たちが出てきて、照明が壁にあって鈍く金色に変化するシーン。
どのシーンも絵のように美しくて、頼むからシーン毎の写真集を出して欲しいです、本当に。
セット、照明フェチには堪らないです
本当、美しいものって、素晴らしい!

だから、もうストーリーを追うとか、心の機微を追うとかやめましょう、ぜひ
そういうのは、演劇の分野なので、餅は餅屋にまかせましょう。
もちろん、ストーリーがちゃんとしてるミュージカルもたくさんありますが、そういうのをすっとばすミュージカルやショーでしか味わえない魅力だってあると思うんです!
しかも龍真咲が、自分らしく最大限輝いている作品です。その輝きと、それを作る舞台の美しさを堪能するのが、楽しいはずです!

ショーはサヨナラらしい、しかも、藤井先生が古典によった時の良さが出た、楽しいショーでした!
華やかな幕あきに満を持して登場するトップスターは、「ラ・カージュ・オ・フォール」のザザのような格好で、ありのままの自分を歌います。
そしてアルヴァンがザザになるように、男役トップスター龍真咲に変身するのです!見事です!

ショーになると一転して、独特の歌い方は曲によって使い分けます。

娘役トップスターの愛希れいかの得意のダンスシーンも迫力あって格好良いし、珠城りょうの歌唱力の向上が素晴らしかったです。

娘役トップスターの愛希れいかは続投することになっているので、彼女との絡みが少ないのが残念でしたが、これも龍さんらしい選択だなあと思いました。

だから、ここの所の宝塚でお決まりのパレード前の黒燕尾からデュエットダンス、というシーンがありません。
龍さんが、自分の歌を気持ちよく歌い上げて終わりです。それでいいんです!
最初の歌にもあったように、バレエは苦手、なわけで、ダンスの人じゃないのだから、デュエットダンスをマストにするより、歌を聴かせる方が良いに決まってます。

第一どのショー見ても階段おりてきて、黒燕尾群舞、デュエットダンスの流れってつまらないじゃないですか。
デュエットダンスが見せ所のコンビにはそれを、黒燕尾群舞が見せ所のトップにはそれを、歌が得意なトップには大階段での熱唱を、みたいな方が私は面白いんですけれどねえ。
↑というか、私の大ファン時代がそうだったので

そして、トップの重圧から解放されたように、伸び伸びと嬉しそうに歌うまさお(龍真咲)さんにただ涙

なんてことないけど、なんかいいもんみた、と思わせる渾身のショーでした。

まさお(龍真咲)、大劇場卒業おめでとうございます!東京でもまさお(龍真咲)らしく、誰に何を言われようともどこ吹く風で、輝いてください

ところで、今回貸切公演だったので、初めてウワサの月組貸切公演恒例アフロ祭を見たんですけど、まさお(龍真咲)のアフロが凄い(笑)
ちゃぴ(愛希れいか)のピンクアフロは似合ってて可愛かったです
しかし、あのアフロ鬘は月組さんの持ち物なんですかね?バリエーションの多さに驚きました(笑)