こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

宝塚歌劇団星組公演「My dear New Orleans」「ア ビヤント」

3/7(土)11:00~ 宝塚大劇場
ジョイ・ビー 安蘭 けい
ルイーズ・デュアン(ルル) 遠野 あすか
ティーヴン牧師 汝鳥 伶
シスター・サラ 美穂 圭子
エマ 英真 なおき
ジョセフィン 万里 柚美
ジュール・アンダーソン 立樹 遥
アルバート・ジョーダン 涼 紫央
レオナード・デュアン(レニー) 柚希 礼音
バディ 和 涼華
ネティ 夢咲 ねね

「My dear New Orleans」は20世紀初頭ニューオリンズの貧民街に生まれ、歌うことに希望を見出して生きたクレオールの青年の一世一代のメロドラマである。作・演出が植田景子さんという女性の方。輸入ミュージカルと小池修一郎作品以外の宝塚歌劇を見るのはかなり久し振りだったので、植田景子さんの作品を見るのは全くの初めてだった。
宝塚歌劇というと、客席の8~9割は女性である。ところが、作・演出は男性ばかりで、どうして女性のための娯楽に女性が作り手としていないんだろう、と若かりし頃ファンだった私は思ったものだけど、今時を経て、女性演出家の作品を見てみて思ったのは、恐らく植田景子さん的萌えポイントというのは良く分かるし、これも一部の宝塚ファンの夢を代弁している部分は大いにあるだろうけれども、それがディテールだけに、同じ萌えポイントを持っていないと酔えないな、ということだった。セリフの選択、ヒロインへのアプローチともに、女性演出家らしいこだわりが見えるし、それはそれとして一つの宝塚芝居としてありなんだけど、逆にその他、別の部分が好きな人には、どうにもはまれないところがある。
それはそれとして、ストーリーは王道で、複線やキャラクターの造り込みまで、「ああどっかで見たような」という印象はぬぐえなかった。そしてその「どっかで見たような」ものを面白く見せるほどには、演出がふるっておらず、はじまって2/3くらいまでは、退屈だったのは否めない。改めて、脚本、の方の力はそれほどでもないため、時々駄作を生み出すけれど、それでも演出力である程度のラインまで見せてくる小池修一郎、という人の才能を痛感した。

ただ、まあ、トップスターのサヨナラ公演ということで、ファンサービスはしっかりしていたし、私のような今回退団するトップさんのことをよく知らない人でも、主役の愛する故郷「ニューオリンズ」を「宝塚」に置き換えれるストーリーは、宝塚の街とかつて宝塚歌劇を愛し、宝塚歌劇があるから今の私があると思っている人間には感情移入しやすいところもあって、クライマックスにかけては、十分「宝塚芝居」を堪能させてもらった。
主役二人は本当に技術のしっかりしたいい俳優なので、今後に期待。逆にいい俳優コンビだったからこそ、もうちょっと深いものに挑戦できたんではないかと思うとやっぱり作品そのものが惜しいと思う。

「ア ビヤント」の方は、正統派レビュー。
さらにサヨナラ公演お約束のシーン満載で、これまた宝塚ファンサービスの一本だった。