こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

花形歌舞伎

11月7日(土)11時~ 新橋演舞場

一、通し狂言  盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)  
序 幕 佃沖新地鼻の場      深川大和町の場  
二幕目 二軒茶屋の場      五人切の場  
大 詰 四谷鬼横町の場      愛染院門前の場         
 薩摩源五兵衛/家主弥助  染五郎            
 笹野屋三五郎  菊之助            
 六七八右衛門  愛之助
 芸者小万  亀治郎
二、四変化弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり)  
 武内宿禰/悪玉/国侍/獅子の精  松 緑   
 神功皇后/善玉/通人/獅子の精  愛之助

二幕物のお芝居一本と踊り、という個人的にいいバランスのもの(笑)
お芝居が四世鶴屋南北の描いた「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」という作品。
いや、もちろん、全く初見で何も知らなかったのだけど、これがまあ、特に一部が、とある夫婦に詐欺にあって100両ふんだくられた浪人が、復讐の激情にかられて、とうとう殺人鬼になり果てる、というなんとも斬新なもの。
気弱な侍だったはずなのに、関係ない人をもバッタバッタと惨殺する主役染五郎の一部幕切れのシーンは圧巻。
さらに二部では、惚れて貢がされて騙された妻をとうとう惨殺し、その首を懐に抱いて、鼻歌を歌いながら立ち去る、というシーンは狂気と暗闇が相俟って、逆に美しさを覚えるほどだった。
ただ、二部は忠臣蔵のストーリーが強く混ざっているため、微妙な忠義やらが入ってきて、武士道が本来持っているこのストーリーとキャラクターの凄味を、個人的には若干削いでしまったように感じ、残念だったくらい。

染五郎の殺人鬼もイメージと違い、印象強かったけれど、菊之助さんの笹野屋三五郎がまたいい。女房を使って詐欺を働く小悪党なのだけど、濡れ場もあったり、チョイ悪の魅力に満ちて色っぽく堪能。今まで女形の印象が強かったので、こういう悪い二枚目の色気に驚いた。

最後の踊りの第4景が「石橋」。
歌舞伎を見るのも段々回数が増えてきたものの、ここへきて初めて、獅子の勇壮な踊りを見れて感激だった。