こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

いい女が妄想を暴走させる@グランドホテル

先日、月組グランドホテルの新人公演が大好評のうちに終わったようですね。
その中で「ラファエラ」役に関する賛辞を多く目にしました。見たかった…!

因みに感想で書いたように、私は初演の「新人公演」しか見ておりません。
その時、風花舞さんのフラムシェンしか覚えていないんだ、と書いたのですが、うっすらとした記憶は一応他にもあります。
私がこの「新人公演」に赴いたもう一つの理由でもあった、成瀬こうきさんの男爵役。
本役の久世星佳さんの男爵、見てはいないのですが、宝塚を代表する「役者」だった彼女のこと、きっと素晴らしい演技で魅せらせたことと思います。
ただ、個人的に私があまり久世さんを「格好良い容姿」の持ち主と思えなかったのです。
いえ、それ自体はどうでもいいのです。
その証拠に、私は大ファンである杜けあきさまを男役として「格好良い」と思ったことは一度もありませんでした。久世さん以上に杜さんはスタイルも男役としては優れていなくて、私には格好良いと思える要素がありませんでした。それでも芸に惚れるのです。久世さんもまさしくそういう一人でした。
けれども、男爵役は、今回改めて見て思ったのですが、「あんなにハンサムだったのに」と嘆かれるほどの、「ハンサム」であることが前提。
なので、私が「ハンサム」だと思える人で見たかったのですね、きっと。
それを成瀬こうきさんは裏切りませんでした。
演技とか歌とか全然覚えていませんが、とりあえず白いスーツに身を包んだ立ち姿だけをぼんやり覚えております。本当に格好良かった・・・!
私個人の美意識でいうと、この成瀬こうきさんの男爵がマックスで、岡幸二郎さん、今回の珠城りょうさん、宮原浩暢さんの順でしょうか。

一方のオットーは新人公演では汐風幸さんが演じられました。
二枚目でも美形でもなく、演技の人でした。
そして、老け役もお上手でした。だから、普通に「余命いくばくもないおじさん」みたいな感じで見ていたうっすらとした記憶があります。
そして、その後見たのが小堺一樹さんのオットー。こちらも普通に「おじさん」でした。
だから、トム・サザーランド版GREENで中川晃教くんのオットーを見たときは、逆に新鮮でした。
ああ、そっか、余命宣告されているのは別に「おじさん」でなくてもいいんだ、と
涼風真世さんを見てないがための、この衝撃(笑)

そう言えば、初めて「グランドホテル」を見た衝撃は、前回熱く述べたように「演出」と「振付」が殆どなんですけれど、それともう一つ、ラファエラの存在がありました。
当時ティーンエイジャーだった私は、この作品で初めて、女性が女性を思う、ことを目の当たりにしたのです。
ボーイズラブというか当時JUNE系と呼ばれたものは割と読んでいたくせに、女子×女子については全く想像もしていなかったあたり、甘いです

トミー・チューン氏の宝塚版演出では、このラファエラが男性か女性かわかりにくく演出されています
衣装も声もパッと見、わかりづらく、さらに男役が演じます。どういう意図があってのことかは分かりませんが、より広い層にラファエラがグルーシンツカヤを思っていることを受け取りやすくするためかもしれません。
グレン・ウォルホード版を見たときは、諏訪マリーさんが演じられていたのですが、これが恐ろしいくらいに思い出せないのですよね。だから、どんな衣装でどういう風に位置づけられていたのかもわかりません。ああ、自分の脳みそが憎い…!

それから数年、ふたたび時が流れました。
この間に私は「The L Word」

Lの世界 DVDコレクターズBOX
ミア・カーシュナー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

にはまり、現実のLの世界も体験し、オトナになりましたw

そして、トム・サザーランド版GREENのラファエラ、樹里咲穂さんを見たときに思ったこと。
うわあ、ステキ
パンツスタイルでマニッシュな衣装ではあったけれど、チャーミングな女性。
(見た目が全てではないし、美しい人ばかりの世界って虚構そのものだと思うけれど、同じことを映画版RENTのジョアンを見たときにも思いました。舞台ではがっちりした体形の俳優さんがあんまりステキじゃないパンツスーツを着ていたのに対して、映画のジョアンがスタイル良くて可愛くてきれいでおしゃれで 一気にモーリーンとジョアン押しになったもんなあ)
樹里さんの個性か、グルーシンツカヤを包み込むような包容力とイタリア人っぽいほんのりとした明るさがありました。
グルーシンツカヤに心酔し、執着している、というよりも、恋していて、「いつか落としてやる」みたいな勢いがあったのが、私は好きです
てか、樹里さんのラファエラは絶対、グランドホテルを出発した後、傷心のグルーシンツカヤをモノにしていると思います(笑)

そんなわけで、ラファエラ像として正しいのかはわかりませんが、私は樹里さんのラファエラが大好きでした。
しかも、樹里さんて、歌も本当にうまいんですよね。
だから、正直に今回のラファエラ、暁千星さんを見て思ったのは、全てにおいて未熟で幼いな、ということ。
グルーシンツカヤを母のように恋い焦がれている子どもみたいに見えました。
でも、それも、ラファエラ像としてはありなのかもしれません。
ただ、愛希れいかさん(ちゃぴ)のグルーシンツカヤが一人別次元の仕上がりだったため、ああ、このラファエラではグルーシンツカヤを落とせない・・・

そうです、私はラファエラにグルーシンツカヤを落としてもらいたいのです!
だって、個人的に萌え要素たっぷりの設定なんだもの 

ヤン(安寿ミラ)さんグルーシンツカヤは、舞台上では本当に儚げで、本当にもう昔のようには体力的に踊れなくて絶望していて、だから、ぽっと目の前に現れた「恋」に夢中になってしまった感じだったのです。
なんていうか、ヤンさんのグルーシンツカヤは、ひと時の恋で踊りへの情熱が戻ったとしても、やっぱりもう踊れなさそうなんです。
だから、すがる人が必要で、そこを樹里さんラファエラが、「私が愛してあげますよー、お金もあるから暮らしも大丈夫ですよー」と押していけば落ちそうな感じが萌えました
でも、ちゃぴのグルーシンツカヤは、男爵との恋は、再び「踊りへの情熱」を蘇らせる発火装置だった、くらいに見えました。ちゃぴのグルーシンツカヤは立派に次の公演で復活を遂げて、芸術を武器にどこか安全なところで、自分の足で次の人生を過ごしそうです。
そんなグルーシンスカヤに、Wキャストの朝美絢さんがどう挑んでいるのか、2回目の観劇を楽しみしております。