こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

エリザベート

9/9(木)18:30~ 帝国劇場
エリザベート瀬奈じゅん
トート:城田優
ルイジ・ルキーニ:嶋政宏
フランツ・ヨーゼフ:石川 禅
マックス:村井国夫
ルドルフ:伊礼彼方
ゾフィー杜けあき
ルドヴィカ:春風ひとみ
エルマ-:岸祐二
マダム・ヴォルフ:伊東弘美

東宝の初演が始まってからも、もう10年も立つ「エリザベート」。
初演を一度見て以来、2年前が久々の東宝エリザベート」だったのだけど、基本的に今回の演出は二年前と変わっていないと思う。
けれど、セットや照明、振り付けなどが、全体にレベルダウンした感じがしたのが不思議だ。
全体に今回の「エリザベート」は装飾過多、だと感じてしまった。まとまっていたところに、ちょっとずつ手を加えた結果、ゴテゴテとしたものになってしまった印象。再演を繰り返す難しさをしみじみ感じた。

とは言え、キャストはそれぞれの持ち味で、それぞれのキャラクター像を見せてくれて、再演の面白さもまた感じる。
瀬奈じゅんエリザベートは大変に私好みの女性に仕上がっていて、歌唱力の問題は残るものの、自由でありたいと望む女を力強く演じていた。好き好きあるけれど、個人的にはこのエリザベートの捉え方は好きで、十分に堪能させてもらった。
その強いエリザベートの裏側に儚く美しい城田優トートがいて、そのバランスや表裏一体の感じがとても好みにもあった。

というか、城田優のトートが色々とずるい(笑)
エリザベートには「そうして民衆はエリザベートの美しさに騙され続ける」というセリフがあるのだけど、確実に一階前方の席の観客は城田トートの美しさに騙され続けてた(笑)

思ったより歌は悪くなかった。声がキレイだし、これもずるいんだけど、低音が日本人の体格では出来ない響かせ方が出来てたり、プラスなこともあった。
動きも演技も悪くはなかった。
ただどれも「発展途上」であることは明らかだった。
訓練の経過の状態。足りないところはいっぱいある。
でも、そんなことすべて「美しさ」で帳消しにしてきた!(笑)

今までの東宝トートは言うまでもなく、宝塚版、生で見たウィーン版、合わせて、私が今までで見た最も「美しい」トートだった。
「美しい」ことは「強い」。
それは、皮肉にも「エリザベート」が証明している。
終わった後、

な、なんかいいもん見たわ、私。
寿命が延びた気がする。

と思わず思ってしまったから、足りないところはたくさんあるけれど、このトートはこのトートで一つ見応えのあるものだったし、価値があったと、私は思っている。

大ファンなのだけれど、杜けあきさんのゾフィーは歌唱力も何もかも寿ひずるさんには及ばなかった。ただ、寿さんとは別のゾフィー像を作り上げた点を、ファンとして、十分納得して見ることが出来た。