こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

スイセイ・ミュージカル「FAME」

11/25(木)19:00~ @銀河劇場

シャーマン 前田美波里  
ベル 川島なお美

カルメン・ディアス 星野真衣
ニック 吉田要士
セリーナ 野田久美子
ジョー 渡辺 亮
シュロモ 戸田健二
アイリス 角替奈美子
タイロン 宮林大輔
メイベル 渡辺直美

前に同じスイセイ・ミュージカル「FAME」を見たのはもう何年前のことか記憶が定かではないのだけど、初めて日本語でこの物語を見たのがそれだった。
なので、その時はキャストがどうこうというよりも、英語が不得意なため、分からなかった細々したところが判明し、そうだったのか、とそれなりに楽しんだ記憶がある。

とにかく、私はこの演目が好きだ。
いくつかある私の琴線にひっかかるのである。
さらに、はじめてロンドンに行ったときに見て、大感動した作品でもあったので、見ると色々初心に戻って、頑張ろうと思える、そういう作品だ。

だから、以前にスイセイ・ミュージカルで見て以降も、ロンドンを訪れたときにこの演目がかかっていたら、ついつい足を向けて、もう何度となく見ている作品の一つでもある。

ということで、やはり、オープニングのスピード感が本当に秀逸。
試験から合格、入学への流れ。音楽、芝居、ダンスが一体となって攻めてくる感じ。
希望と期待と興奮と、そういう熱いエネルギーが迷い無く客席に向かって放出される。
好きだなあ、と改めて思う。

けれども、さすがに物語が本格的に始まっていくと、キャスト陣の実力の足りなさが、なかなか厳しかった。もちろん、無名の若者たちの物語、であるから、そういう状態に近い彼らにしか表現できないものがあるし、それはそれで一つの形なので、悪くはないと思う。
ただ、チケット代に見合った内容か、と言われると、残念ながらそうではなかった。
例えばもう少し小さな劇場で、S席でも5、6000円程度だったら、納得して見れたと思う。
集客のためにある程度知名度のある俳優が必要なのはよくよく分かるのだけど、せめて、ベル先生を美波里さんに対抗できるくらいのキャスティングにして欲しかったと思うのだ。
先生たちががっちり締めてくれると、若者たちの不足分も、それはそれとして楽しめたと思うのだけど、美波里さん一人では、やはり辛かった。

しかし、若者たちもそれぞれ得意分野をいかんなく発揮。
カルメン・ディアスは歌が上手かったし、セリーナ・カッツは可愛くて、演技が上手だった。アイリスは本当に背中が柔らかくて、バレリーナの雰囲気がよく出ていた。ただ、個人的な見せ所のタイロンとのデュエットダンスはタイロン側の不足により、バタバタしてしまったのが残念。
ただ、タイロンは黒塗りも違和感ないくらいの西洋人ぽい顔立ちで、どうしてもこのミュージカルを日本で見る時に感じる人種の違和感を和らげてくれたのは良かった。
女性陣に比べると、タイロン以外の男性陣が特に良いところもなく、これも残念だった部分の一つ。

渡辺直美は歌とダンスは役柄としては及第点だったけれど、芝居が、恐らく演出側の意図もあって、お笑い芸人と役柄としての狭間を行ったり来たりで、それが気に掛かった。上手く融合していれば問題なかったけれども、どうも、微妙な間とか、個人的に芝居的に見て苦しかった。ただ、それでも笑いは起こっていたので、良かった方には良かったのかもしれない。

ところで、日本版を見るといつも不思議なのが、音楽家三名の楽器が常に固定されているところ。ロンドンではドラム以外は役者が演奏できる楽器に変換されたりする。なので、別にヴァイオリンとサックスにこだわる必要はないと思うのだ。特にサックスは今回吹き替えなしで、練習を頑張った点は素晴らしいと思うのだけど、本当に下手で、芸術高校の音楽科の生徒として逆にマイナスになってしまい、それまた残念だった。