こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

思い込みってこわい@松尾スズキ版キャバレーから思うこと。

私、自分の感想はこんなに垂れ流しているくせに、人の感想を読むということをほとんどしません。
だからこそ、読みに来てくださる方々を本当ありがたく思っております。
特にこの松尾スズキ版キャバレー再演の感想は、私が真面目にブログのアクセスとか見だしてはじめて、記録的な伸びを見せました!
本当にありがとうございます

だもんで、私のこの感想は大丈夫なのか、ちょっと心配になりまして、他の感想を久々にググってみました。
いやあ、本当にいろんな感想があって面白い!
特に、東京公演の劇場がEXシアター六本木である、というのは非常に悔しく読みました。
調べてみたところ、ライブハウスにもなる地下劇場らしいじゃないですか!
これ!
http://tokyolucci.jp/ex-theater-access

キャパ数も1000ぐらいと2階席はあるものの中劇場レベル。これなら、あの演出が楽しめると思います。少なくともフェスティバルホールよりは。
ずるい。いいなあ、東京。
まあ、私もいい加減オトナですから、空きとか予算とかいろんな人の契約と拘束時間とか色々あってフェスティバルホールだっただろうな、くらいはわかるのですが、できればシアタードラマシティで見たかった、と心から思いました。
というのも、上から見るとクリフの部屋のセットの粗が見えましてね
その辺もちゃんと考えて、演出!と思ったんですけど、そんな上から見下ろすことを考えてなければ問題ないわけで、なぜに1階席しかない劇場を選ばなかった、と言いたくなっちゃうんです、オトナげなく。

まあでも仕方ありません。地方都市の宿命です。

それにしても、素晴らしい感想を述べておられるブログも多く、大いに反省いたしました。
その中でも、
通常のミュージカルと思わず、シュナイダーさんの下宿で繰り広げられるお芝居だと思ってみれば面白い
というような感想は、なるほどそうかー、と頭から「ミュージカル」だから、と凝り固まっていたガチガチの自分の脳ミソを悔やむほどでした。
そんな、素晴らしい視点での感想を述べられていたブログを読みながら、ん?と思ったのが、この一文。

サリーが英語を「かっこいい」と思う可愛らしさ

え?
なぜ、サリーが「英語をかっこいいと思う」のだ?
だって、サリー、イギリス人なのに。

とハテナマークを放ちながら、舞台の記憶を反芻してみました。

確かに、キットカットクラブでクリフと出会ったシーンで、サリーはクリフに、
あなたの英語ステキ、もっと話して、うふーん
みたいなこと言ってましたわ!

画像はステージナタリーより
見ながら、なんでこんな訳なんだろう、と思ってましたわ、私!

でも、下手に何度か見てるので、サリーはイギリス人、普段英語を話す人がいなくて、クリフにやっぱり英語っていいわー、英語で話しましょうよ、てところがこういう訳になってるんだ、と思い込んでいたのです!
しかし、確かに、この思い込みがなかったら、サリーはドイツ人に見えたのでしょうか。
というか、演出の意図としては、サリーはドイツ人の設定だったんでしょうか。
気になる、めちゃめちゃ気になる。

ということで、映画も未見、初キャバレーの同行人に後で聞いてみたところ、
サリーはドイツ人とは思ってなかった。
なぜなら、ドイツ社会が徐々に変わってきているのに無頓着だったから、外国人なのだと思っていた。
けれど、イギリス人だとは分からなかった。

との回答を得ました。

まあ、サリーが絶対イギリス人でなきゃいけない理由はないですし、実際映画はアメリカ人なので、外国人に見えれば問題ないとは思うんです。
でも、少なくとも、イギリス人かアメリカ人じゃないといけないと思うんです。
だって、最後のCabaretの曲の
I used to have a girlfriend
known as Elsie
With whom I shared
Four sordid rooms in Chelsea
昔、友達がいたの 名前はエルシー
ボロい部屋をシェアしてたの チェルシーで♬

て歌詞が意味なくなるじゃないですか。

とこんなに書いたのに、すみません、今、友人から、イギリス人よ、というセリフがあったとの情報を得ました
でも、分かりにくかったのは確かだし、だったらなおさら、英語ステキ〜、うふーん、の意味がわかりません

というか、初演見たときから思ってたんですけど、この演出はとてもサリーの人となりがわかりにくいです。
初演のときは松雪さんに問題がある、と思っちゃったんですが(因みに私は松雪さんが永遠の憧れの女性ってくらい好きなんですよ)、ロンドンと小池版を見て、これは演出のせいだなあと考えを改めました。
多分、松尾スズキさんが描きたかったのは、サリーではなく他のことで、だからこういう演出になっていたのだと思います。
そして、その演出の意図を感じるには、真っ白な状態で見るべきだったんでしょうねえ。反省。

あと、別のブログで、
クリフはキャバレーボーイとチューくらいしたら
というのを見かけて、大いに頷きました。
今回の演出では、クリフがゲイだとわかるのは、キャバレーボーイズがロンドンのゲイバーで会ったじゃない、今夜もどう?的に誘うセリフと、サリーがゲイなんでしょ、彼らから聞いたわ、というセリフの2つなんですね。
言葉しかない。
しかも、キャバレーボーイズをかなり手酷く振っている。
ものすごい嫌悪感露わに。
なんか、クリフがゲイ、というのをあまり描きたくないのかなと感じてしまいました。
いや、別に描かなくてもいいんですけれど、それならそれで、いっそストレート設定にしてほしかったなー。
半端な感じがちょっと残念だったのです。
小池版再演の大貫くんが、ゲイ設定活かしてすごーく色っぽくて、作品全体に色気をプラスしてたのが良かっただけに余計に。

画像はAll Aboutより
サリーとのベッドシーンでも惜しみなく美しい身体見せてくれてました
松尾スズキ版初演の森山未來くんもダンサーで美しい身体してるのに見せていなかったことを考えても、男性の方の色気を魅せる、つもりはなかったんでしょうねえ。うーむ。その意図はどこにあるのか、やっぱり、それなりにキャバレーに浸かった私には見えなくて残念です。

ところで、ミュージカルと構えずに歌番組的に気楽に歌を楽しめたという意見も読んで、なるほどなあと思ったのですが、待ちに待った例のDVD

Broadway's Lost Treasures 2 [DVD] [Import]
Hildy Parks,Steven Hecht
Acorn Media

が届いて見ながら、いや、でも、ミュージカルってワンシーンだけ切り抜いても魅せられるのが最大の魅力じゃないのかなと思ってしまいました。

ということで、このDVDの感想は改めて