こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

嵐が丘

7月30日(土)18:00~ シアター・ドラマシティ

ヒースクリフ・・・・・・河村隆一
キャサリン・・・・・・平野 綾
エドガー・・・・・・山崎育三郎
イザベラ・・・・・・荘田由紀
ヒンドリー・・・・・・岩 大
ネリー・・・・・・杜 けあき
アーンショウ・・・・・・上條 恒彦


芝居としての演出も作りも、そしてミュージカルとして音楽もオーソドックスだった。けれども、原作が今もこう人気がある理由はとてもよく分かる、すばらしいメロドラマだった。
舞台としては、シンプルなセットと、なによりセットがシンプルゆえに色々なことを表現する照明が格好よくて素敵だったと思う。

その中で描かれる有名原作のキャラクターは色づけがはっきりして、濃く暗く面白い。けれど、本来もっとも面白くできるはずのヒースクリフ河村隆一が、全く演技ができず、辛かったのが残念だ。
最低限、舞台に立つというスキル、動き方やセリフの声の作り方など、そういうことはやはり舞台には必要だなあと思った。冒頭彼が登場して、キャサリン、しかセリフを発しないのに、それだけで、彼の基礎力のなさを露呈してしまったのはいかがかと思う。
そのがっくり来た後に、杜けあきが的確な技術でオープニングを盛り上げてくれたのは本当に救われる思いだった。
今回が初舞台だというキャサリン平野綾は、出だしこそ、セリフの声が響かないなと思ったけれど、すぐに生き生きとキャサリンとして息づき、どんどんと勢いを増し、歌唱力もあって、とても魅力的に輝いていた。初舞台のひたむきさがキャサリンという役にシンクロしていて、とても可愛かった。この女の子がヒースクリフの前に輝いた存在であったこと、リントン家の兄妹の心を捕らえたことはとても納得してみれたのがよかった。

そのリントン家のエドガーのいいこと。甘い歌声も見た目もリントン家のおぼっちゃまとして何一つ問題なく存在できる。次のロミオが本当に楽しみだ。
河村隆一ももちろん歌は上手いので、キャサリンヒースクリフエドガーの三重唱はさすがに聞き応えがあって、それなりに楽しめる作品にはなっていたように思う。