こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

それは例えるなら小さな望み

昨年より「宣伝会議」の「編集・ライター講座」に通っていました。
通っていた理由は置いておくとして、
その卒業制作で、いろいろあって、
最終的に私は「コミュニケーション」と「演劇」みたいなテーマを扱いました。

後悔はたくさんありますが、一つ良かった点は
劇団衛星の蓮行さん、という方を知ったことです。
劇団衛星では、全員が劇団員、という職だけで生活しているのだそうです。
これ、本当にすごいです。

私は日本の小劇場界に属したことはないけれど、
ロンドンの小劇場界で半年ほど修行していました。
そこで学んだことは色々あるけれど、知ったことはただ一つ

ロンドンも、小劇場だけで食ってはいけない!

ということでした。

ただ、それ以外が色々違います。
公演の仕方も違うのですが、何より、役者が違う。
役者が演劇をする技術を、専門学校か大学で習得しています。
次のオーディションにはこの戯曲のこのシーンを演じてみようと思うんだけど、どう?
なんて会話が交わされます。

今回、卒業制作のために、アメリカの高校の芸術選択で「演劇」を専攻していた友人に話を聞いたのですが、彼女曰く「そもそも演劇の授業以前にEnglishの授業でシェイクスピアとか戯曲を演じたりするよ」という一言に驚きました。
彼らは大学や専門学校に入学する前に、一般教養として「演劇」を習っているわけです。

だから、劇団の仲間と「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」に参加したとき、
サルトルの)「NO EXIT」は宣伝しなくても大丈夫!有名だから観客は入るよ!
なんて会話が交わされるわけです。

その言葉どおり、3公演持っていた中で、
やはり「NO EXIT」が一番客入りは良かったです。
ちらしを手渡ししても、「ああ、サルトルね」みたいな反応でした。
そのくらい、誰もが知っているのです。

サルトルの「NO EXIT」くらいになると、
お膝元のフランスはどうかしりませんが、
恐らく「芸術選択」で「演劇」を選択した人なら、習う戯曲なのだと思います。
(お膝元のフランスは「国語」の授業で習っている可能性もあります)

私も一応、大学で戯曲を選択していたので、
ある程度の「戯曲」を読んでいましたが
サルトルの「NO EXIT」がこんなに有名なのに驚きました。
そして、日本に帰ってきて、演劇好きの仲間に出会っても、サルトルの「NO EXIT」を知っているのは、先述した友人だけでした。

大学受験の時、私は既に「演劇」が勉強したい、と希望していたのに、
日本では当時「演劇」を専攻できる「国立大学」がありませんでした。
現在でも1校だけのようです。

その頃から、
日本に「演劇教育」があったらなあ
とずっと思っています。
その思いは「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」から戻ってきて、益々強くなりました。
しかし、何をどうしたらいいのか、私の頭では考え付きませんでした。

それを実行されているのが、平田オリザさんであり、蓮行さんです。
そんな蓮行さんを今の世の中だからこそ、微々たる金額でも応援できるようになっています。
https://note.mu/rengyoudojo

ミュージカル界は残念ながら「歌」専攻で、「演技」は後回しです。
でも、もし彼らが小さい頃から最低限の「演劇」を習っていたら?
また、観客も最低限の「演劇」に触れていたら?
舞台を見る習慣がついて、演劇を見に行く人も増えると思うのです。
見に行く人が増えれば、チケット代も安くなるかも、です。
(まあ、実際NYもロンドンもチケット代は上がっているので、これは何とも言えないですけれど、
少なくとも「当日券半額売り場」はできそうな気がします)

私は蓮行さんと面識も何もありません。
蓮行さんと平田オリザさんの共著を読んだだけです。

そして、これに感動しただけです。
でも後進の演劇界にちょっとだけ貢献したいな、なんて
私と同じ気持ちをもっていらっしゃる方がいたら、少しだけ応援する方法はあるよ、
ということをお知らせできればな
と思って書きました。