こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

演劇と見世物のはざまに@大衆演劇「南條光貴劇団」

4/28(土) 17:00〜 九条笑楽座
この劇場が出来て、明日で一年になるそうです。
実は生活距離圏内にある劇場なので、毎月変わるポスターを眺めておりました。
そしていつか行きたいなあと思いつつ、1年が経ってしまいそうな3月頃、こんなポスターを見かけました。

うわー、キレイ!見たい!
と思ったので、やっぱりポスターってある程度大事だと思います。
ということで、千秋楽前日に駆けつけました。

客席数はマックス60席くらいでしょうか。
長椅子式だけど、ちゃんと段差をつけて組んであってどこの席でも見やすい印象を受けました。
私は最終列に座ったのですが、当たり前だけど、最終列でもめっちゃ近く感じます。
観客は30人前後。
年配の男女から若い女性まで割とバラバラな印象を受けました。

開演時間ギリギリに入ったので、すでに舞台には出演者2人が舞台に座ってトークされていました。
そしてすぐにショーがはじまったのです。

つまりこういう構成でした。
1部 ミニショー 約30分
2部 お芝居 約1時間
3部 グランドショー 約1時間

なんと休憩入れて約3時間ありました。

そしてショーでは動画はもちろんダメだけど写真は撮ってもOK。(お芝居は両方NG)

ショーは、既存曲を使って一曲ずつ出演者が踊ってくれる、という方式でして、1部は割とカラー和鬘に派手な着物で踊ってくれる演目ばかりで、1人ひとり、わーキレイ!かわいい!と思っている間に終わりました。

そして割とすぐにお芝居がはじまりました。
演目は日替わりだそうで、この日は「六連発」というお芝居だったのですが、ここで私はかなり辛くなってしまいました。

演目自体は、本当にベタなコメディで、こういうネタ落語でもありそうだなあと思いました。
一応こんな話しです。

ある日仕事を終えた棟梁が家に帰ると、息子がおもちゃのピストルを持って遊んでいる。
危ないからととりあげたところに、大工の虎の嫁とその父親が、虎からかくまってほしいと逃げ込んでくる。
酒を呑んで酔ってしまった虎が、嫁と父親ができていると思い込み、殺そうとするのだと言う。
いったん2人をかくまったところで、泥酔した虎が包丁を片手に2人を知らないか、と棟梁のところにやってくる。
ひとしきり虎の話につきあった棟梁は、虎から包丁を取り上げ、ピストルを与える。
2人は茶屋にいるから、このピストルで殺せばいいと伝える。
ピストルを持って勇んで茶屋へ行く虎。
それを見送った棟梁は嫁や父親、自分の息子、他の大工、茶屋の女将なども巻き込んで、問題を根本から解決するために一芝居打とうともちかける。


観客にはすごく受けていたし、お話し自体はくだらなくて面白いと思うんです。
ただ私が夢中になれなかったのは、今回だと棟梁と虎、茶屋の女将以外が演技ができなかったことでした。

そう言えば「髑髏城の七人」で早乙女太一くんを見たとき、こんな早くて美しい刀さばきを見たことがない!と感動したのと同時に、大衆演劇出身なのに演技が下手だなあと感じたのですね。

そこから考えると、大衆演劇はあんまり「演技のスキル」については重要視されてないのかもしれないです。
とは言え、大衆演劇の劇団はたくさんあるので、この辺は他の劇団も見てから判断します。

さて、ちょっと長い休憩があって、この間におひねり的なものを売ります、という案内がありました。
ハワイのレイみたいなものなんですけれど、これを購入して、役者に渡してください、ということでした。
見ていると1本1,000円なのは分かったのですが、ここで値段の案内があれば、初心者としては嬉しかったです。
どのみちどうやって渡すかもわからないし、タイミングもわからないので、買わなかったのですが(^◇^;)
そして別に押し売りされることもなかったので、大衆演劇見てみたいけど、おひねりシステムで二の足を踏んでいる方は、その辺は安心して出かけられてください。
ただおひねり渡すのは楽しそうだったし、これこそ大衆演劇の1番の楽しみ方みたいなところを感じたので、慣れたらちょっとやってみたいです。

3部のグランドショーも最初のミニショーと同じ形式なのですが、衣装やカツラが着物以外のものもあり、さらに3歳の女の子が丸々一曲舞台に立ったりしたのも衝撃でした。
女の子の舞台はとても芸と呼べるものではなかったのですが、こうやって小さいときから曲一曲分一人で舞台の上に立つ、ということを覚えさせることが大事なんだろうなあとか思いました。

それにしても座長の女形はさすがの美しさ。
そして扇が夢のように美しく舞って、ああ芸って素晴らしいなあとしみじみ。

千秋楽は座長の女形七変化が見られたらしいので、そっちにすれば良かったーーと後悔していたら、大蛇の舞がはじまりました。
6メートルとおっしゃったかな、そんな大きな大蛇を一人で操る出し物は迫力満点!

大満足して観劇を終えました。
終わったあとはもちろん劇団員の方が迎えてくださるんですけど、さすがにちょっと恥ずかしかったので、とっと帰りました

見終えて思ったのは、とりあえず少なくとも後一回別の劇団を見て、もう一度この娯楽のあり方を考えたい、ということと、これを上手くインバウンドに利用できないかなということでした。

本物の歌舞伎や芸妓さんたちの踊りを見るのもいいけれど、それなりにお金がかかります。
大衆演劇はずっと根付いて生き残ってきた「日本の庶民の娯楽」の1つのカタチであることは確かです。
芝居はどうしても言葉の壁があるし、今回の劇団は芝居のスキルはあまりお持ちじゃなかったから、いっそ芝居をカットして、ショーだけでインバウンドを狙ってみるのも、興行を成功させるためにはありなんじゃないかなと。

九条笑楽座は立地的にもそれができると思うんですよね。
ユニバーサルスタジオジャパンの乗り換え駅、西九条駅からでも歩いていけます。
西九条駅には外国人観光客向けの宿泊施設もあるし、飲屋街もある。
そこにさらに娯楽として「日本の大衆演劇」を提供したら、そこそこニーズありそうだと思うんですよ。
なのでショーだけで90分1,000円、21時開演とかでインバウンド目的で数回公演されてみるのもありじゃないかなあとか、そんなことまで妄想してしまう楽しい観劇でした。