こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフォー負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

かわいいけれど惜しい、惜しいけれどかわいい@宝塚花組「Nice Work If You Can Get It」

2/7(日)16:30〜 梅田芸術劇場

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スタッフ
Music and Lyrics by George and Ira Gershwin
Book by Joe DiPietro
Inspired by Material by Guy Bolton and P. G. Wodehouse
潤色・演出/原田 諒

キャスト
ジミー・ウィンター 柚香 光 
ビリー・ベンディックス 華 優希 
クッキー・マクジー 瀬戸 かずや 
アイリーン・エヴァグリーン 永久輝 せあ 
ベリー署長 汝鳥 伶 
ミリセント・ウィンター 五峰 亜季 
エストニア公爵夫人 鞠花 ゆめ 
デューク・マホーニー 飛龍 つかさ 
ジェニー・マルドゥーン 音 くり寿 

 

2012年の新作ミュージカルであるはずなのに、「古き良き時代」テイスト満載のこのミュージカル。ガーシュインの音楽を使ったジュークボックスミュージカルか、とも思ったのですが、禁酒法時代(1920-1933年)まっただ中の1926年に上演された「Oh, Kay! 」というミュージカル作品のリメイク版だとTwitter情報で知りました。
とはいえ「スタッフ」の「Inspired by Material by Guy Bolton and P. G. Wodehouse」というところがミソで、この2人がガーシュインと組んで作ったミュージカル全般の曲が使われています。
そんなわけで、2012年ブロードウェイで新作としてオープンした際でも、こんな感じの「古き良きミュージカル黄金期」テイストのヴィジュアルが用いられています。

 

 
ここから勝手に察するに、これは宝塚歌劇における「ベルばら」なんじゃないかと。
古き良き時代のミュージカルが大好きなオールドファン層向けに作られたモノ。

そんなわけでストーリーはごくごくシンプルなボーイミーツガールのラブコメです。
これ以上の説明はいらないと思います。

 

わたしはそういうミュージカルが大好きなので、この作品も大変楽しく見ましたが、やはり思うのは「1シーン1シーンが長い!」です。
今のミュージカル作品にはないようなダンスと歌のショーアップ加減は大変楽しいのですが、長い!そしてまったりしている!
2012年のトニー賞映像を見ても(そしてケリー・オハラさまの歌声で聞いても)

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そう思うのですから、せっかく輸入したのを機にもっと改善してもよかったんじゃないかと思うと残念です。
むしろセットにしろ振付にしろ、そういうハード面がブロードウェイに敵わないだけに、思い切った潤色をお願いしたかったなあと思うのです。
ハッピーなラブコメミュージカルは現在の閉塞的な世の中でひと時の夢を一番見せてくれるもの、だとも思うので、よけいに惜しい気持ちが抑えきれませんでした。
(唯一、オーバーチュアがある作品で録音演奏はつらいな、と思うところを緞帳のピアノ電飾を光らせて見せてくれたところは感心しました)

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ただ宝塚歌劇には男役がいる。
そして現在の花組には今一番の美貌を誇るトップスター、柚香光がいる!
その柚香光がお金があって顔がいいだけのアホボンを演じる無敵さ。
全ての粗を吹っ飛ばして「もー、かわいいから許す!てかかわいすぎてたまらん!キュンキュンする!」と盛大にときめかせてくれたことに感謝。
そしてビリーの華優希さんが本当に演技もよくてかわいくて、2人が一緒のシーンは無敵でした。
またジェニーの音くり寿ちゃんがメインのシーンでは「私を見よ!」ぐらいの勢いでバーンと美声を響かせてくれるので、これも心地いい。あと個人的にエストニア公爵夫人の鞠花ゆめさんが好きでした。前回の「はいからさんが通る」でも好きだなと思ったので、好みの演技なのだと思います。
一方でアイリーンの永久輝せあさんは大変美しかったのですが、ちょっと押し出しが弱かったかなと個人的には感じました。
アイリーンがこれまたこの時代のミュージカルのテンプレライバルキャラクター「思い込みが激しいリッチな金髪美人」で、それゆえにコミカルになってしまう、というのは面白いところでもあるのですが、こういう役は宝塚歌劇の生徒が演じるには非常に難しいのですよね。
さらに見せ場のバスルームのシーン(Delishious)が宝塚歌劇的にセクシーにすることもできず、これぞショー!というようなゴージャスさも見せることができなかったことがただただ残念。
このシーンの作り方1つで「まるで夢の国」みたいなことを思わせることができたはずなのです。この辺は演出というよりも資金面の哀しさを感じさせます。

 

しかしながら、こういう一見くだらない作品がもたらしてくれる多幸感こそがエンターテインメントの醍醐味だなとしみじみ感じました。
そして柚香光さんのダンス力はタップダンスにも活かされることがわかりましたし、フィナーレの一瞬しかなかった「黒燕尾服&シルクハット」の柚香光が本当に美麗だったので、ぜひともこういうクラシックなショーを彼女で見たい、と心の底から思いました。

というかこのクリップを見る限りでは黒燕尾服&シルクハットのジミーのシーンが多そうなのに、なぜ宝塚版はフィナーレだけだったのかナゾ。

今の宝塚ファンの方はシルクハットに萌えがないのでしょうか。
年に数回しか現在宝塚歌劇を見ないので、何ともいえないのですが、最近宝塚のショーで、黒燕尾服&シルクハット+ステッキ、みたいなシーンをしばらく見ていない気がするのです。
ステッキは置いておいても、シルクハットは見たい!
宝塚歌劇版の「TOP HAT」がどんな感じだったのか分からないのですが、ウエストエンド版の「TOP HAT」はどこをどうしたのか中だるみ感もなく、長さを感じなかったので、この演出で柚香光版の「TOP HAT」を見たいなと思います。
せめて「CHEEK TO CHEEK」のシーンだけでもショーの一場面に入れてもらえる日を、言霊を信じて書き残しておきます。

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