こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ウーマン・イン・ホワイト

11月24日(土)13:00~ 青山劇場
マリアン・ハルカム 笹本玲奈
ウォルター・ハートライト 別所哲也
フォスコ伯爵 上条恒彦
ローラ・フェアリー 神田沙也加
パーシヴァル卿 石川禅
白いドレスの女 山本カナコ

ロンドンでプレビューを見たとき、とにかく見どころはセットだった。R状のスクリーンが3つか4つくらいあって、それが流れるように移動し組み合わさったりすることで、映像とセットへ移り代わり、衣装が大仰な分、実にシンプルで舞台を見やすく構成していたし、何より、光輝く緑、迫る列車の臨場感は賛否両論、好き嫌いあれど、新しい舞台の可能性を広げてくれたものだった。
そして、映像の臨場感が、やや中だるみする演出にメリハリとスピード感を与えていて、ロンドンでは、個人的にそんなに悪くない出来だと思った。

けれども、一転、日本では、特に工夫の見られない安っぽいセットが、この作品の不出来な部分を際立たせてしまったのが何とも残念だった。
残念ながら、最盛期を過ぎたロイドウェバーの音楽は、かつてのもののようにそれだけで引きつけることは出来ない。けれども、全体としては悪くないし、原作もヴィクトリアン・ミステリーの名作だから、説明不足の感はあるけれども、ちゃんと出来ている。更に特筆すべきは、今のミュージカル会を支える本当の実力派キャストで、文句がない。正直ロンドンの白いドレスの女役がとても歌が下手だったから、歌唱力の実力だけ見るならば、今回のキャストの方が優れていたとさえ思う。
またロンドンでは定番だけど、ややコミックパートにあたるフォスコ伯爵のシーンが、とにかくしつこくて辟易しただけに、今回の日本版では、その辺りはやや抑えられいて見やすかったから、セットともう少し演出で及第点にまで引き上げられたのではないだろうか。

暗くミステリアスな雰囲気が重要なだけに、常に明るく照らされていた舞台上のオケ部分が気になってしょうがなかった。せめて、あそこだけでもオケボックスに移動して、もう少し舞台の照明を調節できれば、雰囲気を作り上げられた気がしてならない。