こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ラ・カージュ・オ・フォール再演のついての独り言。

10年ぶりに「ラ・カージュ・オ・フォール」が再演。

10年前、当時飛天という名称だった梅田コマ劇場で見たこの作品が、私が今まで見た日本の公演の中で、観客、キャスト、演出、オーケストラともに、最も楽しかった一日をくれたのである。RENTやTABOOやエリザとは違う衝撃を私に与えた作品でもある。

どんな話かというと、新納慎也さんがブログで、こう紹介されているとおり、

ゲイのカップルが経営するゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」。そのゲイクラブを舞台に繰り広げられる心温まる素敵なラブコメディ。

立派な王道B級作品である。
でも、B級娯楽作品こそ、ミュージカルの醍醐味というか、ミュージカルが持てる力を全て発揮できる気がするのだ。
この作品も元々は演劇だったみたいだけど、ストーリーがあんまりないだけに、演劇ではなんとなくつまらなそう。「ウェディング・シンガー」も「イーストウィックの魔女たち」も、「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」も演劇にしても、ミュージカルの魅力は超えられない気がする。
でも、例えば「川上音二郎」を整理して(←重要w)、ミュージカルにしたら、また違う楽しさが出てくるんじゃないかと思う。

それが、芝居だけじゃない、歌とダンスが複合した力だと思う。

スタジオライフの「夏の夜の夢」が、演技力、歌唱力、ダンス力もなしなのに、それが入るだけで、あれほど楽しいものになったのも、まさしくこの複合の力。

私がクドカンを好きなのも、この要素があって、クドカン最大の魅力は「言葉遊び」なんだけど、オプションとして、歌やダンスが実に無意識的に上手にその世界観に組み込まれていて(今回の「未来講師めぐる」でも「塾の歌を歌うバンド」がめちゃめちゃいい味出してて、大好き)、単なるB級コメディーをより楽しい娯楽にしている気がするのだ。

心のヒダに入り込んで住み着くような作品も、自分の感覚を最大限に尖らせて受信して、その後もずっと考えて考えて学んでいくような作品も大好きだ。寧ろそういう作品の方が、「好きな作品」として、ずっと私の中にある。
けれども、一方で、とにかく頭をからっぽにただ楽しいだけの一時を生み出せる作品は、ミュージカル好きとしては、やっぱり捨てられない何か。こういう作品に出会うとき、ミュージカルっていいなあ、と心から思ったりする。

ということで、「ラ・カージュ・オ・フォール」の再演、楽しみ。1月が大阪ってことなので、いっそ大阪で見ようかとか(笑)いや、だってあの作品、絶対大阪のが楽しい気がするんですよ。「イーストウィックの魔女たち」も東京以外の公演の方が盛り上がったみたいだし^^;

一つ気になるのは、亡き岡田真澄さんのアタリ役といっていいジョルジュが鹿賀丈史になること。さすが西洋の血というか、ああいう伊達男の自然さって日本人にはなかなか難しいところがあるし、岡田さんのイメージも強いから、鹿賀丈史がどう作ってくるか。そして、恐らく、私が見たとき、風花舞がとにかく可愛らしく演じた役を島谷ひとみがやるだろうから、そこもちょっとどう転ぶか。

それにしても、当時意識してなかったとは言え、吉野圭吾さんも、新納さんも、塩田先生も、全てこの舞台が最初の出会いだったんだなあとシミジミ。良作B級作品は、良いキャスト・スタッフが揃ってこそ。我が新納さんも10年前と同じ役で出演される(それにしても、ファンだから見に行ってるのももちろんあるけど、新納さんってやっぱり私的に面白い作品に良く出演されているなと改めて思った。だからまたファンなんだろうなあ。堂々巡りw)ということで、今回も良いキャスト・スタッフ、特に塩田先生がいてくださることを心から祈りながら、楽しみに待ちたい。