こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

真実を見つける難しさ@fake

1、2月ちょっと予定より観劇しちゃったので、舞台の感想は当分ありません、すみません
4月以降はキューティーブロンドやら、きみはいい人チャーリーブラウンやら見に行きます(←因みにチケットは未手配ま、なんとかなるでしょう)ので、舞台感想は気長にお待ちいただけると嬉しいです。
あ、それと映画のB&Bも行きます!
Bed&Breakfastではありません、もちろん笑
Beauty&The Beastですね。ああ、楽しみ。
薄々お気づきだと思いますが、何が楽しみかは映画の感想のときに書きたいと思います。

で、舞台見ずに何をやってるかというと、なぜかDVDを色々見てます。ルーム

ルーム [DVD]
ブリー・ラーソン,ジェイコブ・トレンブレイ,ジョアン・アレン,ウィリアム・H・メイシー
Happinet

にはじまって、スポットライト

スポットライト 世紀のスクープ[DVD]
マーク・ラファロ,マイケル・キートン,レイチェル・マクアダムス,リーヴ・シュレイバー,ジョン・スラッテリー
バップ


ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレント [DVD]
バルバラ・スコヴァ,アクセル・ミルベルク,ジャネット・マクティア,ユリア・イェンチ,ウルリッヒ・ノエテン
ポニーキャニオン


ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡 <4K ULTRA HD&2Dブルーレイセット>(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
クリント・イーストウッド
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

となぜかbased on a real storyなやつばかり。

そんな中、間に見たマダムマロリーと魔法のスパイス

マダム・マロリーと魔法のスパイス ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
ヘレン・ミレン,オム・プリ,マニッシュ・ダヤル,シャルロット・ルボン,ミシェル・ブラン
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

は楽しかったですねー!ディズニーの実写映画ってなんでこんなに面白いのか!
徹底した娯楽作ですので、心がおつかれのときにオススメです。もう笑ってドキドキしてハラハラしてによによして最高に幸せな気分になりましたそして無性にカレーが食べたくなります笑

事実に基づく映画ではハンナ・アーレントがかなり衝撃で心揺さぶられました。その立場にいながら、感情に捉われず、物事をまっすぐに見つめ、分析し、表現するハンナ・アーレントの聡明さと気骨にただただ頭が下がりました。
彼女のように闘うことはできませんが、せめて彼女のように、物事をまっすぐに見つめたいなと思います。

けれど、それは、ひどく難しいのだなと思ったのが、ドキュメンタリー映画fake

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]
Happinet
Happinet

です。
ゴースト作曲家騒動で、世間を騒がせた佐村河内守氏にフォーカスした作品なのですが、とりあえず、私はドキュメンタリー映画をボーリング・フォー・コロンバインしか見たことないので、いろいろ衝撃でした。

その前に、私は佐村河内守氏のことを、この騒動が起こるまで知りませんでした。
実は私、クラシック音楽に対する教育はまずまず受けている方なのですが、哀しいかな、そんな親の音楽教育にかけたお金は全くムダになっているくらい、音楽に疎いのです。
父よ、母よ、ごめんなさい。
音楽がそれほど好きじゃないって、もうちょっと早く気付けば良かった

そんなわけで、この騒動が起こったときに思ったのは、まあそんなこともあるだろうなあ、くらいでした。
そして、マスコミの報道に先導されたとおりに、新垣氏がなんとなく被害者、佐村河内氏の記者会見の耳の問題はウソっぽいな、と感じました。

このドキュメンタリーはそんな騒動が一通り終わったあとの佐村河内氏とその奥さまの生活をただひたすらに追っています。
見ていると、新垣氏の方の胡散臭さも若干感じはじめ、最初の佐村河内氏と新垣氏の印象は、マスコミに先導されていたのだな、ということに気づいたのです。

けれども、これがドキュメンタリー映画である限り、私たちは監督の視点で、佐村河内夫婦の生活を見ているわけです。
監督は、佐村河内夫婦を完全に信じている、という視点ではないように思いました。
だからこそ、考えてしまったのです。

何が本当か、何がウソか。
それを知ることに意味があるのか。


1つ明確に思ったのは、佐村河内氏の何が問題なのか、ということを、私は分かっていなかった、ということです。
佐村河内夫婦の元には、日本のテレビ出演やら、海外のインタビューやらのオファーがやってくるのですが、その海外のインタビューを聴きながら、はじめて、私は佐村河内氏に対する不信感の正体を知ったわけです。
それは、彼が、本当に音楽を作れるかという証明をしていないことだったのです。
確かに、新垣氏は、テレビに出て、ピアノを弾いたりして、音楽が作れるかも、という技術を見せていました。
一方の佐村河内氏は、その証明は一切していなかったのです。
しかし、これを海外のインタビュアーが質問するまで気づかなかった自分に唖然としました。

監督が映し出す佐村河内氏は、ただただ何かに怯える無気力な人に見えました。寧ろ奥さまの方が淡々と日々を送っているようでした。
常に奥さまが手話で佐村河内氏に通訳するわけですが、それすらも、本当に佐村河内氏が耳が不自由なのか、それとも、夫婦ぐるみで欺いているのか、わかりません。わからなく映し出しています。
だから、考えてしまうのです。

私は何を信じるのか。
何を根拠にして、何を考え、何を見て、何を真実だと判断するのか。


佐村河内氏のことではありません。
今、身の回りで起こっている全てのことに対して、考えてしまうのです。
そして、その中で真実を見つけるのはひどく困難な作業であることに気づかされたのです。
誰かが見せるものをまるっと本当だと信じられる方がラクなのです。
そして、そのラクさにすっかり慣れきってしまったのです。

ところで、宝塚歌劇スサノオという作品があります。これ自体は、私がはじめて早送りしながら見てしまったくらいに辛いできあがりなのですが、1つ面白いシーンがありました。アオセトナという神様が、女性を侍らせながら登場し、欲しいものを言ってごらん♪と妖しく歌うのです。これ見たとき、うわあ、私もアオセトナさまの後ろでキャーキャー言ってる女になりたい!と思いました。
もちろん、アオセトナさまが素晴らしく魅力的なのはあるのですが、もう何も考えなくていいよ、私についてくれば、何事にも煩わされることなく幸せになれるよ、というのが、とてつもない誘惑でした。

そのくらい、物事をきちんと見つめて、自分で考えて行動する、というのは、ひどく億劫な仕事なのだと思います。生きていくのって大変です。
だから、人はアオセトナさまのような言葉に惑わされるのだなと思いました。

でも、アオセトナさまの言葉は悪魔の囁きです。

どうやったら、悪魔の囁きに耳をふさげるのか、そして、ふさぐことが幸せなのか、なんかいろいろ考えてしまうドキュメンタリー映画でした。

あ、ドキュメンタリー映画で、さらに佐村河内夫妻は、外見的なことでいうと、ごくごく普通の人ですし、住まわれている部屋もごくごく普通です。そして、こんな騒動を扱っているので、どことなく暗い感じが漂う映像の中で、佐村河内夫妻の飼われているネコが可愛かったです。
なんか、監督も撮るところに困ったら、ネコとってる気がしました笑
しかし、あのネコ、いなかったら、本当に見ててつらいドキュメンタリーだったろうなあ。