こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフィフ負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

足りなかったものは何か@宝塚花組「TOP HAT」

4月5日 16:30~ 梅田芸術劇場

Music & Lyrics by Irving Berlin
Based on RKO’s Motion Picture
Book by Matthew White & Howard Jacques
Based on the Screenplay by Dwight Taylor & Allan Scott
Presented by Arrangement with RKO Pictures LLC, Warner Bros. Theatre Ventures Inc. and the Irving Berlin Music Company
Originally Produced on the West End Stage by Kenneth H. Wax
脚本・演出/齋藤 吉正

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ジェリー・トラバース 柚香 光
デイル・トレモント 星風 まどか
ホレス・ハードウィック 水美 舞斗
マッジ・ハードウィック 音 くり寿
ベイツ    輝月 ゆうま
アルベルト・べディーニ 帆純 まひろ

 

わたしが2016年梅田芸術劇場で見た来日公演「TOP HAT」は2014年からのUKツアーと同じキャストバージョンでした。

そのプロモーション映像がこちら↓↓↓

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そして来日公演のカーテンコール映像と記者会見映像↓↓↓

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記者会見の狭いスペースでも、こんなに美しいペアダンスを繰り広げてくださるお二人を見ていただいたら、わたしの当時の感想なんか必要ないですが、一応置いておきます。

stok0101.hatenablog.com

この英国版は2013年ローレンス・オリヴィエ賞(英国のトニー賞にあたるもの)の衣装デザイン賞と振付賞を獲得しています。

この映画版の"Isn't This a Lovely Day (To Be Caught in the Rain)?"

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のダンスをもっとボールルームダンスに近づけた感じの振付けになっています。

3:50くらいからのスローフォックストロットのリバースウイーブっぽい振付け部分に、英国版ではその技術とスピード感に息をのみ、うっとりと見とれた記憶があるのです。

しかしながらこれ、2人の軸が一つになって、遠心力で回っているため、2人のコネクションがないと美しく魅せることができません。

それが宝塚歌劇のダンスは宝塚歌劇のそれであって、ペアダンスのそれではないんだよな、と改めて感じました。

そして予算も恐らく全然違う。

英国版のプロモーション映像を見ていただくと分かるのですが、デイルの乗馬服が本当に上品でおしゃれ。

しかし宝塚版ではアイドルっぽいピンクベースのチェック柄で、まずデイルの衣装にがっかりしてしまいました。

 

イタリア人デザイナーの専属モデルであるデイルの衣装が美しくないと、やっぱりこの世界観の一部は壊れてしまったように思うのです。

 

そのくらいボーイミーツガールの中身なしのエンターテインメントを成り立たせるには、振付けや衣装、セットの力は大事だなと痛感しました。

そしてやっぱり来日公演版でも床のセットがありますよね。

この床が美しい「タップダンス音」の秘訣の1つだったのでは、と思います。

そういう総合点でこの作品は素晴らしいエンターテインメントショーとなり得た。

そう思うと、ペアダンスと歌のスキルと同時に、スタッフ力の差も大きく出てしまったな、というのがわたしの宝塚歌劇版に対する感想です。

 

その上で日本語だから英語のハンデがない、メリットが感じられなかったのも残念な点の一つでした。

日本語だけど歌詞は聞き取れないし、セリフも非常に聞き取りづらい。

むしろ来日公演のデイルの「Fascinating」のセリフの方が印象に残っているくらいです。

(てか、今回はどう訳していたんでしょう。デイルがジェリーのことをほめるセリフがあんまり印象にない・・・)

元々の翻訳がどうなっていたか問題はもちろんありますが、聞き取りやすい発声は生徒さんたちにも今後もっと期待したいところではあります。

 

という感想になることは、実は見る前からわかっていたのです。

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でもどうしてもシルクハットと燕尾服を着こなし、ステッキを持ってタップダンスを踊る柚香 光さんを見たかった!

ので柚香 光さんの顔に集中できる良い席を取りたかったのですが、残念ながら3階席しか取れなかったところがわたしの敗因でした。

それでも、ダンススターで心が躍ると身体も動く感じをナチュラルに演じる柚香 光さんはそれはそれはキュートでした。

そして一幕最後の“Top Hat, White Tie and Tails”はやっぱり圧巻!

ハッピーなダンスミュージカルの楽しさを存分に味合わせてくれました。

 

星風まどかさんはソロ歌唱は絶品。

ただ全体にポップなイメージのデイルだったので、もう少しクラシカルな雰囲気をまとったデイルだと好みだったなと個人的には思います。

(おそらく演出家はポップなデイルが好みだったのでしょう)
そして何よりこの作品を「ミュージカル」だな、と思われてくれた水美舞斗さんと音くり寿ちゃんの存在に感謝。
水美舞斗さんにいたっては作品中「下手に踊る」シーンしかないのに、ダンスをきっちり魅せてくれるし、歌も演技も安定している。
そして音くり寿ちゃんはマッジで登場する前は、ショーダンサーとしてバリバリ踊るし、マッジ役も適格に演じて、さらに水美さんとのデュエットシーンは「ザ・ミュージカル」してて大満足でした。
ただこのマッジ役、デイルより年上設定は特にいらないと思います。
「わたしくらいの年になると」の一言だけ削れば、同世代の違う生き方をしている親友同士という無理のない設定で、物語には何の問題もなく回るし、デイルとマッジの親友感を強めた方がデイルの勘違いと惑いも明確に打ち出せるはずなのです。
そう思うとセットと衣装というそのまま輸入してほしいところは輸入せず、日本アダプテーションで通せるところは通さなかったのだなと、やっぱりちょっと残念になりました。

 

ということでわたしブログに何度も掲載している本家本元フレッド・アステアさまの

「Cheek to Cheek」を最後にやっぱり置いておきたいと思います。

本当に夢のようなダンスですね。

この雰囲気を再現していた英国版をもう一度、できるなら今度はいい席で見たいです。


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