こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

最高の日本産グランドミュージカル@ミュージカル「生きる」

11/14(土)12:00~ 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

f:id:morton:20201117155614j:image

作曲&編曲:ジェイソン・ハウランド
脚本&歌詞:高橋知伽江
演出:宮本亞門

配役
渡辺勘治 鹿賀丈史
渡辺光男 村井良大
小説家 新納慎也
田切とよ 唯月ふうか
渡辺一枝 May'n
助役 山西惇

f:id:morton:20201117155632j:image

原作は黒澤明監督のこの映画です。

 

生きる

生きる

  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: Prime Video
 

 

この映画を初めて見たのは、20歳そこそこの頃。
記憶に残っているのは二つでした。
①淡々と普通の人の人生、その終わりを描いているなあ。
②雪の降る中で主人公がブランコをこいでいたなあ。

2018年に日本オリジナルミュージカルとして作られたということと、上記二つの記憶のみで見に行ったのですが、これがまさかこんなにすごいグランドミュージカルだったことに驚きました。

まず何より楽曲がいい。
脚本と作詞が日本人、作曲がアメリカ人。
その融合はどうやったのだろうと不思議なくらいマッチしていて、重厚なバラードから、絶妙な音の重なりを生み出すコーラス、ブラックユーモアに満ちたテクニカルな曲、軽快なダンス曲とさまざまあるのですが、この作品を「グランドミュージカル」と語るのにふさわしく、どれも音が厚く壮大なのです。

さらに亜門さんの洗練されつくしたステージングが見事。
とりわけ一部最初の方の、市役所でたらい回しにされる女性たちは、「たらいまわし」という言葉がそのままビジュアル化されていて、視覚的にも体感的にも実感をもって伝えてきました。
その市役所のセットの象徴的なモノとして大きな時計があるのですが、これが二部でぐるぐると針が回ったときに「この時計は命をも刻んでいるのか」とやっと気づいた自分の鈍感さを嘆きたくなるくらい、素晴らしいセットでステージングでした。

 

原作映画とミュージカル版のストーリーはほとんど一緒です。
30年間一日も休まずに、ただ機械のように市役所で働く主人公・渡辺勘治。
ある日検査で自分の余命が短いことを知る。
妻は若くして亡くなっており、成長した息子・光男とその妻・一枝と同居しているものの、ほとんど交流はなく、自らコミュニケーションを図ろうともしていない。
空っぽの今の自分に気付いた主人公は、これで自分は「生きた」といえるのだろうかと自暴自棄になるものの、死ぬこともできない。
そんなとき、かつての部下だった小田切とよから「何かを作ってみては」との提案を受け、市役所に下水で汚れている土地を公園にしてほしいと訴えていた女性たちを思い出す。
「公園を作る」ことを決意した渡辺勘治は、あれこれと積極的に働き出すが・・・。

ミュージカル版では昭和27年であることと、定年間近であることに触れられていたのですが、映画版にはその説明はありません。
映画がそれこそ1952(昭和27)年に現代社会を描いたものとして公開されているので、その辺のことは見ればわかるものだったのかもしれません。

昭和27年は今では少し遠くなり(「ゴンドラの唄」が主人公の青春時代に流行った曲、というのは今ではすぐには認識できないのが残念)、戦争の悲惨さを実体験していない身としては逆に高度成長に向かって活気ある感じが羨ましくもなるような華やかなシーンもありました。


しかし全体にセットはコンパクトにまとまっているのです。だからこそラストシーンの舞台全体につくり込まれたセットに息をのみ、物語の展開と役者の演技&歌、そして照明があいまって、あまりの美しさに涙せずにはいられませんでした。

(さらにカーテンコールでフル照明の中、このセットが登場するのですが、ここの演出まで行き届いているのがすごい!)

人間すべてに通じるテーマであるし、多くの人々がどこか共感することができる作品だとも思うので、ぜひこのコロナ禍がなんとかなったら、その国に合わせて世界進出してほしいと願います。

 

ミュージカルを見てから映画を見直したのですが、この映画にはナレーションが入っています。映画版にも「渡辺の自暴自棄期間」に登場する小説家を、役は役として残して、狂言回しとしてナレーターも担わせたのがまずいい。
映画で印象的だったものの1つが、渡辺勘治役の志村喬さんの「目の演技」。
それをミュージカルではミュージカルらしく「歌」で表現しています。
その歌の中でも「二度目の誕生日」と「青空に祈った」が圧巻。

わたしが見た回の渡辺勘治役は鹿賀丈史さんだったのですが、KOBELCO大ホールですらその広さを全く感じさせない大きな演技と素晴らしい歌声。
3階で拝見したのですが、久々に3階席で見る、聴く喜びを感じました。
KOBELCO大ホールは通常はオーケストラ、オペラ、バレエを主に公演している本当に大きなホールなので、4階席まであります。
鹿賀さんの視線がその4階席まで普通に伸びていて、空間全体を覆いつくしていることに感動。
プログラムに市村さんが浅利慶太さんから言われたという有名なエピソード「お前はステーキの横のクレソンだ」が対談コーナーで掲載されていたのですが、その「ステーキ」だった方は違うな、と改めて実感しました。

映画では主人公が息子との思い出をプレイバックするシーンがあるのですが、ミュージカルでは「母親亡き後、口を利かなくなった息子と公園に行ってブランコに乗せたら、やっと笑ってくれた」というエピソードが語られ、歌になります。


その息子を今回の再演から演じた村井良大くんがまたいい。もう「どこかに、どこにでもいそうな普通の青年」をミュージカルでやらせたら、彼の右に出る人はいないような気さえします。鹿賀さんは歌い出したら「ミュージカルスター」で「普通の人」ではなかったけれど、村井くんはどこまでも「普通の人」を感じさせるのが、このミュージカルの中でリアリティを産んでいたように思うのです。

 

小説家役の新納慎也さん。ファンなのでもう何もいうことがない(笑)和服姿かわいい(笑)
KOBELCO大ホールの音響のおかげもあると思いますが、歌唱力があがっていたのが嬉しかったです。そしてこの作品への、さらに渡辺勘治への尊敬と愛にあふれた姿は、観客と舞台をつなぐ「狂言回し」としての1つの在り方だったと思います。


田切とよを演じた唯月ふうかさん。歌唱力も演技力も確かで可愛く、絵面的に暗くなりがちなこの作品を明るく彩ってくれました。高音域になると響きが金属的で気になったのですが、これは音響せいかもしれません。
一方、妻・一枝を演じたMay'nさんもすごくよかったんですよ!この作品の初演が初ミュージカルとのことですが、セリフの声のトーンも明瞭で聞き取りやすく、歌声も歌詞がとても聞き取りやすく心地よく、ぜひともこれからもミュージカルで活躍していただきたいです。そしてこういう人を見出してくるのもさすが亜門さんですね。

 

助役の山西惇さんは一応憎まれ役ではあります。しかし余命宣告のシーンもそうでしたが、ブラックユーモア的に描かれていて、役どころと舞台とのバランスを持った演技がさすがでした。
海外だとカーテンコールでブーイングが起こる役どころだろうなあとか思うと、ますますこの作品の海外進出を見たいです。

(何役もこなしたアンサンブルの方々も皆さんうまくて、コーラスのハモリも絶妙で耳福でした)

そしてその時にはぜひ、パンフレットのビジュアルをポスターにしてほしいものです。

せっかくステキなビジュアルなのにパンフレットとグッズにしか展開されていないのがもったいない。

f:id:morton:20201117222731j:image

この作品は11/30(月)の名古屋公演が大千秋楽となるのですが、鹿賀さんバージョン、市村さんバージョン両方の有料ライブ配信が決まっています!

horipro-stage.jp


見逃している方はぜひ!お値段4,800円とちょっとお高めですが、見れば高くないことがお分かりいただけると信じています!
(もちろん、わたしも見ます!思い余って福岡か名古屋まで再度見に行くことを考えたので、それに比べたら安いし、ありがたい!そして福岡&名古屋でご覧になられる方はたっぷり期待していって大丈夫です。ぜひお楽しみください)

 

ところで渡辺勘治はどこにでもいる「市井の人」だと映画の説明に書かれていました。

映画の原作はトルストイのこちらの作品とのこと。

 

イワン・イリッチの死

イワン・イリッチの死

 

 

この小説をせっかくなので、この機会に読んでみたのですが、こちらの方が俗人的というか、現実に近いなと感じました。

というのも、わたしの父も彼と同じように定年の1年前に余命3ヶ月が判明し、きっちり3ヶ月後に死にました。
その間に我が家で起こったことは、小説の中のイワン・イリッチと同じで肉体的な苦痛と「死にたくない、死ぬのが怖い、ただ生きたい」と願う精神的な苦痛から、死ぬにはちょっとばかり早かった人の多くが巻き起こすことではないかと思います。

それと比べると渡辺勘治さんはただの「市井の人」ではない。最後には死を受け入れ、死の前に「命を燃やして誰かの役に立つ、何かを作る」ことをできる人はどれくらいいるのでしょうか。
(ウチは3ヶ月でしたが、半年、一年、二年と続いている方のお話も聞きます。そのご苦労を思うとさらに渡辺勘治さんへの尊敬が高まります・・・)
ただ渡辺勘治さんが息子と分かりあえなかったように、家族だから知らないこともあるのかもしれないと、この作品を見ながら思いました。
わたしの父親のお通夜で夜遅い時間にやってきた学生らしき男の子が、父の祭壇の前でただ静かに泣き続けていた姿を、久々に思い出しました。
1人の人が生きるということは、ほんの少しかもしれないけれど、誰かに何らかの影響を与えるということかもしれないなと、感じた作品でもありました。

そして、小説を読んだ今、映画もこのミュージカルもいい意味で、少しばかりファンタジーを含んでいると思うのです。そのファンタジーが希望を産み、いつの時代も見ている人に何かを与えることのできるものになりうる気がします。

踊りが見せてくれる夢と可能性@ミュージカル「ビリー・エリオット」

11/7(土)12:00~ 梅田芸術劇場

f:id:morton:20201111141207j:image

スタッフ
【脚本・歌詞】 リー・ホール
【演出】 スティーヴン・ダルドリー
【音楽】 エルトン・ジョン
【翻訳】 常田景子
【訳詞】 高橋亜子

キャスト
ビリー 川口 調
マイケル 佐野航太郎
お父さん 益岡 徹
ウィルキンソン先生 安蘭けい
おばあちゃん 根岸季衣
トニー(兄)中河内雅貴
オールダー・ビリー 大貫勇輔

原作はラストシーンのアダム・クーパーさまが恐ろしく美しかったこの映画「リトル・ダンサー」。

 

リトル・ダンサー (字幕版)

リトル・ダンサー (字幕版)

  • 発売日: 2020/10/17
  • メディア: Prime Video
 

 日本では2001年1月に公開され、見に行ったのを覚えていますが、ラストシーンのアダム・クーパーさまの白鳥に圧倒されて、細かい記憶が吹っ飛んでおりました。

マシュー・ボーン作の「スワン・レイク」の大ファンだったのに、この映画にアダム・クーパーさまがご出演されていると知らず度肝を抜かれました。

アダム・クーパーさまの魅力はぜひこの辺りでご確認ください。

 

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 [DVD]

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 [DVD]

  • 発売日: 2012/03/07
  • メディア: DVD
 

 幸運なことに映画がロンドンでミュージカル化されて、ブロードウェイに進出する手前の2007年に、ヴィクトリア・パレス劇場で見ることができました。

内容はほぼほぼ映画と同じなのですが、味付けというかダンスと歌でショーアップされるだけで、そして本当に子役のコたちが踊れるだけでこんなに違った印象になるものだなあと思った記憶があります。

ストーリーはこんな感じです。

1984年、サッチャー政権の中、炭鉱労働者たちのストライキに揺れるイングランド北部の炭鉱町イージントン。ビリーは炭鉱労働者の父と兄、認知症の祖母の4人暮らし。幼い頃に母親は他界してしまい、父と兄はストライキに参加しており生活は苦しい。そんな中でも、父親にボクシングを習わされているけれど、ある日、バレエ教室のレッスンを偶然目にし、レッスンに参加するようになる。そしてビリーは徐々にバレエに魅せられ、バレエダンサーを志すようになっていく。

ロンドンの舞台は北部訛りが強い英語で演じられていたことも作用して、正直一部は何を話しているのか全く理解できなかった哀しい思い出があります。

しかしながら二部に目を見開く素晴らしいシーンがやってきたのです。

ビリーと成長したビリーが2人で「白鳥の湖」を踊るという幻想的で美しいシーン。

ビリーの将来の姿なのか、妄想なのか、その曖昧さが夢を表現するこのシーンは、日本版で見ても「舞台作品」として優れた演出だなと思いました。このシーンを見るだけでも、この作品には価値があります!

改めてこのシーンを目にして、その幻想的な美しさに涙し、踊りの力を強く感じました。

このシーンがあることによって、終わり方は映画とは違うのですが、それもまた舞台らしい素敵な作品に仕上がっています。

 

日本版では「イングランド北部訛り」を同じ炭鉱の町だった北九州地方の方言が使われていて、これはとてもいい日本語訳だなと思います。

舞台美術等はロンドンのままだったと思うのですが、最初流れたサッチャー政権のニュース映像は日本版ならではの工夫だったのかもしれません。(か、単にわたしの当時の現地の記憶が飛んでいるか・・・。いや、なにせ日本からの長時間フライトを経たその日に見に行ったもので疲れと時差からくる眠気との闘いだったのです・・・)

ただ改めて日本語で理解しながらこのミュージカルを見ると、「スト破り」のバスに乗るシーンが分かりにくいような気がしました。あのバスに乗るのが何を意味するのか、はもう少し丁寧に説明した方が、兄トニーの怒りや父親の覚悟ももっと全面に伝わる気がします。

しかしながらショーアップ加減はすばらしく、現地では何を歌っているか全くわからなったビリーの祖母の「Grandma's Song」が、ひと世代前の女性の人生を表現する素敵な曲だったことを知れて、とてもよかったです。

そして約1年の時間をかけてレッスンをしたという子役キャストたちがすばらしい。

わたしが見たビリー、川口 調くんは演技は少し苦手なように見えましたが、何よりダンスがすばらしい。タップもよかったですが、バレエがとてもよくて「踊りの才能を見出される少年」という設定がとても納得。

さらに名曲「Electricity」も踊りへの情熱があふれた歌声で心打たれました。

マイケル 佐野航太郎くんとの2人のダンスシーンも楽しく、かわいく癒されました。

またデビーはじめ、バレエを習っている少女たちもそれぞれにきちんと素晴らしいパフォーマンスをしていて、すっかり魅せられました。

だからこそウィルキンソン先生もやはり踊りで魅せてほしいなと思ってしまいました。これはわたしのキャスト選択ミスです。

ウィルキンソン先生、ロンドンの時の記憶よりももっと踊るシーンが多かったので、歌よりダンス派のわたしは柚希礼音さんで見る方が正解でした。

そして安蘭けいさんの「プロを目指していたわけではない」設定であるならば、衣装は映画版のようにちょっとダボっとした体形を隠すような洋服の方が、よりその世界観を表現できたと思うのですが、その辺がダブルキャストの難しいところですね。

とはいえ舞台版には映画にはないウィルキンソン先生の「ロンドンへ行けば、わたしのレッスンが二流だったということがわかるだろう」というようなセリフがあるのです。

ということはウィルキンソン先生は少なくとも三流ではない。

そうなるとプロを目指すほどではなく、生活のため仕方なくかもしれないけれど、どこかで働くよりも「バレエの先生」を選択したのであれば、もっと「バレエへの愛」をセリフだけでなく動きからも感じたかったなあと思いました。

この映像で見る柚希礼音さんのビリーへの指導のときの動き方(1:55頃)、これがわたしが求めていたものなのだと思います。


柚希礼音:ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」プレスコール

とりあえず目的がはっきりしている演目のときのキャスト選びはちゃんとしようと反省しました。

改めて柚希さんのウィルキンソン先生が見たかった・・・!

(とはいえ、安蘭けいさんの歌声は圧巻。隣の席の方は大感激なさっていました)

 

ところでこのミュージカルが日本版も再演がなされるほどにヒットした理由は、映画と同じく父親と息子の関係の描き方、なのだと思います。

かくいうわたしも映画で「いいなあ」と思ったのは、オーディション時の父親の受け答えでした。年齢を重ねても考えを変えていくことができる。理想とは違った息子の夢を100%サポートすると言い切るその父親の言葉と姿は希望でした。

とりわけわたしが映画で好きだったのが、その前の「あなたはバレエのファンですか?」という問いに対する答えでした。

とても素直で、格好つけようとしない言葉がステキだなと思っていました。

もちろん舞台版でも同じシーンが描かれます。しかしそこで「プロとは言えません」みたいな回答に違和感。

観劇後確認したところ、舞台版でも映画でも英語の答えは「I wouln'd exactly say I was an expert」。

そして映画の字幕は「よく知っているとは言えません」でした。

改めてこの字幕をつけた方がすごいなと感じますし、日本版でもこれを採用してほしかったなと思いました。この字幕の言葉で「格好つけない、取り繕わない率直な父親像」がステキと思っただけに、ちょっとしたニュアンスの違いで違って見えてくるものなのですね。

そしてラストシーン。舞台版は映画のシーンをいかしたセットと見せ方になっています。けれど映画ではこの後、地下鉄からあがっていくシーンが描かれる。地下と地上の表現でつながっていることに改めて気づき、映画のすばらしさにも気づきました。

ということで、なかなか舞台を見に行けないという方には、改めて映画版もおススメしたいなと思います。

そして同じような炭鉱問題を描いた英国映画の中でもお気に入りの1つも合わせてご紹介。

 

パレードへようこそ(字幕版)

パレードへようこそ(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/25
  • メディア: Prime Video
 

 ビリー・エリオットでもマイケルが、トランスジェンダーなのか、トランスベスタイトなのか、ゲイなのかバイなのか分かりませんが、とりあえずジェンダーギャップを抱えている人物として描かれています。

 

「パレードへようこそ」はLGBTと田舎の人々の交流を描いた映画なのですが、これがなかなかよい。知りあって理解して、少しだけ考え方を緩和することは、ちょっとだけ世界を、そして人生を楽しくしてくれるような気がします。

 

ところで今回このようなフォトスポットがあったのですが、1人観劇ではフォトスポットを撮影するしかなかったのが残念。

f:id:morton:20201111141447j:image

ピピン の時のように、撮影してくださるスタッフの方がいたら嬉しかったなあと思いました。

役と個性が一致する輝き@ミュージカル「フラッシュダンス」

10/10(土)12:00~ シアター・ドラマシティ
脚本
Tom Hedley & Robert Cary
音楽
Robbie Roth

日本版脚本・訳詞・演出
岸谷 五朗
訳詞
長島 祥
 

出演
アレックス 愛希れいか
ニック・ハーレイ 廣瀬友祐
グロリア 桜井玲香
ジミー 福田悠太(ふぉ〜ゆ〜)
C.C. 植原卓也
キキ Dream Shizuka
テス 石田ニコル
ハンナ 春風ひとみ
ハリー なだぎ武 
ルイーズ 秋園美緒  
アンディ 松田凌  
ジョー 大村俊介(SHUN)

f:id:morton:20201012154515j:image

映画「フラッシュダンス

 

フラッシュダンス [Blu-ray]

フラッシュダンス [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray
 

 

は若き頃に見たのですが、最後のアレックスのダンスでがっかりした記憶しかありませんでした。
でもダンスでがっかりした映画のミュージカル化はうまく行く可能性がある、というのを見せてくれたのが「ビリー・エリオット」でした。
ただ「ビリー・エリオット」は英国映画お得意の炭鉱労働者なんとかしようぜ問題と、父子の関係や少年の夢をうまく織り交ぜて描いていたからなんとかなったんだなあとしみじみ思いました。

まあわかってはいたけれど「フラッシュダンス」はストーリーが薄い。
1980年代のピッツバーグ
製鉄所で働きつつ夜はバーダンサーとして踊りながら、伝統あるダンス学校への入学を目指すアレックスの夢と恋と友情の物語です。
でもそれはそれでいいんです、ダンスと歌でショーアップしてくれれば。
そこもあまり作用しなかったのが、英国でも4ヵ月でクローズした理由なのかなあとか邪推してしまいました。

 

オリジナル版を見ていないので、今回の日本版がどこまで演出やセット等を踏襲していたのかは分かりません。
セットは下記のような感じで 

f:id:morton:20201012154619j:image

二つの円錐を切り取ったような大道具が動き、そこに背景が映し出され、動き組み合わさることで見せていきます。
2004年からロンドンで上演されていた「ウーマン・イン・ホワイト」という作品では、この大規模版のようなセットをとても効果的に使っていたのですが、今回のセットではそこまでの効果を見せられなかったのは、ちょっと残念でした。
特にこの円錐形の一部のようなものとは別に、もう少し小さい物体にも映像を投影していたのですが、これが登場人物の影で映像が消えてしまうのは粗さが見えてもったいないので、万が一再演があったら改善してもらいたいです。
あと映像は背景だけで十分です。心情表現のような映像は過多なような気がしました。それよりももっと歌と踊りで心情を魅せる方に注力してほしかったなと思います。
そして楽屋のセットのランプの光が強いのも気になります。キャラクターの表情を隠す光の表現が何らかの演出だったのだとは思いますが、残念ながらわたしは感じ取ることができませんでした。
それでもこれくらい色々思うことができる興味深いセットではありました。
 
いろいろと制作側の粗さは気になる作品ではありましたが、それでもとにかく楽しく見られたのは、主演の愛希れいかさん(ちゃぴ)の実力とかわいさを100%出し切れる作品であったことと、彼女の主演を支えた他キャストの力だと思います。

アメリカのドラマ「SMASH

 

SMASH シーズン2 バリューパック [DVD]

SMASH シーズン2 バリューパック [DVD]

  • 発売日: 2015/07/08
  • メディア: DVD
 

 

トニー賞を取るには「実力があることは大前提で、その役と一致していること」というようなセリフがありました。
等身大の役がやりやすいのか難しいのかはわかりませんが、確実に言えることはちゃぴのアレックスは非常に魅力的だったということです。
踊りが大好きで、踊りたくてたまらない、彼女の「情熱」がそのまんま表現されていて、一つ一つの表情がとにかくかわいい。
そしてその踊りたい気持ちを爆発させるように「踊る」アレックスは美しい、ただその一言に尽きました。
だからこそその「踊り」をもっと大事にしてほしかった。

わたしが映画で最大限にがっかりしたアレックスのダンスシーン。
振付も悪くなく、ちゃぴのダンスの実力は十分で、だからこそそれだけで魅せられるものだったはずなのです。
友人たちが「What a Feelin’」を歌うのはいい演出です。
アレックスがハンナの、そして友人たちの顔を思い出し、再度立ち上がる、その友情が伝わります。
でもダンスの最中でアレックスを囲む必要はなかったと思うし、さらにもっと気になったのがぐるぐる回る審査員でした。
アレックスが審査員にアピールするのを見せるのは一度だけでいいと思うし、その審査員はもう客席でいいと思うんです。
そうやって観客を取り込むことが舞台の魅力ではないでしょうか。

 

アレックスの踊るバーとC.C.が経営するバーとの違いをもっと見せられたら、グロリアの物語も際立ったと思うのですが、映画ではストリップダンサーだったところをセクシーダンサーなだけにしたのはミュージカル版全体の変更だったようですね。
そうするとやはりもうちょっとドラッグなどの違法性を分かりやすく見せてほしかった。
とはいえC.C.役植原卓也さんは雰囲気があって動きがキレイだったので、個人的にはとてもいいなと思いました。演技と歌のスキル向上に期待します。

そして、このちゃぴアレックスを持ってきてくれたことに何よりの感謝を。
贅沢をいうならもっと「踊りに熱中しているアレックス」を見たかったし、それをしっかり描く方がメッセージもシンプルに伝わったとも思います。
例えば部屋でオーディション用の振付を一心に踊りながら考えているアレックスのシーンを差し込むとか。
でもそんなことまで想像させてくれたことがこの作品の魅力だったのかもしれません。

happiness was here@ケムリ研究室「ベイジルタウンの女神」

10/3(土) 17:30〜 兵庫県立芸術文化センター中ホール

 

f:id:morton:20201005134307j:image

作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

キャスト

マーガレット・ロイド 緒川たまき

ハットン 山内圭哉

タチアナ・ソニック 高田聖子

王様 仲村トオル

ハム 水野美紀

ドクター 温水洋一

サーカス 犬山イヌコ

スージー 吉岡里帆

ヤング 松下洸平

 

物語は単純です、驚くほどに。

ロイド社の社長マーガレットが、婚約者とともに貧民街であるベイジルタウンの開発に乗り出します。

ベイジルタウン全域の購入のため、ベイジルタウンの8番街と9番街の所有者であるソニック社の社長タチアナと交渉します。

タチアナが譲渡の条件としたのが「マーガレットが一文無しでベイジルタウンに一か月暮らすこと」。マーガレットがこれをやり遂げたなら無条件で8番街と9番街を譲渡するというのです。

周囲が止めるのも聞かず、ベイジルタウンに乗り込むマーガレット。

その裏でさまざまな思惑が動き出します。

 

とはいえ「超・純粋無垢のお嬢様」マーガレットがそれゆえに無敵であることは明らかで、ドキドキハラハラはなく安心して見られます。

純粋無垢だからこそベイジルタウンにもあっという間に慣れて、溶け込み、人々と交流しながら生活していく様子はおかしく、ほほえましく、思わず笑顔になってしまいます。

そんなベイジルタウンに住む人々もいい。

お金も安心して眠れる場所もないけれど、とりあえず食事の配給はあって、その日暮らしを楽しんでいるようにさえ見えるのです。

それぞれに事情を抱えてこの町にいると思われるけれど、お互いにいい意味で無関心で、それはそれ、自分は自分という距離感と価値観で当たり前のように「自分と違う他人」がそこにいることをわかっている。

それは一種の理想郷にも見えました。

 

いつも通り上演時間は長いんですけれど、

f:id:morton:20201005145819j:image

全く長さを感じないまま、一部は登場人物に心の中できゃあきゃあ言いながら終わり。

 

バクっと全体を表現するとありふれた「ドタバタ・コメディー」という肩書きになるのじゃないかと思います。

そんなわけで二部は、婚約者によるロイド社の乗っ取りやら、タチアナのマーガレットに対する執着やら、身分違いの若者同士の恋愛やら、主人公の恋愛やらも絡んできます。

それをどう解決するのか、どんなハッピーエンドがくるのか、わくわくと見ました。

そのくらい物語から暗さや影は排除されています。ハッピーエンドしかない、とわかるくらいに舞台の上はおとぎ話のような幸福感が漂っていますし、実際に勧善懲悪で完ぺきなハッピーエンドが、これ以上ないくらいベッタベタなハッピーエンドがやってきます。

 

なのにその「ベッタベタなハッピーエンド」がやってきた瞬間に、なんなら石油王とかいうあり得ない幸福の上積みまでされたときに、自分でも信じられないくらいボロボロと泣いてしまったのです。

 

泣きながらやっと「カイロの紫のバラ」の主人公の気持ちがわかったのです。

 

stok0101.hatenablog.com

 

カイロの紫のバラ」の中で主人公セシリアが最後に夢中になる映画は「トップハット」です。MGMお得意の夢のようなハッピーミュージカルです。

 

stok0101.hatenablog.com

 

しかしこれが、1935年というアメリ大恐慌時代に公開されたものである、ということの意味をはじめて感じました。

自粛期間中に読んだこの漫画の序章でも、

 

大恐慌まで知らなかった、仕事がないって、お腹がすくってどういうことか、というセリフがあります。

コロナ禍はありがたいことにわたしにとって「耐え難いほどの苦痛」でも「生きていくので必死」なくらいの切羽詰まった状況でも、今のところありません。

それでもそれはわたしたちから「何か」を奪い、頭か肉体か心か、どこかを疲れさせていたのかもしれません。

カイロの紫のバラ」を見たときに、日常の嫌なことを一瞬でも忘れさせてくれる、そこにエンターテインメントの意義があるということを見せるすごい映画だと思ったのですが、「ベイジルタウンの女神」はそういうエンターテインメントの力を見せてくれたのです。

お得意のプロジェクションマッピングの演出が、ラストシーンでカラフルにセットを彩ったとき、「ここは夢の国か!」と思いました。

そしてわたしが今「夢の国」をもとめていたことを初めて認識しました。

 

エンターテインメントがエンターテインメントとして成り立つには作品やスタッフ、キャストが一流であることが必須です。

作る側の方がコロナ禍は現実として相当な問題であるはずです。なのに、こんな観客を癒やす作品を生み出してくれることにただただ感謝しかありません。

 

緒川たまきさんの間違いない純真無垢さ。その強さと優しさ。

仲村トオルさんの単純でアホっぽいかわいらしさ。

水野美紀さんの格好良さ、高田聖子さんのいじらしさ。

温水洋一さんと犬山イヌコさんのとぼけた柔らかさ。

そんな大人たちに囲まれながら、松下洸平くんと吉岡里帆ちゃんという若い2人が恋を実らすシーンはなんともいえない穏やかで柔らかな気持ちになりました。

その上でそこまでただ可愛い女の子だった吉岡里帆ちゃんが、「いちゃいちゃしたいんだよ!」と恫喝したところが最高!

当書きってこういうことなんだなあと終始心地よく見ました。

 

緒川たまきさん以外は皆さん何役か兼ねていて、唯一の悪役である山内圭哉さんも最後には違う役の方で幸せになるのが、本当に隙なく幸せで埋めてやろう、という意思さえ感じました。

 

衣装もセットも転換も音楽も工夫されているけれど、とがっているところはありません。

むしろ隙なくすべてキレイに整えられています。

その「隙なくすべてキレイに整える」ことがどれだけ「娯楽作品」を作る上で難しいかが分かるからこそ、本当にこの作品はすごいです。

 

これは確実に今、必要とされる作品だと思います。そして、ちょっとだけ厳しい現実があるときに常に横にいてほしい、そういう作品でした。ただこの舞台から発せられる何かは、きっと映像では受け取れない気もするのです。

だから客席数を減らさなければならなかったのが残念だし、もっと多くの人たちが見られるとよかったなあとしみじみ思います。

そして見られたことに感謝を。

幸せが、夢見る世界が間違いなく舞台の上にありました。

願わくば、仕事がなくてお腹が空いても、自由で幸せなベイジルタウンのような世界でありますように。

さらに女神が降臨してより幸せにしてくれることもちょっと欲張って願ってみたりします。

わたしの中の少女がときめく@宝塚雪組「炎のボレロ」「Music Revolution」

8/30(日)16:30~ 梅田芸術劇場メインホール

f:id:morton:20200831170346j:image

脚本 柴田侑宏

演出 中村暁

キャスト

アルベルト・カザルス 彩風 咲奈 
カテリーナ・ドロレス 潤 花 
ジェラール・クレマン 朝美 絢 
モニカ 彩 みちる
ブラッスール公爵 久城 あす 
ドロレス伯爵 奏乃 はると 
オノリーヌ伯爵夫人 千風 カレン 
タイロン 真那 春人 
ローラン 叶 ゆうり

 

ここで書きましたように、この作品の「ジェラール・クレマン大尉」はわたしが最もステキだと思っている宝塚男役です。

 

stok0101.hatenablog.com

 しかし残念ながらわたしはこの作品の生観劇に間に合っていません。

初演は1988年星組日向薫さんのトップお披露目公演でした。

翌年にファンになったわたしは、当時近所に住んでおられた宝塚ファンの方に「花の指定席」の録画ビデオをお借りし、この作品を見たのでした。

そしてジェラール・クレマン大佐とモニカのカップルに心からときめき、その思いをくつがえされることなく、今に至ります。

そんな作品の再演が決まったとき、どうにかして見てみたい!とチケットを取ったものの、この感染症の影響で公演中止に。

本来全国ツアー公演だったものが梅田芸術劇場だけの上演だけれども、再開が決まったときには本当に心から嬉しかったものです。

しかしこの感染症はそうは簡単にこの作品を見せてはくれませんでした。

なんと一般チケット発売日に出演者に感染者が出たということで、再び中止。ほぼ諦めかけていたころに、日程を約1週間ずらして再開が決まりました。

もうこの一連の流れだけでも、渦中におられた製作、出演者、スタッフの方々の思いを考えると胸がつまります。

本当に公演再開に尽力してくださった方々に心からのお礼を伝えたいです。

 

この作品が再演されるということで、専門チャンネル・スカイステージで初演の放映や初日を見た方の感想をSNSで読んだりしたのですが、その中に「ストーリーが薄い」というものがありました。

わたしが見たのは中学生の頃。そんなわけで「今再び見たらどう思うのだろう」という心配がありました。

そんなストーリーはこんな感じです。

①舞台は1780年代、フランス占領下のメキシコ。

②主人公アルベルトは大農園主で貴族の次男坊だったが、フランスが占領する際に、ブラッスール侯爵により領地は没収、家族は虐殺され、命を守るために逃亡していた。

そしてブラッスール侯爵への復讐のために、祭りの日の混乱に乗じて祖国へ戻ってきていた。

③帰国早々、フランス宮廷と親しくしているドロレス伯爵の娘カテリーナと出会い、惹かれあう。

フランス軍人、ジェラール・クレマン大尉はブラッスール侯爵の命令でアルベルトの行方を追っている。彼女はメキシコ人の踊り子モニカ。

⑤メキシコの独立を目指す反政府軍に迎えられるアルベルト。

そんなアルベルトとカテリーナの恋、ジェラール・クレマンとの対立なんかを描きます。

とここに書き出すだけでも、まあ「よくある設定」です。

わたしは

ボーイがガールにミーツして、サムシングハプンするけどハッピーエンド、というシンプルなストーリーを、ソング&ダンスでどれだけ魅力的にするかが、ミュージカルというエンターテインメントの見せどころ

と常々思っていて、今までも何度も書いてきました。

そして今回この作品を見ながら思ったことは、

男役が娘役に出会って運命の恋に落ち、なんやかんやあるけど愛しあう、という単純な物語を歌と踊りでどれだけ魅力的にするかが、宝塚歌劇という娯楽の見せどころ

でもあるのではないのか、と思いました。

 

本当に初演ほぼそのまま再演しているので、古いブロードウェイミュージカルを見たときのような、スピード感の遅さや時代の違いによる退屈な部分というのはありました。

長々続くオープニングダンスはそれはそれとして見どころではあるのですが、「そうか、昔の宝塚って必ずこういう長いオープニングがあったよな・・・いつ物語、はじまるのかな」と思ったことは事実です。

先に「太陽と月のお祭りがはじまるよー♪」とかいう町の人々のセリフとか浮かれた雰囲気の演技を入れるだけでも、同じオープニングでも「これは祭りなのか」として納得して楽しめたと思うので、ところどころもうちょっと手を入れて、今の観客に見やすくしたらどうだろうとは思いました。

あと暗転の多用もそうですね。

昔の芝居だから仕方ないけど、暗転して場面が変わる、が繰り返されるのは今となっては退屈でしかないのです。その辺は演出の工夫のしようがあったように思います。

 

でも、ストーリーはこのままでいい!

 

ジェラール・クレマンの魅力については後で暑苦しく述べます。

そのくらいジェラール・クレマンとモニカの記憶しかなかったのに、再演を見てみたら、アルベルトとカテリーナにもときめくんですよ。

特に2人の二度目の偶然の出会いからのダンスに、わたしの中の全少女が顔を出し、頬を染めました。

お互いにステキな人だったな、と思っていた相手と再会して、偶然とはいえ一緒に踊ることになって、恥ずかし気に嬉し気に踊りはじめ、ときどき目を合わせながら、だんだんと高揚していくさまにキュン!そこからのラブデュエットにときめき最高潮!

ああ、これが宝塚歌劇だ!と思いましたよ。

踊りと歌で最大限に「恋」を表現する。これこそが宝塚歌劇という娯楽の醍醐味じゃないですか。

もちろんメインストーリーの彩りとして、反政府軍の若者たちもさりげなく描いてくる柴田先生の生徒を育てようという配慮にも、改めて感嘆。

 

ところでアルベルトはフランス宮廷側からは「炎のような男だとか」というウワサが流れているんです。

さらに反政府軍と結託してメキシコの独立を勝ち取ろうともしますから、なんとなくアルベルトは「炎のように情熱的な男」じゃないのだろうか、と思わされてしまうんですよね。

しかしながら初演のアルベルト役・日向薫さんは「どうしても影ができない」ことが悩みだったという過去の記述を見た記憶があるくらい、暗い影を背負った役は得意分野ではなくて、逆に太陽の光のように華やかでまばゆく、何より気品ただよう方でした。

(初演タイロン役の夏美ようさんが同期生でいらっしゃるのですが、

合格発表のときに日向さんから「あなたもお受かりになったの?」ときかれた、

というエピソードを「そのくらい日向さんは生粋の超お嬢さまだった」ネタとしておっしゃっていたのを当時の歌劇で読んだ記憶があります。)

そんな日向さんのトップお披露目公演なのに、どうしてこの役だったのだろうと思うくらい、初演映像を見ても、日向さんの持ち味とこの役は乖離しているように思えたのです。

だから咲ちゃん(彩風咲奈さん)が日向さんが出せなかった「炎のような情熱」を見せてくれるといいなと思っていたのですが、咲ちゃんのアルベルトはいい意味で日向さんのそれとイメージがほぼ同じでした。

その咲ちゃんの演技を生で見てみて思ったのが、よくよく見ているとアルベルトはフランス宮廷側から「炎のように情熱的な男」という情報を流されているだけで、本人がそうだ、ということは全く言われていないわけです。

物語の登場シーンから持ち金を通りがかりの人を救うためにあげてしまったり、全面に素直な人のよさが描かれているのです。

本来であれば貴族で大農園主の次男坊。自由でおおらかに育てられ、そしてアメリカ留学とか良質の教育を受けた一流の特権階級の人間ならではの、優しさや明るさ、賢さ、素直さなんかが表現されていて、それはそのまま日向薫さんの魅力だったのです。

だから本当にアルベルトは日向薫さんのトップお披露目のために描かれた役で、また当時群を抜いたそのスタイルの良さを強調する衣装をとっかえひっかえし、日向薫というスターの格好良さを追求した役でした。

だから、その魅力を余すところなく再現した彩風咲奈は本当にすごい。

そのうえで、得意のダンスが光りました。

アルベルトとエカテリーナがお互いを思い、一時の別れを決意するシーンを全てダンスで表現するんですけれど、ここのダンスが本当に2人の恋の揺らぎや、それでも燃え上がる気持ちや切なさが伝わってくるのです。

あ、「炎のボレロ」ってタイトルは、このダンスのことではないだろうか。

と思ったら、きっちりプログラムにそう書かれていました・・・。

アルベルト役が「炎」の象徴だと思っていたのは長い間の誤解だったわけです。

それがわかっただけでも本当に再演を見に行った価値がありました。

 

「炎」は恋の例えであったならば、もう一つ描かれた「恋」がジェラール・クレマンとモニカです。

こちらはもう登場したときから愛し合っている設定です。

ただジェラール・クレマンはフランス宮廷に属する軍人で、当時のメキシコでは支配者側の白人男性です。

一方のモニカは現地のメキシコ人で、酒場の踊り子。

人種の差に加えて、身分差も明らかなわけです。

でもジェラール・クレマンはそんなことは全く気にしていない。

ここがわたしが子どもながらにすごいな、魅力的だなと思ったところでした。

もちろん初演の紫苑ゆうさんのクールで品ある立ち姿と美しさともに。

(モニカにキスで口止めとか、そういう行動にときめいたわけではないですよ笑。でも2人がすでに恋人同士だからこういうパフォーマンスも胸キュンポイントではありますね)

そして自分の職場や職務が欺瞞に満ちていることをよく理解しながらも、職責を果たそうとする軍人なわけです。

自分の命があと数年だと知っていても、それを一人で受け止め、投げやりになることもなく仕事に邁進している。

それでも全ての不正が表面化したとき、自分を欺けなくなり、そして最後には仕事を捨て、母国を捨てても愛する女性モニカとの日々を望む姿に、少女のころのわたしは全力で恋をしました。

そんなジェラールを一途に愛するモニカのひたむきさや強さにも惹かれました。

カテリーナは貴族の娘で、さらに愛情深い父親に守られ、家族に愛され、最後はアルベルトに守られながら生きていく。

けれどモニカは酒場で踊り子としてきちんと働き、上手に客をあしらい、さらにジェラールの最期を見届けようとする。

それって今大人になってからの方が、よりすごいことだなと感じました。

だからこそ、モニカのこの歌詞が響く。

 

何も望まない 冷たくてもいい

せめてつかのま

あなたの心に寄り添い合いたい

そんなジェラール・クレマンとモニカを朝美絢さんと彩みちるちゃんが好演。

初演のわたしが恋した紫苑ゆうさんのような品ある冷たい美貌の中に細やかな心が見える感じではなかったですが、美貌のツンデレ、ジェラール・クレマンもあり! 

カテリーナ役・潤花ちゃんも華やかでかわいくてよかったですね。

まあ歌は初演の南風まいさんがうますぎたのであれですが、逆にうまくないところが「気の病」を演じている感が出て面白かったです。

 

ただ初演で重鎮的な上級生が固めていたブラッスール侯爵、ドロレス伯爵あたりはやはりその重みを演じるには若いかな感は否めませんでした。

その中でタイロンを演じた真那春人さんがセリフまわしといい、立ち位置といい、うまい!あとはオノリーヌ伯爵夫人黒幕説とか作った方が面白かったかも、と思わせた千風カレンさんの落ち着きがステキ。そしてちゃんと役としての上品さと優しさを表現していたところもさすがでした。

 

ところでショーなんですが、わたしこれ「壬生義士伝」のときにも見ているのですよね。そのはずなんですよね。そして、めちゃくちゃ楽しんだ記憶はあるのに、全くシーンを覚えていない自分が怖い・・・。

その割に「炎のボレロ」は全部歌えちゃうし、見ながらだんだんいろいろ思い出してくるのが、また怖い・・・。

でもショー、楽しかったです!

人数が本公演より少ないので若い生徒さんを覚えやすいし、ライトファンにもおススメですね。

何より踊って、踊って、踊りまくる彩風咲奈に感嘆。

お芝居もあれだけ踊ってたのにショーでもこれだけ踊るかっていうほど。

そしてだんだんと彩風咲奈本来の大らかで柔らかく明るい個性が放たれていって、フィナーレ前のローズピンクの変わりフロックコートで真ん中に立つ姿が本当にまぶしかったです。

 

まだまだ舞台活動には厳しい日々が続きます。

順当に彼女がトップスターになる頃には、もっと厳しい状況かもしれない。

それでも輝いていってほしいと心から思いました。

 

ところでどうでもいい追記なのですが、「炎のボレロ」にフランス側が立てたメキシコ皇帝としてマクシミリアンという人物が名前だけ登場します。

調べてみたら「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ1世の弟でした。

この当時の星組のハプスブルグ家関係作品率の高さに驚くとともに、この頃の歴史にも再び興味がわいてきたので、やはり一つの作品からもいろいろ勉強になるし、世界は広がるなと思いました。

それが一つの舞台を見る意味かもしれません。

今でも、そして今だからこそ輝く人たち@宝塚花組「はいからさんが通る」

7/25(土)13:00~ 宝塚大劇場

脚本・演出 小柳奈穂子

キャスト

伊集院 忍  柚香 光  
花村 紅緒  華 優希   
青江 冬星  瀬戸 かずや    
鬼島 森吾  水美 舞斗   
伊集院伯爵  英真 なおき  
伊集院伯爵夫人  美穂 圭子 
花村 政次郎  冴月 瑠那 
如月  鞠花 ゆめ  
狸小路伯爵  舞月 なぎさ  
ラリサ  華雅 りりか   
ばあや  真鳳 つぐみ   
印念中佐  優波 慧  
花乃屋 吉次  朝月 希和  
高屋敷 要  永久輝 せあ   
青江 須磨子  春妃 うらら  
牛五郎  飛龍 つかさ     
北小路  環 音 くり寿    
藤枝 蘭丸  聖乃 あすか 

 

1.はじめに

わたしの「はいからさんが通る」の第一印象はマンガでもアニメでもなく、こちらでした。

われながらアラフォーらしい・・・。
原作マンガも読んだ記憶はきちんとあり、青江冬星さんが雑誌社の編集長で大好きだったことは覚えていたのですが、逆にいうとそれ以外の記憶が抜け落ちておりました。
そして観劇にあたり、原作を読みなおすか読み直さないか迷っていました。

そうこうしているうちに感染症が大流行し、4月に観劇予定だったこの作品は開幕することもなく、休演してしまったのです。
あらゆる舞台が休演や公演中止に追いやられ、さまざまにいろいろな活路を見出そうとがんばっている様子を感じながら、いつか再開することを信じて待つしかできない自分がはがゆい時期でもありました。

休演したまま3週間ほどだった3月30日の宝塚歌劇の公式インスタグラム。

本来であれば華々しくトップスターとしてお披露目公演をむかえていたはずの柚香光 さんのこの堪えたトーンのメッセージに泣きました。
 
そこから待つこと約2ヶ月。
待ちに待った「はいからさんが通る」の公演再開が決まり、7月中旬になんとかチケットを手にしたわたしは、もういろいろ待ちきれず原作マンガの電子版を大人買い

 

読んでみていろいろ衝撃を受けました。

 

2.原作マンガと物語

はいからさんが通る」とはこんな話しだったのです。

大正七年

時・・・浪漫のかおりみちみち

人々の心 いまだ情けを知る

武家・花村家の一人娘、紅緒は好奇心旺盛で新しいものを好んで取り入れつつ、武芸にも秀でる女子学生。時折周囲を騒動に巻き込みながらも自分らしく元気に生きていました。
親友の環は華族令嬢でありながら、「平塚らいてう」の「原始女性は太陽であった」という思想と「女性解放運動」の影響を多いに受け、自立して生きていきたいと願っています。
しかしながら紅緒にひょんなことから縁談が舞い込みます。
お相手は父親の部下で華族の令息・伊集院忍少尉です。
実は二人は産まれたときから決められた婚約者同士だったのです。
それに反発する紅緒でしたが、少しずつ少尉の人柄に惹かれていくのです。
少尉も紅緒の枠にはまらない個性に惹かれていきます。
ただ時は戦時中。少尉は軍命で小倉からシベリアへ。
そしてそこで暴動に巻き込まれ消息不明に。
華族といいつつも体面を保つのが精いっぱいだった伊集院家。
紅緒は自ら出版社で働き、職業婦人となり、少尉の家族を支えていくことを決意します。なんと環も新聞記者に。
ロシアから亡命してきた貴族のニュースを追いかけて、その滞在先である狸小路伯爵家へやってきた2人は、少尉そっくりのサーシャ・ミハイロフ侯爵に出会います。彼にはラリサという妻が。
実はサーシャは、ドイツ貴族と日本人の混血児であった伊集院忍の父親違いの弟だというのです。
サーシャは少尉なのか、紅緒の恋と人生の行方は・・・。

 

まずは原作マンガが「女性が自立して生きる」ということを描いていたことに驚きました。
紅緒さんはもちろん、それを体現している環がとにかくまぶしい。
最後に環は身分は捨てるものの、仕事と恋は捨てずに旅立つのです。
この両立のあざやかさ!いまだに仕事を選ぶか結婚を選ぶか、はたまた両立ができるかで悩むというのがテレビドラマなんかの定番だったりするのを見かけたりする(テレビドラマはよりリアリティーやら共感やらが大事なので当たり前の選択です)ので、この環の選択の格好よさに今さらながらしびれます。
ここまで女性二人がまぶしいと、逆に男性キャラクターが単なる魅力違いの架空の王子様ぽく感じてしまったのは、単にわたしが歳を取ってしまったせいでしょう。
原作マンガは大正時代の時事風俗なども巧妙に織り交ぜてあり、今読んでも色あせることのないすばらしい作品でした。
ただ原作マンガの個人的に苦手だった部分が、ギャグを多用しているところでした。もちろん面白いところも多くあって、時にシリアスになる物語にいい感じの軽さを与えてもいるのです。
でも青江冬星編集長にストーカー並みにせまるつめ子さんと、紅緒さんが投獄されたときに出会う牢名主さんの描き方が個人的にちょっと受け付けなかったのです。

しかし全体に改めて原作マンガにはまったわたし。
残念ながら初演を見ていないので、ワクワクと宝塚歌劇版「はいからさんが通る」を見ました。

 

3.4ヵ月ぶりの劇場とその対策状況

舞台の感想の前に、まず宝塚大劇場の中に入れることに涙してしまいました。

もちろん、恒例のここで写真撮影できることも嬉しい!

f:id:morton:20200731155713j:image
チケットは1公演1人1枚しか取れなくて、当日発券もしくはメールに送られたQRコードを入り口にかざして入場する新しい方式だったのですが、これがまたはじめて宝塚を観劇するときのようなドキドキ感。

改札と呼ばれる入り口や並ぶ必要のあるいたるところにこのような距離感を保つ印がありました。

f:id:morton:20200731160417j:image
QRコードを機械にかざして発券されたシートを取るのは、まるで空港のゲート入場のようでもありました。
ちなみに大劇場の2階軽食・お菓子売り場の品ぞろえもほんの少しだけで、ペットボトル飲料以外の自販機は使用禁止になっていました。

また飲食はできるかぎり控えてもらいたい等のアナウンスもありました。
なので、途中でお腹が空かないよう先にどこかでしっかり食べておく方がよさそうです。

それからキャトルレーヴ に行かれたい方は整理券が絶対に必要なので、劇場着いたら速攻キャトルレーヴ 入場整理券配布受付に立ち寄ってください。キャトルレーヴ 入り口近くにあります。

 

さて開演を待つ間も信じられないほど静かです。
録音上演のためオーケストラの調律の音も聞こえません。
かつてあったざわめきを懐かしく思いながらも、観客全体がものすごく覚悟を持ってその席に座っているような雰囲気に震撼。
劇場マナーも客席係が大声を張り上げるのではなくアナウンスで流されます。

(これについては今後もこの方式でいいと思いますが)

そして緞帳があがるとタイトルバック。

f:id:morton:20200731155811j:image

ダサい!笑

でも1970年代の少女漫画っぽくて愛おしい。

というか、これを写真に撮れるのが嬉しい。
続く開演アナウンスでは大拍手。

観客が半分以下とは思えないほどです。

思いはみんな一緒なんだ、と感涙。
そしてお芝居がはじまり、プロローグに移り、セリあがってきたときの柚香光さんのキラッキラの笑顔に涙腺崩壊。
舞台がいつも以上にまぶしくてまぶしくて、プロローグは涙が止まりませんでした。

4ヵ月も劇場で芝居を見なかったことなんて、観劇をはじめてからの約30年間で1995年の大学受験の年以来でした。(しかも1995年も阪神大震災で3ヵ月ほど大劇場公演がなかったのですよね。)

 

4.そして作品の感想

しかしすばらしかったのはそんなわたしの感傷を弾き飛ばす紅緒さん(華優希さん)の好演。
ポーの一族

 

ポーの一族('18年花組・東京・千秋楽)

ポーの一族('18年花組・東京・千秋楽)

  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: Prime Video
 

 メリーベル役の時もかなり夢中だったのですが、そのあとの「A Fairy Tale」

 

で令嬢から老婦人まで自然に演じたのに感心していましたが、今回はどこから見ても紅緒さん。
あのメリーベルの美少女特有の魔性性もきっと演技力のなせる技だったんだなと今さらながら感心。

というか、華優希・・・恐ろしい子
そして紅緒さんというキャラクターの最も個人的に素敵だと思っているところを全く殺すことなく演出して魅せてきた小柳先生に完敗。

 

宝塚歌劇というのは不思議なところで、出演者全員が女性だというのにいわゆる「男尊女卑」的な制度が垣間見られるのです。
男役を娘役がたてる、のが大前提としてなりたっています。
バラをひきたてる「かすみ草」のような娘役がよし、とされがちなのです。
もちろん宝塚歌劇は人気商売ですし、その特性からも「男役」に人気が集まるから、そこを大切にしていくというのは、劇団運営としては正しい方向性だと思っています。
それでも時折、何かと戦うかっこういい男性、それを支えて待つ女性またはそんな男性に守られる女性という形状に「またか・・・」と思ってしまうのです。

 

しかし舞台でも紅緒さんは紅緒さんでした。
竹刀や傘を振り回し、けんかをしては相手を負かせる。
ME&MY GIRL」のサリーもそうですが、サリー以上にナチュラルに膝をひらいて堂々と椅子に座る。
どんなに偉い人にだって正しいと思うことはそう言い、言葉の分の覚悟を持つ。
さらに「おいしいお酒がありますよ」という言葉に感傷にひたっていても、うっかり興味津々に笑ってしまう。
一番最初に少尉と出会い、笑いが止められない少尉を「えちけっとに反することをご存知ないのですか」と平手打ちする紅緒さんの流儀は、まああの状況でそれが正しいかどうかは別としても、今の我々が持っていてもいいのではないだろうか、と改めて思いました。というかずっとこの流儀を貫いていたら今ごろ女性が性差別を受けることももう少しは少なかったのではないだろうかと思ってしまいました。

 

もちろん紅緒さんは流儀に厳しいだけではない。

投獄された紅緒さんの元に少尉が駆けつけるシーンでは、自分の方が大変な状況なのに、少尉に「おかえりなさい」という紅緒さんの強さに心打たれます。
この紅緒さんの強さこそ、少尉が守りたかったものなのだと自然に思えたのでこの後の少尉の行動も納得できるのです。

実は楽天TVで有料ライブ配信された「はいからさんが通る」を見て、どうしても初演版も見たくなり、タカラヅカ・オンデマンドを思わずポチ。

 

 

Fire TV Stick - Alexa対応音声認識リモコン付属

Fire TV Stick - Alexa対応音声認識リモコン付属

  • 発売日: 2019/01/23
  • メディア: エレクトロニクス
 

テレビの大画面で見せてくれたこれ↑↑↑ 本当にありがとう!

それからこの観劇に挑みました。

 

舞台は大劇場ならではの盆やセリを使いながら、初演時よりもパワーアップしているシーンはいくつもあります。

(違いを楽しみたい方はぜひタカラヅカ・オンデマンドをどうぞ。660円で見れますぜ笑)
環と出会うシーンで、女学校の先生から「古典的女性の価値観」を告げられ叱責される紅緒さんを環が華麗にかばうくだり。
原作がもっていた「時代背景」を元々あった駆け落ちシーンに街の情景としてオペラ歌手を登場させてきたところ。
花乃屋のシーンに移り変わるところで、セリにずらりと並んだ芸妓さんの盆が回って登場してくるシーンはその華やかさにため息。
個人的には紅緒さんモンペ姿のお輿入れが、ちゃんと牛五郎がひく人力車に乗っての登場だったところにだだ萌えしました!
(しかも紅緒さんの衣装がマンガをみごと再現しててかわいいんですよね)
けれども最大のこの作品の魅力は初演時からあった二部幕開けの「大正デモクラシー・ガールズ」ではないでしょうか。
環とモダンガールズたちが新時代の女性の価値観を歌い踊るのですが、この歌詞がすばらしい。以下抜粋です。

自由とプライドを

小脇にかかえ

支える手はいらないの

ひとりで立てる

こんな歌詞をババーンと宝塚歌劇で聞く日が来るとは。

宝塚歌劇の女性役たちが歌い踊るシーンでこんなにスカッとした気分になったのははじめてです。
このシーンを見るだけでも、この作品には価値がある、と個人的に思います。

を演じた音くり寿ちゃんは初演時の城妃美伶ちゃんに比べると「マンガの容姿の再現度」ではやや劣るものの、何より歌がうまい!
なので二部幕開けのこの(個人的)大切なシーンは彼女で聞くとよりパワーアップしている気がしました。
さらに花乃屋吉次を演じた朝月希和ちゃんがしっとり艶やかでいい芝居をするので、どうしてもマンガ同様女性キャラクターに目がいってしまうのですが、そこをくつがえすのが、宝塚歌劇の男役なのです。そして小柳先生の演出なのです。(つめ子さんも牢名主さんも出ない方向で調整してくださったことにも感謝!)

少尉がドイツ人との混血であることを紅緒さんに説明しようと「僕をよく見てください」と近づき壁ドンにニヤリ。
そして「ラブぬきの結婚」論争から続くソファプレイ(と勝手に命名)はあまりに可愛くてキュンキュン!
もちろん数々の麗しい衣装を着こなす柚香光さんの美しさ(特にロシアの毛皮の帽子をかぶった姿はあまりにきれいでまぶしかったです。何あの美のかたまり!)、大劇場バージョンからストーリーテラーもこなすことになった高屋敷要を演じる永久輝せあさんの爽やかさ、コミカル要素をもちながらもきっちりと二枚目に仕上げてきた青江冬星役瀬戸かずやさんは初演では残念ながらカットされていたという「きたな・・・恋人」というセリフもさらりとかっこうよく言ってくださいました。
鬼島軍曹の水美舞斗さんは安定の仕上がり、そして戦闘シーンのキレキレのダンスが最高でした。

そんな男性陣を見ながら思ったのですけれど、みんなわかりやすく「紅緒さん自身をを守る」わけではないのですよね。紅緒さんがケンカをはじめても彼女が強いのは十分に分かっているから、下手に手出しはしない。
そして彼女が好きだから、彼女といるために自分の最善を尽くす。
つまり「ありのままの彼女」を彼らは受け入れ認め、それを魅力的だと思っているのです。
そして今、それこそが支持される男性像の1つではないだろうか、と宝塚歌劇を見てやっと思いました。
その点では「紅緒さんを守ってあげて」という蘭丸がちょっとポイント落ちるくらい、紅緒さんの強さとたくましさを認識している男性陣を評価したいと思ってしまいました。

ただ男性キャラクターとしての個人的ポイントはともかくとして、蘭丸は役としては女装もあり男役としてはかなり演じるのが難しい部類に入ると思うのですが、聖乃あすかさんがキラキラとがんばっていました。
セットもバージョンアップしていたので「藤娘」のシーン、舞いだけはもうちょっとがんばって稽古してほしかったなあとは思うのですが、今回は公演期間も長いので、さらなる成長に期待。
あとは伊集院伯爵の英真なおきさんがよかったですねえ。こういうコミカルでかわいいおじいさん役、本当にうまいです。さらに如月役鞠花ゆめさんがしっかりした芝居で脇を締めていてくれていました。
 
そうそう魅力的な女性キャラクターの中でラリサは逆になかなか難しい役どころではあるんですが、この役や気持ちに説得性を持たせた華雅りりかさんもさすがでした。

と全体には大満足なのですが、クライマックスまでのシーンだけ、少し駆け足すぎるかなと感じました。
もちろんクライマックスですから、そこへもっていくスピード感は大事です。なのでこの選択も納得なのですが、個人的にはもう少し説明がほしかったです。
というのも火の中に戻る紅緒さんをもちろん冬星さんは追いかけようとするのですが、母親に止められて行けないだけになっているのがちょっと不満。
ここはやはり原作どおり最初は紅緒さんと一緒に火の中に入っていく。そして燃えさかる建物内のシーンで蘭丸を抱えて脱出するために一旦冬星さんだけが火の外に出る。(もちろん逃げ口は原作どおり紅緒さんが作るのですよ)蘭丸の介護&火の勢いが強すぎてなかなか紅緒さんを助けに戻れないんだろうと観客に想像させる方が自然な気がしました。
あとは少尉がラリサに紅緒さんのことを告げるシーンで「小石川」という地名がほしい。そうすればウワサに翻弄される民衆シーンにちらっと登場して「小石川はどうですか?」と聞くことで少尉が紅緒さんを探しているシーンを追加できると思うのです。つまり突如現れるのではなく、その前から「必死で紅緒さんを探していた少尉」を見たい。
そうすれば紅緒さんの前に現れる少尉に「ああ、やっと来れたね」と感動もひとしおだと思うのです。あと誰でもいいので少尉に「水、もってけ」といってこのシーンの前までに渡してほしい。
そして紅緒さんにも「のどが焼けるようだ。水がほしい」と言わせてほしい。
これがあれば「紅緒さんが今一番必要としているもの」を少尉が与える、という構図がもっと浮かび上がる気がするんですよね。

宝塚歌劇の番手構造上、冬星さんのソロ曲は必要なのは重々わかるのですが、ここはもうぐっと短くして、原作マンガのモノローグ

いつかこの廃墟にも新しい家がたちならび

人々の新しいくらしが始まるときがくる

人々が生きていくかぎりそれは

くりかえしくりかえし

愛も人生もそれにて

こわれてはつくりあげ

来たっては去りゆくもの

だけちょろっと歌うでもよくないですか?ダメですか?「My Dear」とか冬星さんの気持ちソングよりマンガ原作のここから立ち上がる人々の方が今の時代にもあうと思いますが、やっぱりダメですか?

しかしまあラストシーンの環の華麗なキメ台詞と2人の幸せそうな笑顔に心いっぱい。なんてステキな作品!と感動していたら、大劇場公演なのでフィナーレがあります。

瀬戸かずやさんの歌からフィナーレがはじまると、音くり寿ちゃんを中心に大正モダンドレスに身を包んだモダンガールズたちが、再びあの個人的名曲「大正デモクラシー・ガールズ」を歌い踊ってくれたのです!
娘役中心のダンスシーンというもの自体もそう多くはない宝塚歌劇で、なんと途中で登場してきた男役が娘役に取り変わることなく、ただただ娘役のダンスをサポートだけして消えていったことにまた感動!
明らかにこれは「女性賛歌」の演目であると確信しました。
これだけでも大満足で「あ、いいよ、いいよ、お決まりの大階段群舞は」なんてとんでもないことを思っていたら、黒燕尾服を着こなし金色の髪の毛をオールバックになでつけた柚香光が登場!
今回フィナーレは「大正バージョン」と「浪漫バージョン」があったのですが、楽天TVライブ配信で見たのが「大正バージョン」で大階段群舞の衣装が軍服だったのです。
「浪漫バージョン」が黒燕尾。
正統派黒燕尾&オールバック姿の男役たちが踊る。しかも中心で踊る柚香光さんも水美舞斗さんもダンスが得意。わたしは「ダンスの花組」で育ちましたから、見ながら思ったことは一つですよ。

花組だ、花組を見てる、わたし今、花組を見てるんだ・・・

この感動が伝わる方には伝わると嬉しい。
さらにここから続くデュエットダンスが物語の見たかったラストシーンを見るようで、本当に幸福感に包まれました。
このフィナーレは本当にいい。もはやラインダンスの衣装すら過剰さがダサかわいく思える。笑

そしてよかったのはフィナーレだけではないのです。
舞台上の密を避けるために、大階段に並ぶ人数は制限されていましたが、大階段降りが、というか、シャンシャンじゃなくて竹刀を肩にかついで登場した紅緒さんがもう・・・!
しかも大階段の上で竹刀をぶんぶん振り回し、本舞台での挨拶が終わってもシャンシャンに持ち替えることなく竹刀のままパレードに加わるんですよ!
挨拶終わって本舞台に戻るとき「はいからさんがと・お・る♪」という主題歌の歌詞の部分で、紅緒さんが竹刀を肩にかついで本舞台に走っていく。

ああ、まさにはいからさんが通ってる、今、目の前ではいからさんが通ってるんだ・・・!

本当に最初から最後まで紅緒さんに夢中でした。
もう頼むから、銀橋の挨拶は少尉から紅緒さんの手にキス方式の挨拶に変えてほしい。
ダメですか、歌劇団さま。

 

5.歌劇団への要望

ここまでわたしを夢中にした「はいからさんが通る」ですが、8月2日より感染症の影響で急遽休演になり、残念ながら2020年8月14日現在、8月末まで休演の延長が発表されました。

観劇予定だった方々や公演に関わる方々の無念、さらに新人公演の中止を思うと本当に辛いです。

実はわたしも休演となった期間にもう一度見る予定でした。

9月の再開を今は心から祈るばかりです。

【追記】

そして8月27日に9月3日からの再開が決まりました!

いろいろと改変はあるようですが、千秋楽までの日々を完走してくださることを今度は祈っております。

【追加2】

9/5に無事大劇場の千秋楽を迎えられました。

ライブ配信を見ながら銀橋や花道を使えない演出を残念に思いながらも、最後の挨拶で声を震わせる柚香光さんに涙。

せめて東京公演は全公演完走できますように。

 

そして下記に書きました無料YouTube配信についてはより希望したいところです。

こんな記事もあることですし。

継続利用したいメディア1位は「テレビ」、2位は「YouTube」 withコロナにおけるメディア行動調査 #宣伝会議 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

 

公式チャンネル・スカイステージでのライブ配信楽天TVでの有料ライブ配信、映画館でのライブビューイングと宝塚歌劇団はこの状況で観客のために最善を尽くしてくださっています。

だからこそこの機会に新しいファンを増やしたい、とも思ってしまうのです。

そして新しいファンを増やすためにはこの「はいからさんが通る」という演目は最適だと思いますし、そのための大劇場での再演でもあったと思うのです。

今有料ライブ配信が大切なことは重々承知で、そしてアーカイブ配信がめちゃくちゃ費用がかかることを知ったのですが、それでもあえて、楽天TVで有料配信した映像の第一幕だけでもYouTubeで期間限定無料配信してみませんか?

どこにも行けないお休みは、動画漬けになることは自粛期間で実感しました。

しかし有料コンテンツはよっぽど自分が好きなものでないと手を出さない。

つまり全然興味のない人がたまたま宝塚を見てくれる可能性は低いのです。

 

わたしはかつてテレビで放映された宝塚歌劇の映像を本当にたまたま見てファンになりました。みんなが家にいる今、そういう機会を創出してみるのは今後の可能性に広がらないでしょうか。

 

関西圏に住む舞台芸術を愛する1人として、宝塚歌劇団があったからこそ、こんなに早く舞台を生で見れることができたのだと感謝しています。さすがに今日本の舞台芸術の中心地・東京まで見に行くのはなかなかの勇気がいるからです。だからこそその存在がずっと続いてくださることを願って、検討してもらえれば嬉しいなと思う次第です。

好きと思いをのせて@花詩歌タカラヅカ「ロミオ&ジュリエット」

7/23(木) 18:30〜 喜楽館

 

この感染症の影響で喜楽館も約4ヶ月の休館となっていたそうです。

そして久しぶりの観客入りの出し物がこの花詩歌タカラヅカでした。

f:id:morton:20200724143335j:image

いいのか、悪いのか笑

客席は前後左右一席ずつ開けた限定74席。

入場も距離感を保ったラインが足元に引かれていて、皆さん規則正しく順番通りに並んで入場されていました。もちろんマスクも着用。

その分、初の配信も用意されていました。

 

まずはいつも通り落語4席から始まります。

月亭天使 創作落語

笑福亭生喬 掛け取りロミジュリバージョン

真山隼人(浪曲) 水戸黄門宝塚の巻

笑福亭生寿 蔵丁稚ロミジュリバージョン

 

限定74席は発売日に1時間で完売したそうですが、天使さんのマクラでその観客の半分がはじめての「花詩歌タカラヅカ」ということが判明。

そんな不安半分を抱えながらもはじまれば、落語も浪曲も宝塚ネタをふんだんに入れた内容に爆笑の連続。

ちなみに天使さんの「かつての花詩歌タカラヅカ失敗談」は去年の繁昌亭ファントムネタも多く、楽しく思い出して笑ってしまいました。

 

stok0101.hatenablog.com

 

生喬さんと生寿さんはこれからはじまる「ロミオ&ジュリエット」の曲を落語の中でたくさん歌ってくださったのですが、それが見事に本編では使われていない曲で、その辺の気遣いがさすが!

というか、本編でも歌いたかったけれどあえなくカットされた残念さゆえでしょうか。笑

 

さて落語のあとは生寿さんの化粧のための中入りがありました。

そして懐かしいオープニング曲がかかります。

ちなみに本来花詩歌タカラヅカも生演奏なのですが、蜜を避けるために録音上演でした。

そして予定通りであれば、今ごろ星組で「ロミオ&ジュリエット」再演が公演されている頃。

そう思うとちょっと切なくもなりながら、開幕。

f:id:morton:20200724143039j:image

愛のまりこさんはダンサーさんだから良いとして、死の笑福亭松五さんがなかなか雰囲気出ています。

そして幕が開いて花詩歌タカラヅカ恒例、浪曲での「ヴェローナ」が真山隼人さんによって歌われます。

f:id:morton:20200724145003j:image

そしていよいよヴェローナの街へ。

f:id:morton:20200724145133j:image

舞台上での蜜対策にフェイスガードがわりの布を巻かれているですが、これがあんまり違和感ない。ぱっと見、衣装みたいです。

これはしばらくこのウイルスと付き合っていかない中で一つの手段かもしれません。

そして、天使さんのマーキューシオがカッコいい!

f:id:morton:20200724145404j:image

思わずマーキューシオばかり連写笑

この後、個人的に大好きな歌「憎しみ」もありました!

f:id:morton:20200724145617j:image

モンターギュー夫人が花詩歌タカラヅカ新人の桂笑金さんだったのですが、なかなかの魅惑の歌声。

これでも稽古のときよりはマシになったそうですが、これもなかなかの才能なので、ぜひともこのまま移ろいやすい音程を持ち味にしてもらいたいものです。

さてようやくあやめさんのロミオが登場。

f:id:morton:20200724145848j:image

さすが花詩歌タカラヅカのトップスター!

華やかです。すっかりあやめロミオに魅せられていたら、なにやら舞台の奥でごそごそと物音がします。

f:id:morton:20200724150016j:image

うっかり忘れていましたけれど、そうそう「いつか」は出会い前のロミオとジュリエットのデュエットなのでした。

生寿ジュリエット、安定のかわいさなのですが、突然の登場の衝撃に思わず笑ってしまいました。

 

さて場面はみんな大好き「世界の王」です。

f:id:morton:20200724150248j:image

ここは残念ながら、ロミオ、マーキューシオ、ベンヴォーリオの3人のみで。

そして「僕は怖い」。

f:id:morton:20200724150429j:image

近づけど、近づけど、あやめロミオにソーシャルディスタンスを取るようはねつけられる死に爆笑。

そして舞台は「仮面舞踏会」へ。

f:id:morton:20200724150625j:image

ジュリエットとキャピュレット夫人、乳母のシーンはまるっとカットなので、誰ですか、これ状態↓↓↓

f:id:morton:20200724150738j:image

そして何の説明もなく誰か(パリス伯爵)から逃げるジュリエット。笑

f:id:morton:20200724150900j:image

でも強引に運命の人と出会います。

天使の歌が聞こえる
f:id:morton:20200724150906j:image

しかしこのドレスがなんか似合っちゃう生寿さんに嫉妬!笑

そのジュリエットに惚れてるくだりの説明がほぼないにも関わらず、染雀ティボルトの「本当の俺じゃない」はさすが。哀しさが伝わってきます。

f:id:morton:20200724212134j:image

そんなティボルトの気持ちを知ることなく、恋に突っ走るロミオとジュリエット

有名なバルコニーのシーンです。

f:id:morton:20200724212245j:image

写真で見るといいシーンです。

でもこのバルコニー、登り下りが大変そうで思わず笑い。

ロレンス神父とロミオのくだりはカットで「綺麗は汚い」へ。

f:id:morton:20200724212640j:image
f:id:morton:20200724212645j:image

これは曲の性質上、生喬師匠の乳母が本当にすばらしくて、わたし的このシーンの上位に入ります。

(因みにわたしのロミジュリ観劇歴。

 2010年宝塚星組初演

 2011年宝塚雪組

           梅田芸術劇場(山崎育三郎&昆夏美)

 2012年フランス招聘版

 2012年宝塚月組

 2013年宝塚星組再演)

そして続く「あの子はあなたを愛している」も情感たっぷりで聞き惚れました。

f:id:morton:20200724214439j:image
f:id:morton:20200724214442j:image

まあ師匠が弟子を思って歌ってるようにも聞こえないでもないですが。笑

そして一部のラスト、結婚式へ。

f:id:morton:20200724214729j:image

キスシーンもきっちり濃厚接触を守っています!

いつもならすぐに二部がはじまるのですが、今回は換気のために少し中入りがありました。

そして二部は「エメ」から。

f:id:morton:20200724214538j:image

えっとロミオとジュリエットも急成長しました(^◇^;)

そして物語も加速します。

年若くなったけれど恰幅がよくなったティボルトとマーキューシオの死闘。

f:id:morton:20200724215318j:image

マーキューシオの歌がない代わりに、天使さんがしっかり宣伝。しかも刺したティボルト真山隼人さんとの2人会の宣伝。生喬ロミオが思わず「オレも入れて3人会にならないのか」と言っている間にお亡くなりになりました。

僕は怖いリプライズ」はとにかくみんなでずり落ちる生喬師匠のベルトを直すのに必死。

f:id:morton:20200724220301j:image

まあそんなこんなしている内にロミオの追放がジュリエットの耳に入ります。

f:id:morton:20200724220709j:image

え、もうロレンス神父に相談しちゃいます?

f:id:morton:20200724220939j:image

え、もう仮死の薬飲んじゃいます?

ジュリエットの寝室がまるっとカットされていました。

なのでロミオもマントヴァへ。

f:id:morton:20200724221415j:image

ベンヴォーリオからジュリエットの死を知らされるロミオ。
f:id:morton:20200724221419j:image

絶望のあまり薬売りから毒薬を買います。

そして物語はラストシーンの霊廟へ。

ここからは世界一有名な物語の幕切れを写真のみでお楽しみください。

f:id:morton:20200724221711j:image
f:id:morton:20200724221720j:image
f:id:morton:20200724221729j:image
f:id:morton:20200724221725j:image
f:id:morton:20200724221715j:image
f:id:morton:20200724221732j:image

そして花詩歌タカラヅカですから、本家宝塚と同じように天国のデュエットダンスもありました。

f:id:morton:20200724221917j:image

宝塚ファンが胸ときめかせた額コツンからの染雀さんお得意の背中反り。

f:id:morton:20200724222039j:image

そしてこの名振付もありました。

f:id:morton:20200724222134j:image

本家もチラッとご紹介(^◇^;)

f:id:morton:20200724222634j:image

ここからはフィナーレなのですが、まりこさんをリフトする松五さんに感動!

f:id:morton:20200724222325j:image

今回からエトワール就任した真山隼人さんの歌からオリジナルソング「WE LOVE TAKARAZUKA」を歌って幕。

f:id:morton:20200724223651j:image
f:id:morton:20200724223655j:image

なんと2時間で終わりました。

いろいろカットされてはいたのですが、なんかフルで見たような満足感が僕は怖い・・・!

 

さて次回は5月上演予定だった繁昌亭でのPUCKリベンジですね。

チケ取り、がんばりたいと思います。